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【低山ガイド】西のよい山ひくい山〜御在所岳で熱くなれ!

(2018.07.28)

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 暑さきびしい夏は低山のオフシーズンと言われたりしますが、あえて暑さに挑むという楽しみ方も。ちょっとマゾな登山に最適、鈴鹿山脈の日本二百名山を紹介しましょう。

御在所岳(1209m)━━三重県菰野町

どこまでやれるのか、どうなってしまうのか……。
登山とは、己と向き合う行為。
夏の自分の耐久力を、この山で試してみました。

国見岳からの御在所岳。三重県側は、花崗岩の岩肌が荒々しい姿。
「サウナ登山」なるものをやりたくなって、夏の御在所岳を登ってみました。壊れた蛇口みたいに汗を流しながら巨岩・奇岩だらけの絶景をめぐったのですが、「サウナと登山が好き」という、やや奇妙な趣向の人じゃなくても、この山はおすすめです。「自分はどれだけ暑さに耐えられるか?」「ウェアのセレクトはまちがいないか?」など、憧れの夏山(北アや富士山)登山前にチェックできるのが、暑い季節の御在所岳なのです。
奇岩だらけの山並みで、自然の不可思議に出合う。
 御在所岳といえば岩と紅葉の名山ではあるものの、山頂付近はロープウェイ駅やレストランがある公園。頂上に立っても、大自然を求める人は「なんだかな~」な気分になる山でもあります。

 しかしこれは、サウナ登山には非常に心強い。山頂に清涼飲料水の自販機があるし、暑さでバテたらロープウェイで下山すればいい。トレイルを選べば、冷たくてきれいな沢水もある。下山後は、べたつく肌を温泉(湯の山温泉)で流せるのも魅力的であります。
裏道では、花崗岩に磨かれた水流に癒される。
 今回のサウナ登山ですが、地蔵岩などいろいろな形の巨岩に出合う「中道」から御在所岳山頂へ、そして国見岳(1171m)で自然のままの山頂を満喫し、崩落した花崗岩のすきまに清水流れる「裏道」で下山するルートを選びました。
(左上)中道では、花崗岩の山肌を登っていく。(右上)岩から岩へと、登山道は続く。(左下)地蔵岩。モアイのようでもある。(右下)中道の難所「キレット」。落差はそれほどではないが、高度感のある岩場の下りだ。キレット通過後、来た道を振り返る。
 登山口(一ノ谷御在所山の家)では25℃と少しましな気温。しかし、山頂に着くころには、水泳したごとくウェアはびしょ濡れに。御在所岳山上公園の自販機でスポーツ飲料500㎖×3本を飲みほし、木製ベンチにお尻の汗染みを残しつつTシャツを搾り、下山中は藤内小屋近くの沢に浸かってクールダウン。山頂の最高気温は31℃にもなりましたが、サウナ登山を無事終了したのでした、が……。
(左上)山頂に関しては、御在所岳よりはるかに癒される国見岳。(左中)裏道では、一部の登山道が崩落していることがあるので注意。(左下)荒々しい河原を歩けば、間もなく藤内小屋だ。(右)五体投地ではない。猛暑で脳みそが半熟にならないように冷やす図。藤内小屋近くの沢にて。
 それは帰宅後、やってきたのでした。

 サウナと同じく、サウナ登山のあとのビールはめちゃ美味い。やや飲みすぎてからの2日後、右足首に激痛が。「折れた、疲労骨折じゃあ!」と騒ぐ私に外科医が告げたのは、「痛風です」。

「脱水気味のときにビールをたくさん飲みましたね。それはいけません。尿酸値が急上昇して、痛風の発作に」との診立てでありました。サウナと同じくサウナ登山でも、その後のケアはお気をつけください。


■御在所岳(1209m)
 御在所岳は、南北に延びる鈴鹿山脈の真ん中あたりに位置し、日本二百名山、関西百名山のひとつ。付近一帯は鈴鹿国定公園になっている。花崗岩の大岩壁(藤内壁)や巨岩・奇岩に恵まれた山で、その独特の景観や、ロッククライミングのフィールドとしてのすばらしさから、標高約1200mの低山ながら多くの登山愛好家を惹きつけている。
裏道からの藤内壁の姿。
■山行コースガイド
〈歩行計=5時間30分〉中道登山口(中道経由:2時間30分)御在所岳(40分)国見峠(10分)国見岳(10分)国見峠(裏道経由:1時間)藤内小屋(1時間)国道477号

 
山行コースは、山と高原地図44『御在所・霊仙・伊吹』を参照。御在所岳では、過去に登山道が崩壊(2008年の裏道)するなど大きな災害が発生している。集中豪雨のあとなどは注意したい。この山にマイカーでアクセスする場合、駐車スペースの確保が課題のひとつ。行楽シーズンには早朝でも満車になることも。

 

【文・写真=大村嘉正】

 
 
ライター
大村嘉正

四国の瀬戸内海暮らし。仕事は自然・旅系ライター&フォトグラファーで、生きかたはバックパッカーでリバーランナー。著書はラフティングガイドたちの1年を追った『彼らの激流』(築地書館)。

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