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こんな峡谷があったとは! 発見と開拓が続く、四国のキャニオニングがいま熱い。

2020.09.04 Fri

大村嘉正 アウトドアライター、フォトグラファー

 かなりのアウトドア経験者でも知らぬ自然——そんなの日本にまだあるのか、と思われそうですが、最近の四国ではその発見がちらほらと。場所は渓谷または峡谷。しかし、そこは山奥ではなく、過疎地とはいえ近くに民家があるような地域なのです。
中津渓谷。
 なかでも地元で話題なのが、高知県仁淀川町の中津渓谷。遊歩道のある観光地にもかかわらず、ここにほぼ人跡未踏だった峡谷区間が。それを開拓したのがリバーガイド(ラフティング、カヤック、キャニオニングなどのガイドの総称)の神澤識大(かんざわ のりひろ)さん。まずはその峡谷の様子をご覧ください。
流れる、流れる、ジャンプして飛び込みと、テンポよく全身で清流を楽しめる中津渓谷でのキャニオニング。(画像提供:神澤識大)驚きの景観がまっている。(画像提供:神澤識大)
■中津渓谷の所在地。仁淀アドベンチャーの事務所は赤ピンの場所にある。

 全長124km、全国一級河川水質ランキングで2012年から5年連続日本一の仁淀川(高知県)。その支流の中津渓谷(中津川)は、流域に集落が点在しているにもかかわらず、仁淀川水系でも屈指の水質です。神澤さんはおもしろい川を探索中、たまたまここで深く狭い峡谷を見つけました。

「中津渓谷は古くから知られる景勝地なのですが、その一部は地元の釣り師も訪れたことがないようでした」と神澤さん。「ぼくがそこをキャニオニングしてみて、『ここでツアーをしたい』と地元の人に相談したとき、『そんなのができるの?』と驚かれましたから」

 神澤さんはこの春から「仁淀アドベンチャー」を開業、中津渓谷のキャニオニングツアーで驚異の自然景観を案内しています。
神澤識大さん。仁淀アドベンチャーの事務所(仁淀川町シェアオフィス内)にて。
 四国の「里の近くで無名の渓谷を発見、開拓」のムーブメントは、リバーガイドが高知県や徳島県の山里で暮らすようになってから。彼らは、よりすばらしい体験を追求したり、ツアーのゲストに喜んでもらおうと、暇を見つけては地元の自然を探検しています。

 それから、まだごく少数ですが、キャニオニング経験豊富な人材が育ってきたことも発見と開拓を後押ししています。たとえば神澤さんは5年前に、代表的なキャニオニングの国際組織「CIC(国際キャニオニング協会/本部はドイツ)」によるプロガイド養成の研修「モジュール1&2」を受講して合格。この研修はかなりハードで、峡谷を舞台に2週間(休みは中1日だけ)も続きます。1日15時間のトレーニングを課せられることもざらだとか。
キャニオニングガイド中の神澤さん。(画像提供:神澤識大)
 また、神澤さんよりも前にCICの認定資格を得ているキャニオニングの第一人者、田中 彰さんも高知県に拠点を構えています。日本はもちろんニュージーランドや台湾などで難易度の高いキャニオニングを達成してきた彼は、昨年、TBS『情熱大陸』にも主役で出演。探検し発見した四国の峡谷で、いまのところプライベートツアー的にゲストとキャニオニングをしています。
四国には、アクセス容易だけどまだ知られていない峡谷が。
 今後も地元リバーガイドによる開拓が続きそうな四国のキャニオニング。「こんな自然が日本に!?」という新鮮な体験を求める人は、旅のリストに追加してみては?

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