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山を駆け登る「スカイランニング」の魅力にせまる

2020.05.20 Wed

長谷川泰子

長谷川泰子 スカイランナー

■トレイルランニングとの出会い
 私は東京生まれ東京育ちの都会っ子ですが、幼少期を過ごしたのは自然豊かなアメリカでした。物心ついたときから家族に連れられ、旅先では近隣の低山や里山でのトレッキングに親しみ、それ以来、国内のみならずアメリカとヨーロッパでも3,000m級の山々で登山やスキーなどの山遊びをしてきました。

 山好きになった決め手は3年連続で訪れたアラスカです。雄大な自然のなかでの散策や低山トレッキングに幼いながらも感動したことをいまでも鮮明に覚えています。

 しかし、日本に帰国してからは山や自然を身近に感じることは少なくなり、部活動に明け暮れる毎日。そんななか、大学生のころに没頭していたスカッシュのトレーニングがてらランニングをはじめ、ロードだけだとつまらなくなったので、家族と休暇で訪れていた山中湖のトレイルを走ってみることにしたのでした。

 トレッキングとはちがうスピード感や解放感を味わい、ゼーハーしながら登ったあとに見る絶景が最高のご褒美でした!

 社会人になってからは関東近郊のトレイルランニングのレースに出場していましたが、結婚・妊娠・出産の間はレースから離れ、2018年に箱根ランフェスで3位入賞を機に、本格的にレース復帰することにしました。2019年はトレイルランニングのなかでも登山の要素が強いスカイランニングに挑戦。今年は主にスカイランニングを中心にレース参戦しようと思っているところです。

スカイランニングの魅力にはまった筆者の長谷川泰子。

 
■トレイルランニング? スカイランニング?
 さて、日ごろからランニングをしている人なら「トレイルランニング」は聞いたことがあると思いますが、「スカイランニング」を知っている人は少ないのではないでしょうか。

 一般的に、マラソンは舗装路を走りますが、トレイルランニングは林道や登山道などの未舗装路(トレイル)を「走る」という水平方向に移動するアクティビティです。イメージとしては、鳥のさえずりを聞きながら、ふかふかの落ち葉で覆われたブナ林の森林を駆け抜けたり、高原や丘陵を走ったり、ですね。

 一方、スカイランニングとは「登る(下る)」という垂直方向へ移動するアクティビティの総称です。おもに標高2,000m級の急峻な山岳地帯がフィールドなので、登山の要素が大きいところがポイント。岩がごろごろ転がっているところをバランスよく走ったり、スキー場のゲレンデを登ったり駆け下りたりします。まるで登山のジェットコースターのようで、スリル満点!

 トレイルランニングとスカイランニングに共通するのは、五感で自然を感じられることです。走りながら写真を撮ったり、途中の川で水遊びしたり、とにかく童心に戻って泥んこになるくらいまで自然のなかで遊べます。

2019年上田バーティカルレースでの一枚。世界レベルの急峻レースと言われています。
 

■スカイランニングに挑戦してみよう!
 私が今年から力を入れようと思っている「スカイランニング」。より多くの人にスカイランニングを知ってもらいたいという気持ちを込めて、スカイランニングについて詳しく紹介していきます。

 国際スカイランニング連盟(ISF)によると、「傾斜30%をこえる部分を含み、登攀難易度Ⅱ級(三点支持を要する)をこえない範囲」で最高峰の “頂上” をめざすレースをスカイランニングと定義しています。なので、赤岳の山頂までランニングすると、それはスカイランニングになるのです。

 日本では1913年に静岡県御殿場市で開催された富士登山競争が最初のスカイランニング(快速登山)で、現在では日本シリーズ戦や日本選手権など、20をこえる公認大会が開催されるに至っています。

 種目は、時間・距離・特徴に応じて7つに分類されていますが、大きく分けるとSKY・ULTRA・VERTICALの3種類です(日本選手権ではSPEED種目も実施)。

① SKY(駆け登りと駆け下りの両方があり、累積標高差1,300m以上、距離20~49㎞)
② ULTRA(駆け登りと駆け下りの両方があり、累積標高差3,200m以上、距離50~99㎞)
③ VERTICAL(駆け登りのみ、平均20%以上の傾斜、距離5㎞以内)

 さらに、コースがトレイルに限定されていないこともポイントです。これがトレイルランニングとの違いとも言えるでしょう。必ずしも屋外で行なわれるレースばかりではなく、超高層ビルの階段を使うレースもあります。
 

■2019年のスカイランニング世界王者は日本人!
 スカイランニングは、ヨーロッパではメジャーなスポーツですが、日本ではまだまだ知名度は低いし、競技人口が少ないマイナー競技です。でも、じつは2019年のスカイランニングのワールドシリーズ戦で年間チャンピオンに輝いたのは日本人の「上田瑠偉」選手なのです!

2020年4月17日に発売した、上田選手の強さの秘訣を分析、詳解している一冊。こちらの記事で紹介しています。(『CHANGE 山岳ランニング世界王者 上田瑠偉』著=山本晃市 枻出版社)

 長野県大町市出身の上田選手は、陸上長距離や駅伝の名門として名高い佐久長聖高校出身。ケガに悩まされた高校時代は満足に記録を残すことができず、早稲田大学に進学後は「楽しんで走りたい」という想いから、競争部ではなく陸上競技同好会に所属しました。トレイルランニングをはじめたきっかけは、2013年に出場した「柴又100K」でアウトドアブランドのコロンビアにスカウトされたことでした。あっという間に頭角を現し、国内はもとより、海外レースでも優勝するようになり、いまもっとも注目を集めるトレイルランナーです。
 

■誰でも挑戦できるトレイルランニング・スカイランニング
 トレイルランニングやスカイランニングは、自然の中で心身ともに開放して非日常を楽しむアウトドアアクティビティです。山を楽しむ気持ちがあれば、基本的に誰でも挑戦することができます。

 ただ、2020年5月現在、日本に限らず世界中で蔓延している新型コロナウィルス感染症により、山に入ってランニングを楽しむことが気軽にできなくなりました。もちろんレースも中止になり、いままでのようにグループで練習会を開催したりすることもできません。いまはトレイルランニングやスカイランニングをはじめるために必要な知識を身に付けたり、山を走るための身体づくりや体質改善に取り組んだりし、また山を走りまわれる日々を楽しみに待ちましょう。

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