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【子どもといっしょに外あそび!】バーレーのサイクルトレーラーは保育園送迎の救世主となるか? 佐渡の加茂湖で実車してみた!

2023.03.24 Fri

Yuri Kanai アウトドア&トラベルライター

どうする? わが家の自転車問題

 新年度の準備になにかと忙しい3月。わが家も、4月から保育園に入園する息子の準備に追われている。保育園の準備といえば、着替えは何組用意して、とか、オムツ1枚1枚に名前を書いて、とか、それはそれは細部にまで決まりがある。「あー! めんどくさい!」と放り投げたくなるが、小さなわが子を日中見ていただくわけだから、きちんと対応するのが親の務めというものだろう。

 さて、そんなわが家の最大の悩みといえば、保育園までの送迎手段である。4月からは4歳の娘と0歳の息子が同じ保育園に通うことになる。

 子どもが2人いる場合、前と後ろに専用の座席を付けて、いわゆる「3人乗り」をするのが一般的だろう。

 でもこの3人乗り、とても不安定なのだ。とくに、電動自転車の場合、車体が重たいので少しふらついただけで一気にバランスを崩してしまう。ただでさえ重い車体、前と後ろに子どもが乗っていたのでは、とてもじゃないけど車体を立て直すことは不可能。一度、バランスを失った電動自転車の末路は「転倒」の2文字しかない。子ども乗り電動自転車を使っている人なら、だれもが一度は、こんなヒヤリハットを経験したことがあるだろう。


「サイクルトレーラー」に期待をこめて

 もっと安全に子ども2人を運ぶ方法はないか。そんなことを考えていたとき、「サイクルトレーラー」の存在を知った。自転車でけん引できるワゴンのようなもので、もともとはアウトドア用の自転車に付けて、親子でサイクリングを楽しむために開発されたものだ。

【子どもといっしょに外あそび!】バーレーのサイクルトレーラーは保育園送迎の救世主となるか? 佐渡の加茂湖で実車してみた! Barley SADO OUTDOOR BASE 佐渡アウトドアベース Cub じつは私たち夫婦の共通の趣味はロードバイク。子どもが生まれるまでは1日200㎞走るほど没頭していた。

 つねに2輪が接地しているため、安定性が高い。万が一自転車が転倒したとしても、サイクルトレーラーそのものは転倒しない構造になっている。

 車体が低いので、子どもが自分で乗り降りするときも安全だ。そういえば、娘がひとりで自転車の後部座席に乗ろうとしたときに車体がぐらついてヒヤっとしたことがある。こんなことでは、息子がやんちゃ盛りになったら寿命がいくらあっても足りない。サイクルトレーラーなら、その心配もなさそうである。

【子どもといっしょに外あそび!】バーレーのサイクルトレーラーは保育園送迎の救世主となるか? 佐渡の加茂湖で実車してみた! Barley SADO OUTDOOR BASE 佐渡アウトドアベース Cub しっかりと2輪が設置しているので、子どもがひとりで乗り降りしても転倒の心配はほとんどない。

 トレーラーというだけあって、荷物の収容力は十分。保育園児の月曜日の荷物というのは、「なんでこんなにも?」というほど多い。2人分ともなれば、まるで縦走登山にでも行くかのような大荷物である。ただでさえ重心がとれない「3人乗り」自転車の前カゴに、さらに荷物を詰め込むなんて……。考えただけでぞっとする。トレーラーなら、荷物の収納問題もクリアできる。しっかりとカバーされているので、雨の日でも安心だ。

 サイクルトレーラーがあれば、休日は子どもといっしょに自転車で「外あそび」を楽しみ、平日は保育園の送迎用としても活用できる。まさにアウトドアと実益を叶える夢のようなギアではないか、というのがわが家の見解だった。


サイクリングのメッカ「佐渡」で、チャンス到来

 とはいえ、使ってみないことには、その良し悪しはわからない。チャイルドトレーラーのメーカーはいくつかあるが、日本でも正規取扱店がある「バーレー(Barley)」に注目した。自転車専用トレーラーのパイオニアというだけあり、安全性・耐久性の面で信頼できそうである。

 都内での試乗会に参加を検討していたころ、偶然にも旅行先の佐渡で、バーレーがレンタルできるという情報をキャッチした。私たちが飛びついたのは言うまでもない。考える暇があったら行動せよ。気付いたときには「SADO OUTDOOR BASE」に電話して予約を入れていた。

 そうか。佐渡は知る人ぞ知るサイクリングの聖地だ。毎年、佐渡一周200㎞をロードバイクで駆け抜けるイベントもあるほど。俗にいう「サドイチ」は、自転車乗りなら一度はチャレンジしたい憧れのコース。そんな佐渡なら、自転車といっしょにトレーラーをレンタルできるサービスがあっても不思議ではない。子ども連れにもサイクリングを楽しんでもらおうという心意気に私たちは興奮した。


バーレーの「Cub」に、いざ実車

「SADO OUTDOOR BASE」に到着すると、すでにロードバイクとジョイントされたトレーラーが私たちを待っていた。いくつかモデルがあるが、今回の相棒は黄色い車体が可愛い「Cub(キャブ)」だ。ほかにも、自転車から外して単体でベビーカーとして利用できるタイプや、2人乗りタイプなどさまざまな種類が展開されている。

【子どもといっしょに外あそび!】バーレーのサイクルトレーラーは保育園送迎の救世主となるか? 佐渡の加茂湖で実車してみた! Barley SADO OUTDOOR BASE 佐渡アウトドアベース Cub ギアマニアの夫は、なめまわすようにトレーラーを観察している。スタッフの説明をちゃんと聞いているのか心配。

【子どもといっしょに外あそび!】バーレーのサイクルトレーラーは保育園送迎の救世主となるか? 佐渡の加茂湖で実車してみた! Barley SADO OUTDOOR BASE 佐渡アウトドアベース Cub 娘も興味深々。早く乗りたくて仕方がない様子。

 実際にペダルを踏んでみると、思ったより快適だ。もっと、「引っ張られている感」があると想像していたので拍子抜けした。これなら、ふだん運動していない女性でも問題なく利用できるだろう。電動自転車に取り付ければ、さらに負担が減り快適なはずである。

 乗っている娘はというと、「自転車にひっぱられる」というはじめての体験に、最初は少し緊張気味だったが、すぐにそのスピード感が楽しくなったようで、うしろから「楽し~!」と声が聞こえてくる。

【子どもといっしょに外あそび!】バーレーのサイクルトレーラーは保育園送迎の救世主となるか? 佐渡の加茂湖で実車してみた! Barley SADO OUTDOOR BASE 佐渡アウトドアベース Cub ときどき停まって、中の状況をチェック。後半、少しおしりが痛くなったようだ。クッションなどがあると安心だろう。専用のパッド入りシートも販売している。

 今回、私たちがサイクリングしたのは、加茂湖周辺。1周約20㎞で、サイクリングロードが整備されている。湖と並走したり、のどかな田園風景を駆け抜けたり、なかなか変化に富んでいておもしろい。休憩したり、カフェに立ち寄ったりしながら、約2時間のサイクリングを楽しんだ。

【子どもといっしょに外あそび!】バーレーのサイクルトレーラーは保育園送迎の救世主となるか? 佐渡の加茂湖で実車してみた! Barley SADO OUTDOOR BASE 佐渡アウトドアベース Cub サイクリングロードというだけあって、ところどころにベンチがある。市街地を外れると売店や自動販売機がないので、水分や補給食は十分に用意しよう。

 1日に100㎞をこえるようなストイックなロングライドを好む私たちにとって、20㎞というのは、距離だけ見れば当然、物足りない。子どもといっしょの旅行でなければ、まちがいなく「サドイチ」を走破していただろう。

 しかし今回、物足りなさを感じることはまったくなかった。それどころか、これ以上の幸福感がほかにあるだろうかと感傷的になったほどである。娘の楽しそうな笑い声を背中で感じながら漕ぐベダルは、とても心地がよい。娘も気分が良くなったのか、途中から大声で歌いはじめてしまった。

【子どもといっしょに外あそび!】バーレーのサイクルトレーラーは保育園送迎の救世主となるか? 佐渡の加茂湖で実車してみた! Barley SADO OUTDOOR BASE 佐渡アウトドアベース Cub のどかな風景のなか、颯爽と進む。小さなトレーラーの窓から、娘はどんな景色を見ていたのだろうか。

 あたらしいことにチャレンジするワクワク感、爽快なスピード感、はじめてみる風景……。娘以上に充実感を味わっていたのは、私たち大人だったのかもしれない。これまでに、キャンプや登山は親子でいっしょに楽しんできたけれど、まさかロードバイクも子どもといっしょに楽しめるとは。それが発見できただけでも、今回の「外あそび」の価値は大きい。

「遊び疲れて眠ってしまっても、安心!」というのがチャイルドトレーラーのウリだが、娘は終始興奮していたのか、まったく眠らなかった。グッスリ眠っている写真でも撮れたら、レビューとして完璧だったのかもしれない。しかし、ここは大人の思うようにはいかない。かわりに、「眠れないほど楽しかった!」というのがわが家からの評価である。


「サイクルトレーラー」はわが家の救世主となるか

 さて、話を保育園の準備に戻そう。わが家では、春からの子ども2人の登園に向けて、このサイクルトレーラーの購入を真剣に議論している最中である。

 保育園までは、ほとんど車が通らない住宅街と農道を抜けていく。車との対面は少ないが、「3人乗り」自転車はどうしても「転倒 」の危険が付きまとう。「転倒防止」と「荷物の収納力」、「雨の日の対応力」を考えると、サイクルトレーラーが最善策のようにも思える。なにより、こんな楽しい乗り物で登園するなんて、子どもたちもハッピーにちがいない。朝もぐずらずスムーズに登園できそうだ。

 とはいえ、サイクルトレーラーはまだまだ日本では普及しておらず、否定的な意見が目立つのも事実。道幅が広く、自転車専用レーンが整備されている海外では受け入れられても、日本ではむずかしいのが現状だ。

 週末にアウトドアとして楽しむ場合には、なるべく自転車専用レーンやサイクリングロードを利用し、車通りが多いところは避けるなど、利用者側にも配慮が必要だろう。

 そんなことを考えていると、まだ購入の一歩が踏み出せないでいる。

 そんな大人の事情を知ってか知らずか、パソコンに映し出された佐渡の写真を見つけた娘が横からひとこと。「あ! この自転車、楽しかったね〜。また乗りたい!」

 これはもう「購入せよ」ということか。

 答えが出る日は近そうである。


今回お世話になったSADO OUTDOOR BASE(佐渡アウトドアベース)
「人と人 人と自然をつなぐ」をコンセプトに、佐渡でのアウトドア体験をトータルプロデュースする場として2022年3月にオープンした交流スペース。今回、私たちがお世話になった自転車はもちろん、キャンプや登山、シーカヤックまで、佐渡でのアウトドアならなんでも相談できる。ほとんどの道具がレンタルできるので、手ぶらで行っても大丈夫。店内はカフェや交流スペース、アウトドアショップなども併設しており、のぞいてみるだけでも楽しい。佐渡に行った際にはぜひ一度、立ち寄ってみていただきたい。

住所:佐渡市両津夷271-1 
(両津港佐渡汽船ターミナルから徒歩4分)
TEL:0259-58-8081
公式HP:https://gotosado.com/outdoorbase/
営業時間:9:00~18:00
定休日:火曜日


■バーレー/キャブ X(CUB® X)

乗員 子供2名
耐荷重量 45㎏
全装備重量 17.2㎏
室内高 57.1㎝
室内幅ショルダー部 66㎝
室内幅シート部 57.1㎝
座面+レッグルーム長 49.5㎝
UVプロテクトレート UPF 50+
ホイールサイズ 51㎝(20インチ)
荷室容量 51.6ℓ
展開時サイズ 長さ×幅×高さ 92㎝×76㎝×99㎝
折り畳み時サイズ 長さ×幅×高さ 92㎝×76㎝×38㎝
価格 176,000円(税込)

※現在、キャブ(CUB)は販売終了

Yuri Kanai アウトドア&トラベルライター

低山ゆるゆるハイキングから縦走、雪山、過酷なレースまでなんでも好む。無補給6泊7日250㎞のステージレース「白山ジオトレイル」を2度完走。最近はもっぱら、ふたりの子どもとまったり志向。旅と山が好きすぎて、海外添乗員として世界の山を案内した経験も豊富。

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