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野生の味ってどんな味? さばいて食べよう、鹿の解体ワークショップ  <後編>

(2016.03.14)

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 鹿の解体ワークショップに参加するべく、雪のなか向かった長野県小谷村。(前編もあわせてごらんください!)いよいよ解体にチャレンジします。

 獣害対策としてジビエ人気の昨今ですが、鹿やイノシシは縄文時代から食べられてきた日本人にとって馴染み深い肉。原始の時代の人々がどのようにして鹿を捕らえていたかは議論がありますが、旧石器時代の遺跡から多く見つかった「落とし穴」。下の写真のように鹿を捕らえていたようです。

東京上野の国立科学博物館にて。人類の生物学的な進化の展示物を見ると、人間ってたくましいよね。

 さて、今回のワークショップの主催は「くらして」という4人。前田浩一さん・聡子夫妻、北村健一さん・綾香さん夫妻(長女おとあちゃんも含めると5人)というIターンでこの土地に移住してきた2組のご夫婦からなり、この小谷村大網地区に受け継がれてきた暮らしの知恵や技術、文化を絶やさないように、と情報発信をしています。

 1泊2日のワークショップ。宿泊や食事は、「つちのいえ」にお世話になります。ここは、正式には「大網農山村体験交流施設つちのいえ」といって、ワークショップやイベント、集会のほか、宿泊者の受け入れもしてくれる場所。個室はないので雑魚寝ですが、布団はふかふか、ストーブのあたたかい空気が循環しているので、冬でも快適なことこのうえなし。こちらの管理・運営を、「くらして」がされているわけです。

築130年以上の空き古民家を改修した「つちのいえ」。梁や柱を生かし、どっしり重厚な造り。木造2階建、194㎡と広い! 1階の広間の隣には地元の郷土食「とち餅」の工場も。このとち餅がめっぽうおいしかった。©Makoto Hatano

 さっそく、鹿の解体がはじまります。教えてくれるのは前田さん、北村さん、そして「くらして」の仲間である中村伸治さん。10名を超えるワークショップという性質上、その場で鹿を捕らえるというのは無理な話。数日前に撃ったという鹿2頭、イノシシ1頭が倉庫にぶら下がっておりました。みんなで手を合わせてから、作業に入ります。

すでに内臓は抜かれ、血抜きも終わった状態。解体に興味がある人は、この内臓をとる工程を一番知りたかったそうですが、できるかどうかおびえていた私は内心、ほっとしました。©Makoto Hatano

2チームにわかれ鹿を雪で作った台のうえに移動。北村さんから説明を受けます。この鹿は、雄の1歳くらいとか。私のチームは雌でした。©Makoto Hatano

脚の周囲にぐるりとナイフを入れ、皮をはぐ。毛は凍っているので、ガサガサした感じ。©Makoto Hatano

皮と肉の間にナイフを入れ少しずつ動かすと、めりめりときれいにはがれる。だんだん動物から肉に見えてきて、おいしそう、と感じはじめる。©Makoto Hatano

最年少参加者、羽田野くん(13歳)。コミック『銀の匙』を読んで屠殺とはなんぞや、と思い福岡からお父さんと一緒に参加してきた。こういう若者、おばさんは好きですよ。©Makoto Hatano

翌日は、鹿の皮のとりきれなかった脂をひたすら竹のへらでこすりとる作業を。ぬるぬるとした脂と血をこそげとるのはなかなか力作業で、この先、皮を干したり、みょうばんにつけたりと何工程も待っている。その作業は1日できるようなものではなく、中村さんがあとはひきついで進めてくださるそう。晴れて皮から革となった鹿革を細工するワークショップは1ヶ月後に行われるとか(残念ながら私は不参加)©Makoto Hatano

 「くらして」のバックアップのもと、2頭の鹿をさばいてみましたが。感じたのは、魚でもなんでも自分でできるかぎりとってさばいて食べてみたほうがいいですね。牛や豚は無理でも、たとえば鴨をつぶして鍋にしてみるとか。自分の口に入るまでの背景を少しでも知ることで、動物とそれを加工してくれる人への感謝の気持ちが変わってきます。

 
 
ライター
高橋 紡

フリーランス編集者・ライター。食・住・自然・手仕事を主なテーマに、雑誌、書籍を手がける。アウトドアのいろはは、akimamaの運営母体である「キャンプよろず相談所」に所属したことで鍛えてもらいました。出版ユニットnoyamaの編集担当としても活動。本名の柳澤智子名義の著書『住まいと暮らしのサイズダウン』(マイナビ出版)が発売中。

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