• 山と雪

ワーケーション×自転車で楽しむ秋の六日町

2023.11.21 Tue

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林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者

 何度か新潟県の六日町を訪ねている。フリーランスライターはコンピュータさえあれば、どこにいても仕事ができるフットワークの良さがメリットだ。ロケ先であろうと自宅の布団の中であろうと、PCを開けばなんとかなる。その利点をいかしてワーケーションを実践してきたのだ。

 六日町を選んでいるのは、ひたすら心地いいからにほかならない。六日町八海山スキー場という滑りごたえに満ちたゲレンデがあり、豊富な雪がある。ここ数年はこの冬の魅力を軸にしながらも、夏にはただただ滞在して仕事に集中するという執筆滞在にまで手を伸ばしてきた。

 おかげでどこの定食屋はなにがうまいとか、どの温泉の温度が自分好み、といったリズム感も掴めてきた。

 そうしたなかで、今回六日町をめざしたのは新米狙いだ。とれたての新米を味わって、のんびりしながら抱えてる仕事をやっつけるかな〜という魂胆なのだ。紅葉もいい時期だしね〜。

 
 

米と紅葉のワーケーション

 ステイはいつもの六日町ヒュッテ(https://www.muikamachihutte.com)。全5室の小さな宿だが自前で源泉を持っていて、源泉かけ流しの温泉が入り放題。しかも居心地がよく、部屋でもダイニングでも、なんならデッキに置かれたピクニックテーブルででも快適に仕事をこなすことができる。

3部屋は八海山や坂戸山が見える高眺望。リビングはゆったり。ここで本を読むもよし、のんびり仕事をするもよし。ウッドデッキにはピクニックテーブル。天気が良ければここで過ごすのもおすすめ。館内に源泉かけ流しのお風呂があるという贅沢。奥は外気が心地よい半露天風呂。

 目当ての新米に対面できるのは宿の朝食時だ。六日町ヒュッテでは朝のお米を、グループごとに土鍋で炊いてくれる。地元の米と水を知り尽くしたオーナーが、絶妙の火加減で炊き上げた新米は、ビッカピカに光りながら弾けんばかりの炊きあがり。

 その米をワシワシとかきこんで、おっつけで塩鮭を口に放り込み、米をさらにかきこむ。口の中いっぱいに幸福感が広がり、腹の中にゆっくりと充実感がおりていく。

 こんな朝ごはんを経験すると、もう今日は仕事もなにもしなくてもいいかな〜というゆったりした気分にさえなってくる。極楽である。

この朝ごはんを食べたくて何度も通ってしまう。美味しいお米は購入することも可能。

 が、そこで気を緩めないのがワーケーションを成功させるコツ。余韻を味わいながらPCに向かい、ひと段落したところで外へ。今回は自転車で山を駆けるのだ。

 
 

美味しいところだけいただく自転車ツアー

 この六日町ヒュッテではオリジナルのアウトドアアクティビティをおこなっている。それが「ウオヌマダウンヒルサイクリングツアー」だ。ダウンヒルといっても走るのはダートではなく舗装路。車に自転車を積んで山の上までひとっ走り。そこから下りだけを楽しむという、いいとこだけをとりだした自転車ツアーなのだ。

自転車を積んだワゴンで出発地点まで。これなら体力に関係なく、だれでもクルージングを楽しむことができる。途中、ゲレンデのリフト降り場を通過。魚沼平野を一望のもとに見下ろすことができる。

 ツアーには2022年7月に参加したことがあったが、そのときは盛夏といってもいいくらいの真夏。夏の日差しのなか、高原の爽やかな風を切って下りを走るという贅沢さは格別だった。が、今回は秋真っ盛り。あたり一面紅葉という景色のなかを走り下ろうというのだ。

「オペレーションも慣れてきたし、お客さんの好みや体調に合わせて細かい調整をする余裕も出てきました。今回はとにかく紅葉がピークなんですよ。よそ見しないでいいように、要所要所で止まりますね〜」

 ツアーを率いる六日町ヒュッテの細井さんの心遣いが優しい。

出発地点の魚沼スカイラインではこんな過ごし方も。魚沼スカイラインからの眺望。秋のクルージングは、赤や黄色のモザイク模様を踏みしめて。途中にある上りはこの程度。軽いギアに切り替えればらくらくこなすことができる。

 なにしろ車で標高900mあたりまでアクセスしたら、あとは99%が下り坂。標高差700mに渡って穏やかな下りをのんびり走り、ちょっとした勾配ではディスクブレーキを軽やかに効かせながらスピードを楽しむ。こうしてトータル15㎞ほどをほぼ漕ぐことなくクルーズするのだ。

 途中、ルートは紅葉に包まれる上越国際スキー場を抜け、森の木立をかすめて走る。

「季節や天候に合わせて、南魚沼のいいところを見てもらえるようなコースを選ぶようにしてるんです」

 細井さんのオススメコースをたどりっているうちに、車はスタッフさんがふもとに回しておいてくれる。そうして余裕があればもうワンラン。

「今度は川沿いのルートいきましょう」

 はたしてそこは、夏なら絶対にフライロッドを持ってきたいと思わせるような清流だった。やばい。またやりたいことが増えてしまったじゃないか。こうしてここでやりたいことがどんどん増えていくのだ。

次は絶対にロッドを持ってこようと誓った。まさに快走。ひたすら下りのツアーは、電動自転車に乗っているようだ。

 
 

ワーケーションが導く未来

 そんな生活をしていると、いったいいつ仕事してるんだと言われるが、そこは抜かりない。たとえばこのウオヌマダウンヒルサイクリングツアーに参加した日で言えば、朝食前に1時間、朝食後には2時間。ツアーにでかけて宿に戻った、午後4時から3時間。食事に出かけて風呂に入り、就寝までに2時間と、トータル8時間くらいはPCに向かうことができる。

早起きをするまでもなく、いつもの通勤時間をそのまま作業にあてることができる。朝食後はリビングで。

 通勤や日々の雑用といった事柄の時間が仕事にあてられ、ふだん仕事している時間が余暇にかわる。こうした時間のシフトをうまく組み合わせることがワーケーションをこなしていくコツだ。

 コロナ禍を経て、仕事の進め方が変わってきた。リモートワークに一定の理解が示されるようになり、フリーランスライターならずともフットワークのいい働き方ができるようになったムードがある。それによって、仕事と余暇の組み合わせ方も変わってきた。同時に、自分の居心地のいい場所で、自分の生活の柱になることをするというライフスタイルが現実味を帯びてきたような気がするのだ。

 これまで生活の場所は、仕事や学校といった所属によって決めてきた。そうではなく、生き方でステイする場所を選ぶことが選択肢に入ってきた感がある。ワーケーションは仕事と余暇とのハイブリッドだ。時間をうまく使って余暇に費やす余力を生み出す考え方だ。だからこそ、目的地での過ごし方には、自分のライフスタイルを貫きたい。

南魚沼から望む八海山。この山が真っ白に染まるのももうすぐだ。気分転換にでかけた散歩で、こんな景色に巡り合うことができる。こうしたライフスタイルがあることに、ワーケーションを通じて気づくことができた。

 不思議だったのは、こうして、好きなものや気に入ったものが明確になってくると、出かける理由が些細なものになってくるということだった。パウダーを思い切り滑りたい、自転車で走り回りたい、といった派手なものから、美味しいお米を食べたい、のんびりしたい、へ。いまや余暇を過ごすこともだが、滞在して自分なりの時間を過ごすことが本当の目的になってしまっている。

 それはつまり、現地での生活の魅力に目が向きはじめたということなのだろう。言ってみれば、滞在生活の解像度が上がってきたのだ。ならば、ワーケーションは小さな移住と同義かもしれない。いつかここで、毎日こんなことしたいなぁと思わせてくれる。そんな将来のアウトラインを描く、夢の予行演習にもつながる働き方なのだ。

 


■オンラインセミナーのお知らせ
 テレワークの機会が増え、仕事と予価の考え方も変わりつつある。そこで南魚沼市では、首都圏からクルマでも2時間半でアクセスできる利便性をいかしながら、テレワークとアクティビティとの両立を提案。今回も夏だけでなく四季を通じて南魚沼の楽しみ方を知る3名の移住経験者が「遊・食・住」をテーマに、南魚沼市でのテレワークについて紹介する。

日時:2023年11月28日(火) 19:30〜21:00
申し込みフォームはこちら
https://forms.gle/4jX6fCX5yWT6frhV7

主催:自然体験村
運営:自然体験村
問い合わせ:自然体験村/武宮(kigurumi41244124@gmail.com)

 

■南魚沼市テレワーク/ワーケーション 現地交流会
 オンラインセミナー参加者は現地交流会にも参加可能。南魚沼市内のテレワーク環境や現地での余暇と仕事の時間配分、無料のアクティビティなどを実際に体験することができる。

日程: 2023年12月2日(土) 及び12/3日(日)

20名(オンラインセミナー参加者。応募人数が多い場合は抽選となります)
参加費:無料(アクティビティ参加)
※現地までの往復交通費、昼食等飲食代、現地駐車場代については各自ご負担ください。
集合:8:00 南魚沼市民会館(南魚沼市六日町865)
解散:16:00 南魚沼市民会館
申込方法:オンラインセミナー時にお知らせ致します。

主催:自然体験村
運営:自然体験村
アクティビティーの種類:自転車ダウンヒルツアー/紅葉里山トレッキング/ルアーフィッシング/アウトドア料理体験

12月2日と3日のタイムスケジュール(両日とも)
    8:00 集合(南魚沼市民会館)
    8:30 各アクティビティへ参加
   12:00 各アクティビティ終了
   13:00 昼食(六日町ヒュッテでピザなどのアウトドアランチ)
   14:00 意見交換会
   15:00 市内テレワーク施設体験等
   16:00 解散(南魚沼市民会館)

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