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復活する沖縄のサンゴたち

2013.06.30 Sun

宮川 哲

宮川 哲 アウトドアライター、編集者

 宮古諸島から八重山諸島へと旅を続けたAkimama編集部ですが、あちらこちらの海に潜っては、おサカナさんたちと戯れてきました。いわゆるシュノーケリングですが、身ひとつで自由気ままに海中を泳ぎ回るのは、なんとも心地よい遊びです。

 たしかに遊びまくっていたという事実もあるのですが、それだけで終わらせるにはややもったいない気持ちもありまして、沖縄の海の”いま”をご報告しようと思います。
 
 今回、潜って来たのは、宮古諸島では伊良部島のフナウサギバナタ下と白鳥崎、下地島の中の島ビーチなど、八重山諸島では石西礁湖(石垣島と西表島間の浅いサンゴ礁の海)にある無人島・加屋真島の海でした。潜ったとはいえ、わが身ひとつの素潜りですので、素人集団が30mも40mも潜れるわけではありません。だいたい10m程度の海の中です。

 伊良部島のフナウサギバナタ下の海は、実は昨年もまったく同じ時期に泳いでいたのですが、まず潜った実感として、あれれ? という思いが頭を巡りました。そのときの天気の状況やこちらの慣れの感覚もあるかもしれませんが、去年よりサンゴが減ったなぁーという強い思いです。もともと、派手やかなサンゴで埋め尽くされるような海岸ではなく、むしろドロップオフへのアプローチ的なポイントではあるのですが、それにしてもの感覚は否めませんでした。

 その一方、宮古諸島で印象深かったのは、やはり中の島ビーチです。こちらは華やかなサンゴ礁が湾内いっぱいに広がり、鮮やかな魚たちの影も濃く、生命に満ちた海でした。こちらも一年前に潜ったことのある海でしたが、今年は去年よりも天気がよかったようにも思うので、より一層のプラス印象があったのかもしれません。この海岸はリーフに守られた海なので、外海が荒れ気味でも、安心してシュノーケリングが楽しめる場所ですよ。

 さてさて、本題は八重山の方にあります。昨今の地球環境の悪化が一因なのか、八重山のサンゴ礁群には、とくに大きな被害が広がっています。オニヒトデの大量発生や赤土の流入などによって生じてしまったサンゴの白化現象は、もはや大きな環境・社会問題とまでなっています。地元の漁業関係者はもちろん、観光関係の団体、市民団体、行政機関なども集まって、何年も前から本格的な保全活動が続けられています。

 実のところ、石西礁湖は日本最大のサンゴ礁の海なんですよね。そんな海のただ中にある加屋真島のいまの海を見て、本当に驚きました。白化現象はどこへやら、なんときれいな海なんだろうと。リーフに守られた内海には、波に弱い枝サンゴの大群落が見晴るかすかぎりに広がっていました。青、白、ピンクに黄色とさまざまな色のサンゴが混ざり合って、ひとつの海中世界を造り上げています。リーフの外には、波に強いテーブルサンゴの棚が海底深くまで続いて見えています。そしてまた、なんと魚影の濃いことか。
 
 地元の人の話によれば、このあたりのサンゴも一度はオニヒトデにやられてしまい、数年前までは白化したサンゴが無惨に広がっていたということです。それが、ここ二、三年くらいの間に復活し始め、いまの状況が見られるようになったそうです。ただ、白化が起こる前の状況までは、まだまだ時間も掛かってしまうだろうとも話していました。

 いま加屋真島の海の底で広がりつつあるサンゴたちが、もっともっと大きく生長できれば、周囲への放卵の数も多くなり、近辺のサンゴの密度も濃いものに変わって行くはずです。そしていつしか、石西礁湖の海がかつての海のようになる日も来る……かもしれません。

 ただ、ご存知のように海の環境は悪化の一途をたどっているのも事実です。海水温の上昇によるサンゴ礁の減少もニュースで報じられています。でも、石西礁湖の海はいま、元気に蘇ろうとしています。もちろん、こちらも現実です。

 これこそ環境問題のむずかしさではありますが、現状の知らなければ、その対処のしようもないはずです。環境負荷を与えずに、その海を知ることの大切さ……。ひとりでも多くの人が、肌で現実を知っておくことが、とても大切なんだと思います。遊びにも意味を見出す。そんなスタンスで、ぜひとも沖縄の海を訪れてみてください。海の底には、知らなかった“いま”の世界が広がっているはずです。

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