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日本の教科書問題の闇に輝く、歴史的な一冊が刊行!

(2013.09.17)

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野宿

かとうちあき著 亜紀書房刊 定価1000円(税別) A5判 並製 96p 4C+1C+2C

かとうちあき

かとうちあき 1980年神奈川県生まれ 法政大学社会学部卒 「人生をより低迷させる」がキャッチフレーズの 旅コミ誌『野宿野郎』の編集長(仮) /野宿愛好家(野宿歴16年)/介護福祉士

 学校で用いられるさまざまな教科書の記述や解釈、または取り上げる内容を巡って、これまでに数多くの議論や対立が起こっています。それは国内のみならず、周辺諸国との外交問題にも発展し、大きな問題となることもしばしばしです。そんななか、さらに議論を呼び起こしかねない、問題の火種ともいえそうな1冊がこのほど、教科書検定をスルリとすり抜けて、ふわっと刊行されました。教科は何に該当するのかわかりませんが、書名は「あたらしい野宿(上)」。

 本書は、これからの社会をたくましく生き抜くため、10歳から身につけたい正しい野宿の仕方を、日本の野宿界の第一人者である、かとうちあきさんが、懇切丁寧に解説します。この教科書のなかで、話を中心的に進めていく主人公の「のじゅくん」が野宿に出会い、野宿を通して成長していくさまは、まさに現代社会をサバイバルしていかなければならない私たち、ひいては私たちの次の世代へのアンチテーゼでもあります。そして、主人公の「のじゅくん」を支える各界の野宿の指南役たちは、とかく生きにくいこの現代社会を逆手に取りながら、したたかに生き抜くスターでもあります。

 アウトドアやキャンプの教科書は、多方面からさまざま刊行されていますが、野宿という教科書はこれまで刊行されておりませんでした。しかし、先の震災やこのところの異常気象による自然災害からの避難生活など、野宿をするというシチュエーションも、あながち人ごとではありません。下手なアウトドアマニュアルを読むよりも、いざ、野宿ということを真剣に想定しなければならない時代となっているのかもしれません。

 近い将来、家庭科、いや体育の学習指導要領のひとつに野宿という技術や知識が加えられ、小さいうちから真剣に学ばなけれならない時代が来るかもしれません。

 
 
ライター
滝沢守生(タキザー)

本サイト『Akimama』の配信をはじめ、野外イベントの運営制作を行なう「キャンプよろず相談所」を主宰する株式会社ヨンロクニ代表。学生時代より長年にわたり、国内外で登山活動を展開し、その後、専門出版社である山と溪谷社に入社。『山と溪谷』『Outdoor』『Rock & Snow』などの雑誌編集に携わった後、独立し、現在に至る。

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