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人はなぜ垂直の彼方をめざすのだろう……!? 映画『クライマー パタゴニアの彼方へ』上映中

(2014.09.09)

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climber

南米パタゴニアの鋭鋒セロトーレは、烈風吹き荒れるその地理的条件から登頂に困難を極める山として知られている。その昔から、世界中のクライマーたちを惹き付けて止まない。まさに垂直に上へ上へと延びる巨大な岩壁を、身ひとつで登って行く様は、間違いなく見る者を圧倒する。デビッド・ラマの美しきクライミングと、パタゴニアの自然の美しさが一体となって、この映画をさらなる高みへと押し上げている

 この8月末にロードショーが開始された映画『クライマー パタゴニアの彼方へ』。

 クライミング界の異端児が思い描いた夢。命知らずのクライマーが、3年もの歳月を掛けて、フリークライミングによるセロトーレ南東稜の登攀を完遂させる物語だ。

 何がスゴいって、まずやっている行為そのものがスゴい。息をのむほどの映像美。

 失敗に失敗を繰り返しながら、それでもフリー完登をめざすクライマーの姿。葛藤、その人心の変遷。

 さらには、この一本の映画が完成するまでの紆余曲折の過程が、そのままに描かれている点もスゴい。

 制作チームが撮影時の安全確保のために岩壁にボルトを打ち込んでしまうダブーを犯し、各方面から浴びせられる集中砲火。それを、あるがままの姿で映画にしてしまっている。

 それぞれの才能と信念、そして負けん気が生み出したとてつもないドキュメンタリーだと思う。

 山登りを志す人、クライミングを実践する人はもちろん、まったくの門外漢でも、この映画を見ればついとその世界へと惹き込まれてしまうだろう。

 クライミング行為自体の迫力も然ることながら、難攻不落といわれたパタゴニアの鋭鋒セロトーレの“登攀の歴史”が掘り起こされるところも興味深い。

 山頂直下のあの垂壁に、あんなに大きなコンプレッサーがぶら下がっているなんて……。

 何はともあれ、一度は観てもらい映画だ。 

                     

■『クライマー パタゴニアの彼方へ』予告編

          

出演:デビッド・ラマ(2008年ワールドカップ総合優勝/若き天才クライマー)、ペーター・オルトナー、トーニ・ポーンホルツァー、ジム・ブリッドウェルほか
監督:トーマス・ディルンホーファー
2013年/オーストリア/103分/原題:Cerro Torre
提供:シンカ、ハピネット 配給:シンカ
            

新宿ピカデリーほか、全国にて上映中。
          

詳しくは、映画『クライマー パタゴニアの彼方へ』
公式HP(http://climber-movie.jp

 
 
ライター
tetsu

山岳•アウトドア関連の出版社勤務を経て、フリーランスの編集者に。著書に『テントで山に登ってみよう』『ヤマケイ入門&ガイド テント山行』(ともに山と溪谷社)がある。

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