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【レポート】屋久島からメディア業界裏話まで! 性格異なる2つのトークイベントをパタゴニアと開催!

2017.07.21 Fri

 先日、Akimama初となるトークイベントを開催しました。

 開催場所は「パタゴニア東京 渋谷ストア」と「パタゴニア京都」の2店舗。それぞれスペシャルすぎるゲストをお迎えし、山を大きなテーマにトークを繰り広げました。今回はそのレポートをお届けします。
 記念すべき初回は、「屋久島」をテーマにした渋谷ストアでのトークセッション「〜森と雨と屋久島を語る夜〜」。ゲストは作家・田口ランディさんと、自然風景や人物をおもに撮影されるフォトグラファー田渕睦深さん。おふたりはこれまで何度も山取材を供にしてきた旧知の間柄です。
 以前、雑誌の連載で訪れたという屋久島取材の写真をベースに話をしていただきましたが、まず驚いたのはランディさんの屋久島のお詳しさ! 半分ガイドとも呼べるような屋久島に関する知識量に、来場者はもちろん、パタゴニアスタッフやAkimamaスタッフも舌を巻く思い。長年にわたり通い詰めたという屋久島を綴った旅のエッセイ『ひかりのあめふるしま屋久島』からも、その様子が伺いしれます。

 また、田渕さんのすばらしい屋久島の写真も見ごたえがありました。

 今回はパタゴニアの新しいレインウェア「クラウド・リッジ・ジャケット&パンツ」のリリースを記念したイベントだったので、おもに雨や水、川といった題材で写真を選んでもらいましたが、田渕さんが写真のなかにとらえた自然の瑞々しさや、光の陰影の美しさは、まさに大画面で見るためにあるようでした。宮之浦岳縦走コースへの入り口となる淀川登山口のそばを流れる淀川支流の清流上/メジャーな登山道から外れ、名もなき大樹が乱立する花山歩道。左下/九州最高峰・宮之浦岳(1,791m)。右下/こちらも無名の縄文杉。触手のように力強く枝を四方に延ばす左上/青い光を帯びる日没直後の白谷雲水峡。左下/空から落ちてきたこの1滴が島を抜け海へと注がれる。右/しっとりと朝もやに包まれる屋久杉。こちらも花山歩道にて(以上、屋久島写真=田渕睦深)

 この夜は、おもに仕事帰りの方に多く足を運んでいただき、また女性が多かったのが印象的。トークイベント終盤はSkypeを屋久島とつなぎ、さまざまなエコツアーを開催する「YNAC」の小原比呂志さんから島の水の循環について話を伺ったり、森に響きわたる雨や川の音を収録した音源に耳を傾けたり……と、まさに盛りだくさんの内容に。
「屋久島へ行ってみたくなった」「縄文杉だけが屋久島ではないと知りました」「次は縦走をしてみたい」など、より屋久島への興味が深まったという声が来場者から多く聞かれました。

 ちなみに、ランディさん・田渕さん的に屋久島を訪れるオススメのタイミングは、新緑が始まる4〜5月とのこと。屋久島までの移動でほぼ2日を費やすため、山や森から町まで島をしっかり楽しむには少なくとも全日程で1週間はほしいとおしゃっていました。今から長期休暇の計画を立て、来年の春屋久島を訪れるのもいいですね。

 さて、その10日後に行われた第2回はところ変わって京都店。こちらは大きくテーマを変えて、登山雑誌やアウトドア雑誌の編集長をゲストに招き、雑誌制作の裏舞台に迫ると言うものでした!

 次ページは京都店開催の「登山/アウトドアメディア 公開企画会議」の模様です。


 京都店で行われたトークセッションのタイトルは「登山/アウトドアメディア 公開企画会議」。

 創刊から36年を数える日本のアウトドアカルチャーのオピニオンリーダーとも言えるアウトドア専門誌『BE-PAL』の編集長・大澤竜二さんと、現在の若者の登山ブームの牽引役ともなった登山雑誌『PEAKS』の編集長・朝比奈耕太さんのふたりをゲストに迎え、雑誌の編集の舞台裏に迫ってみようというのが今回の企画でした。
『BE-PAL』大澤竜二編集長(左)と『PEAKS』朝比奈耕太編集長 
 お聞きしたところによると、アウトドアメーカーが主催する新製品の展示会や記者発表などで顔を合わせることはあるものの、こうして対談という形でしっかりと話すのは初めてというおふたり。が、雑誌制作でテーマとするジャンルや、活動するフィールドに少々の違いはあるものの、互いの媒体はいつもチェックしているそう。
 今回は雑誌制作秘話のほか、「雑誌はどのように作られるのか」という制作の流れを来場者に理解いただくとともに、「クラウド・リッジ・ジャケット&パンツ」を使って誌面で企画を展開するとしたらどんなものにしたいか、という架空の企画のプレゼンまで行ないました。

 ちなみに、こちらがざっくりした雑誌制作の流れ。
 2の台割(だいわり)とは、どのページにどの企画が入り、どこに広告などが入るか……といったことを把握するための言わば雑誌の設計図(すべての出版物にこの台割が存在)。編修会議で決まった企画を編集長あるいは編修部員が台割上に落とし込み、各担当編集者がライターやカメラマンとその後実際にフィールドなどで取材、撮影。4のデザイン出しでは、取材や撮影で集めた素材をどう使ってページを展開するか……を、手書きのラフを用いてデザイナーに伝えます。

 デザイナーから上がってきた5の「レイアウト」はまだ原稿が入っていませんので、レイアウト通りの文章量に合わせて原稿を執筆(4の段階で一緒に原稿を渡すケースもある)。6で原稿と写真、レイアウト一式を揃えて印刷所に入稿。その後、入念な校正や色見の確認ののち、校了となるわけです。本当に手間がかかります!

 BE-PAL、PEAKSはともに月刊誌であり、この一連の作業とともに、次号の会議や取材も同時進行で進めるわけですから、それらの柱となる編集長が多忙を極めるのも当然のことと言えます。
 
 そんななか、おふたりが用意された「クラウド・リッジ・ジャケット&パンツ」を使った架空の企画がこちら。『PEAKS』朝比奈編集長は部下に企画立案の指示を出し(左上)、編集部スタッフがPEAKSらしくどう見せればクラウド・リッジ製品の魅力を伝えられるかを考案(右上・下画像)。スタッフは、高温多湿な日本の気候を掘り下げるとともに、パタゴニアアンバサダーや有名ライターを起用し、実際にフィールドでテストを行う企画などを考えた
一方『BE-PAL』大澤編集長はみずからイメージを手書きし、2案考案。クラウド・リッジ・ジャケット&パンツを構成しているパーツを実寸大で掲載するという大解剖企画と、雨を題材にした日本美術や雨具の歴史と合わせ最新レインウェアについて言及するという企画だ
 来場者のみなさんはというと、渋谷店と比べ男性の割合が多く、また幅広い年齢層。全体的に山好きの方が多そうな印象でした。熱心にメモを取る方もおられ、トークセッションというよりもメディア講座のような雰囲気に。「同じ製品を題材にした企画でも、こうも雑誌によって発想が違うものだというのが非常に興味深かった」という来場者の声も聞かれました。
 まったく性格の異なるふたつのイベントを開催したパタゴニア×アキママ。今後もさまざまな視点からアウトドアの楽しさをお伝えする、リアルイベントを開催していきたいと思っています。
(渋谷写真=清水紘子、京都写真=奥田高文)

 最後に余談ですが、Akimamaが立案した企画。ふざけてますね……、いや大まじめです!

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