• フェス

フジロックから始まる新しい野外フェスティバルのOSAHOとは

2021.05.04 Tue

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

 日々刻々と変化するコロナ禍のなか、残念ながらアラバキロックフェスティバル(宮城)は、開催中止になってしまいましたが、先日開催されたGO OUT CAMP(静岡)や、GWに開催されたJAPAN JAM(千葉)、そして5月20日から開催されるTHE GREEN ROOM FESTIVAL(横浜)など、これからのシーズンは全国各地で野外フェスの開催が予定されています。

先月開催されたGO OUT CAMPではキャンプサイト間のディスタンスをゆったりと広くとってキャンプをする人が多かった

 各イベントでは感染防止のガイドラインを策定し、地域の理解と来場者の協力により、安全で安心なフェスティバルの開催に向けて努力しています。

 そして先日、フジロックフェスティバルは、8月20日(金)から22日(日)までの3日間、外国人アーティストの招聘を断念して「コロナ禍で開催する特別なフジロック」の開催を発表しました。アキママの読者の中にも、2年越しのフジロックを心待ちにしている人も多いことでしょう。

 大自然の中で開催される野外フェスティバルは、他のアウトドアアクティビティと同様に天候の急変や台風による雨や風などの気象リスク、人に危害をおよぼす危険な野生動物や虫、毒のある植物やキノコなどの予備知識や対策に加え、これからは感染症についてもしっかりと考えなくてはなりません。

2019年は思わぬ豪雨でキャンプサイトが沼になってしまい、緊急避難を余儀なくされた

 地球規模の気候変動や環境破壊により、マラリアやコレラ、デング熱など、これまで日本での発症がごく稀だった感染症もグローバルな人の動きとともに、感染域を拡大させています。これは今回の新型コロナウイルスに限ったことではありません。

 これからのアウトドア活動においては、自然に対する心構えや準備だけでなく、感染症などに対する科学的な知識と、人にうつさない、他所へ持ち込まないという、思いやりの気持ちをもった責任ある行動がこれまで以上に大切です。それは、私たちの大切な家族や友人、地域社会を思いやる「LOVE&PEACE」のスタイルです。

上信越国境に位置する苗場は、積雪に恵まれ豊かな水系と森を育む。会場を流れる清津川の河原は、ところ天国としても知られる。

 これまでもフジロックでは「自然と音楽の共生」を掲げ、生物多様性に恵まれた新潟県、苗場の広大な自然環境のなか、再生可能エネルギーの導入やカップや食器などの資源リサイクル、森林整備や間伐材の利用など、フェスティバルを通して、さまざまなアクションを実践してきました。

会場内の森はFUJIROCKERS FORESTと名付けられ、誰もが歩ける森として整備され、間伐材は飲食出店で使う箸や、フライヤーやフリーマガジンの紙として再生されている。

 フジロックは、諸外国からのアーティストをはじめ、人種や性別を越え、多くの来場者を迎え、もっとも多様性に富んだグローバルなフェスティバルでもあります。そこで私たちが実践してきたさまざまなアクションは、国内のみならず、世界でも野外フェスティバルの見習うべき姿として、世界で最も美しいフェスティバルとして称賛されてきました。

ゴミの分別や喫煙マナー、イスやシートの放置などフェスティバルのエチケットをOSAHOとして、誰もがわかるように会場で告知

会場内ではソーラーやバイオディーゼルなど、再生可能エネルギーも使用。エネルギー問題をテーマにしたブースやトークライブも開催

 これまでのように、フジロッカーが率先して、日本のフェスティバルカルチャーをつくり上げてきたように、私たちの叡智と行動によって、新しい野外フェスのスタンダードをつくり上げていけるはずです。これまで以上に「LOVE & PEACE」な気持ちを込めて、お互いに人や自然を思いやり、安全で安心なフェスティバルをいっしょにつくりあげていきましょう。アウトドアを愛する私たちならきっとできるはずです。

ディスタンスが取れる広くて日当たりのいいキャンプサイトは、上に行けば行くほど広がっている。

『LOVE&PEACE』な野外フェスの新たなOSAHO

マスクは他者への思いやりの意思表示です。人にうつさないための行動規範です! 自分を守るためのものではありません。

会場内やキャンプサイトではマスクを常時着用。マスクを外して会話をしない。食事は黙食、喫煙は所定の場所で!

飛沫は風に乗って飛んでいきます。トイレや飲食で列を作らない。人の真後ろを歩かない、立たない。大勢で集まって飲食をしない。人混みでは、声を出さない。

グループや友人同士など、複数人でひとつの大型テントの利用は感染リスクが高まります。ただし、家族やパートナーなど、同一世帯や、共同生活をしている人同士でのテント利用はこの限りではありません。テントは、1人1つ、ソーシャルディスタンスを保つことのできるソロキャンプ、ソロテントを推奨します。

テントを設営するときは、となりのテントとの距離を少なくとも2m以上空けること。グループ同士で集まってテントの外で飲食はしない。

食器やカトラリー、寝袋やマットなど、道具の貸し借りはしない。個人装備の管理を徹底しよう。

自然の循環から外れたものはすべてゴミです。ゴミは出さない、ゴミになるようなものは持ち込まない。出したゴミはファスナー式のビニル袋などに入れ、封をしてすべて持ち帰ろう!

手洗い、消毒を励行する。水場が少ない野外では、手指消毒液は各自必ず携行する。食事の前、外からテントに入る際、トイレに行った際には必ず手指の消毒を!

(写真=sumi☆photo@FRF19)


FUJI ROCK FESTIVAL'21のオフィシャルサイトはコチラ



記事を読む »
フェスエコ'21の記事はこちら

Latest Posts

Pickup Writer

ホーボージュン 全天候型アウトドアライター

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

森山憲一 登山ライター

高橋庄太郎 山岳/アウトドアライター

森山伸也 アウトドアライター

村石太郎 アウトドアライター/フォトグラファー

森 勝 低山小道具研究家

A-suke BASE CAMP 店長

中島英摩 アウトドアライター

麻生弘毅 ライター

小雀陣二 アウトドアコーディネーター

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

宮川 哲 編集者

林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

ふくたきともこ アウトドアライター、編集者

北村 哲 アウトドアライター、プランナー

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

河津慶祐 アウトドアライター、編集者

Ranking

Recommended Posts

# キーワードタグ一覧

Akimama公式ソーシャルアカウント