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試乗してみて本気で欲しいと思った。BURTONの新システム「ステップオン」

(2017.05.07)

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 遅ればせながら、来シーズンにリリースされるバートンスノーボード(BURTON SNOWBOARDS)の新システム「ステップオン」を体験してきた!

 昨年末、米国で先行してプレス発表され話題沸騰のバートンの新システム「ステップオン」。海外メディアがアップした動画でもかなり高評価。国内でも数回試乗会が開催され国内のメディアや個人の方の絶賛の声もSNSなどで目にするようになった。ここはAkimamaとしてもぜひ体験して、その評判の真偽のほどを確かめなければと、今シーズンの滑り納めを兼ねて試乗の機会に参加してきた。

 ご存知ない方のために予備知識としてお伝えしておこう。スノーボードの場合、ブーツとバインディングはストラップで固定するのが一般的だ。初心者なら座り込んで装着するので30~40秒ぐらいかかる。慣れた上級者でも5、6秒はかかるだろう。わずか数秒だが、この数秒間がもどかしい。スキーヤーと一緒なら余計に感じるはずだ。
 これを解消する方法として、各社さまざまな方式でバインディング装着の簡略化のテクノロジーがリリースされた。リアエントリーやトウとアンクルの2つのストラップの一体化などもあるが、もっともクイックな方式としてステップ・インという概念が生まれた。ステップインの代表的なものとして、バートンのSIシリーズ、K2のKwicker、ヨネックスのAccubladeなどがある。K2とヨネックスは継続的にリリースしていたが、バートンはその後ステップインから撤退。市場としても依然一般的なストラップ式が主流で、ステップインは一部の層、特にバックカントリー志向の方々を中心に支持されてきた。
 しかし、一時ステップインから撤退したバートンが、ついに新たなステップイン方式を発表したのだ! しかも「ステップオン」という名称で。みなさん、ここまでついてきてるかな?

 このステップオン、なんでインじゃなくてオンなのか? その辺はおそらくバートンなりのこだわりなのかもしれないが、確かにいわれてみれば、オンのほうがしっくりくる。パイルダーオンを知っているマジンガーZ世代の我々は特に。

 能書きはさて置き、実際試乗してきたので、このバートンのステップオンがどういう機構なのか、解説しよう。

 多くのステップイン(オン)システムがそうであるように、この機能を実現するには、バインディングとブーツが一対となってはじめて完成する。バインディングとブーツを固定するためにはフック(爪)とクリート(受け)が必要だ。またストラップがないため、ブーツには強度が必要で、その分必然的にブーツは硬く、そして重くならざるを得ない。これはステップインが敬遠される要因のひとつでもあった。

ステップオンのブーツとバインディング。ブーツにはヒールとつま先両サイドにクリートがあり、バインディングには、ヒールのバックルとトウの両サイドにフックがある。ブーツのヒール上部にあるクリップは、パンツの裾を固定するためのもの

 今回のバートンのステップオンは、バインディングのヒールカップにあるバックルにブーツヒール側のクリートとロックする。これによりほぼ9割方ブーツとバインディングを固定でき、バインディングつま先側両サイドについたトウフックがブーツのトウクリートに噛むことで、左右ズレがなくなり完全に固定されるという3点止め方式だ。リリースはバインディングのヒール外側についたレバーを引くだけという簡単さ。

トウ側のフックは踏み込むことでバチンと噛む。先に固定しなくても、ヒールが固定されていれば滑りだしてから軽くオーリーして着地すればそれで噛ませられる

 今回のステップオンの肝は、ヒールバックルにある。三段階でバックルとクリートが噛んでいく機構となっていて、ブーツとバインディングの間に雪が入っていても一段階目で固定され、踏み込んで雪が潰れれば二段階め、さらに踏み込んで三段階めまではまる。雪が無ければ一気に三段階めまでいくが、一段階のはまり方でもリリースされることはないのだ。これはブーツのクリートに雪が入ることでなかなか固定できなかった従来のステップインとは一線を画す。おそらく幾度とないフィールドテストの賜物なのだろう。ゲレンデはもとよりバックカントリーでの脱ぎ履きなど、さまざまなケースが想定されている。

このヒールバックルがよくできている。3段階で完全に噛み合うが、1段階目でも外れることはないので、多少雪が挟まっていても滑りに支障がない

 それと、なによりブーツが軽い。最小限のパーツだけで完全に固定されるシステムにすることで、足裏に金属パーツが入らず足裏感覚が損なわれていない。クリートが3点付いている以外はほぼ通常のブーツと変わらない。

 果たしてこれで滑りに影響しないものかと思いつつ、滑りだしてみた。ほぼ、いや全く違和感がない。ストラップによる抑えはないが、ブーツのインナーの出来がよいのか踵が浮くこともなく、前後のズレもない。従来のステップイン系ブーツにあるような硬さも感じない。バートンのスタッフの方曰く「ライディングを諦めてない」らしい。つまり利便性のために足裏感覚やムーブを犠牲にすることがないということだ。これは衝撃的だ。
 それと最初は戸惑ってうまくいかなかったが、慣れてくるとリフトから降りながらステップオンすることができるようになった。これができるとかなりかっこいい。

 来期発売のステップオン対応ブーツは、Photon BoaとLuler Boaの2モデル。いずれもBoaシステムを採用していて、脱ぎ履きもフィット調整も容易。ブーツの軽量化にも一役買っているらしい。バートンのみが使用できる非金属のニューイングランドロープナチュラルファイバーレースはしっかりと締まる上に、適度なフレックスがありアタリが柔らかい。

 どこかしらマイナス面を見つけようとしたが、ほぼほぼ見当たらない。強いて言うなら、ブーツのラストがややナローなようで、前足部がきつく感じた。0.5cmアップぐらいがちょうどいいかもしれない。またはアジアンフィットのライナーが出ればいいのにというぐらいか。あとは、パンツの裾がブーツのヒールクリートを隠さない位置に固定する必要があり、「パンツの裾はブーツより長めで踏んづけるぐらいがかっこいい」というスタイリングにこだわりのある方には敬遠されるかも?

 とにかく、このステップオン、まだ改良の余地は残されているかもしれないが、かなり完成度が高く、今後このタイプが主流になってもおかしくないとすら思ってしまった。今使っているブーツもバインディングも調子いいんだけど、これはこれで本気で欲しいと思った。あとはお財布と相談だな。

▼詳細は下記
BURTON STEP ON特設ページ

 
 
ライター
渡辺信吾

アウトドア系野良ライター。デザイナー、Webディレクター、コーディネーターとしても活動中。波乗り、雪乗りで一年中真っ黒。 ホームページ「NORA」

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