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このザックひとつさえあれば、もう何もいらない⁈ カリマーSL35に込められた作り手の妙。

(2017.07.18)

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 ザックを持った瞬間から、こいつとの相性の良さを感じました。まだなんの荷物さえも入れていないというのに、これは使える! とピンときたのです。その予感は、パッキングをしていくうちに、確信に変わり、実際に山で使えば使うほど、このザックに愛着が湧いていきました。
 大型ザックに比べて、小型ザックなど、どれも似たようなもので、多少のギミックが違うだけで、使用に関しては大差ないと思っている人は多いのではないでしょうか。重荷を長時間背負うわけではないので、多少、背負い心地の良し悪しがあったとしても、それが山行の成否に関わるような問題になるわけではない。と、小型ザックを選ぶ際に重要視するのは、デザインとお値段ぐらいなもので、ハイキング程度の山行であれば、そう簡単に壊れることもないので、なかなか買い換えることもしない……。
 ところが、近年のザックの進化発展には目を見張るものがあります。登山形態が多様化し、登山スタイルに合わせた機能や素材の開発は、とどまるところをしりません。とくに、このような小型ザックにも、製品開発の粋があますことなく結集されているのです。
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 今回レビューするのは、カリマーのSL35というザックです。ザックを持った時に感じたフィーリングのよさは、ザック自体の軽さとハーネスの感触でした。ザック本体の重量は960gと非常に軽いのですが、ショルダーハーネスやウェストハーネスがとてもソリッドで、軽量化されたメッシュパッドの厚さや幅が必要かつ最小限で本体とのバランスがとてもいいのです。
 そして、パッキングのしやすさも気に入ったポイントです。背面内部に薄手のバックパネルが内蔵されているので、パック本体の形状が崩れることなく、ラフにパッキングしても、背面パッドに違和感を感じることはありません。雨蓋は固定式で、内側にもメッシュポケットが付いているので、ついどこに入れたのか不安になるスマホやカギ、財布などがいつでも視認でき、近ごろ物忘れがひどくなるいっぽうの私にはとても安心です。
ザックの背面は必要最低限のパッドが配され、その立体的な隙間に空気の通り道ができて通気性を確保している。内部のパネルは立体形状で背面のフィット感はかなり高い。チェストストラップはワンタッチ式のタイプで上下の可動位置が広い。荷重を分散し、よりフィット感を高めるウエストハーネスには、ジッパー付きのポケットが配されている
 本体のサイドファスナーを開けると、内部に簡単にアクセスできます。これも本当に便利です。右横にあるのがポイントで、右肩をかけたまま、ザックを下すことなく雨具や水筒、カメラなどを本体内部から取り出せます。小物しか入っていないザックをわざわざ降ろし、バックルを外し、巾着のドローコードを開けて、ボトムの奥底に手を入れる、という煩わしい手間がかかりません。大型ザックを背負っているときよりも、低山ハイクなどのライトな山行では、カメラやスマホ、飲み物や食べ物、地図やガイドブックなど、ザックから小物をこまめに出し入れする機会がじつはとても多いのです。
本体右横からアクセスできるサイドジッパーは、緩やかにカーブしているので、開口部が大きく開く。雨蓋内側のメッシュポケットはとても使いやすい。フロントとサイドには伸縮性のあるメッシュ素材のポケットがあり、雨具やボトルなどを簡易的に収納するのに便利だ
 今回は、自炊による山小屋泊1泊2日の山行で使用してみました。容量が35リットルあるので、炊事用具や食料など重量系の荷物もかなり入ります。それでいて、ザックが軽量の割にはとてもしっかりとパッキングができ、荷物を入れれば入れるほど、全体が安定するとともに、背面のフィット感が高くなるのにもびっくりです。背中にぴったりとザックが吸い付くような感覚とでもいうのでしょうか、ウェストハーネスをしめれば、さらにザックとの一体感が増します。
 また、フィッティングの良さに加え、バックルの大きさや形状、ストラップの幅、フロントパネルとサイドに付けられたメッシュポケットなど、山行中のふとしたときに、細部から作り手の妙が伝わってきます。まさに痒いところに手がとどく、気の利いたザックです。このザックひとつさえあれば、日本のほとんどの山行をカバーできるにちがいありません。


SL35 type2
価格:17200円
容量:35L/重量:960g/カラー:アマゾン他3色
【ギアレビュー取材協力:SBA】

 
 
ライター
滝沢守生(タキザー)

本サイト『Akimama』の配信をはじめ、野外イベントの運営制作を行なう「キャンプよろず相談所」を主宰する株式会社ヨンロクニ代表。学生時代より長年にわたり、国内外で登山活動を展開し、その後、専門出版社である山と溪谷社に入社。『山と溪谷』『Outdoor』『Rock & Snow』などの雑誌編集に携わった後、独立し、現在に至る。

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