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子供が初めて手にする「ファーストナイフ」はオピネルの#7がいいんじゃないか

(2020.02.19)

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 息子がナイフを扱える歳になった。

 今までも包丁や小刀は使わせていたが、個人用のナイフは持たせていなかった。刃物の扱い方は身につけてほしいけれど、一生付いてまわるほどの大ケガはしてほしくない。いつになったらナイフを与えられるかと、たまに刃物を渡しては知らん顔をして(しかし横目で凝視しつつ)様子を見ていた。

 ナイフに親しむのは難しい。早く与えれば体に馴染むが、馴染むまでに腱や神経をざっくり切るかもしれない。適度に痛い思いはしても深刻なケガはしないタイミングで与えたい……。

 刃物の取り扱いには、野外活動のエッセンスが詰まっている。刃物は生身ではできない仕事をこなし、作業の効率を飛躍的に高める。そのかわり、使い方を誤れば大きなしっぺ返しがある。自分の行為への責任の持ち方、注意の仕方、技術の運用について刃物は多くのことを教えてくれる。

 今も自分の手に残る少年時代の切り傷と息子を見比べていたが、ついにそのときがやってきた。集中力と興味が持続するようになり、用心深さも身についた。もう、大丈夫だろう。

 そこで与えたのがオピネルの#7のステンレスブレード。少し前から、最初のナイフは#7がいいのではないかと目星をつけていた。

 まず、シンプルな安全機構がいい。オピネルはブレードとハンドルの接合部にC型のリングが被せられている。このリングをスライドさせることで、収納時と展開時のそれぞれで、ブレードをしっかりロックできる。きちんとロックをかければ、ポケットの中で刃が開いてケガをする、なんてことがない。

 ハンドルの太さ、大きさも子供の手にちょうどいい。大人用のナイフはハンドルが太すぎ、子供の手では適切に力をかけられない。

 ブレードが長すぎないのもいい。非力でコントロールもあやしい子供の手では、力点(ハンドル)と作用点(刃先)の距離が長くなるとグラグラして危ない。ブレードの長さは作業に足りつつ、短いほうがいい。

 ブレードの形もいい。鋭いポイント(切っ先)があり、エッジにはカーブした部分とストレートの部分がある。穴を穿ち、撫で付けて切り、力を込めて切り出す、というナイフの基本動作ができるデザインだ。ブレードの鋼材は炭素鋼とステンレスがあるが、メンテナンスが楽なステンレスが子供向けだ。

 オピネルには刃物に不慣れな人向けにポイントを丸くしたモデルもあるが、刃物の使い方を知るために与えるなら、ポイントは必要だと思う。

 そして、いちばんの決め手になったのは刃の薄さだ。ハンドルの太さやブレードの形状が子供向けのものは他のメーカーにもあるが、それらはブレードが厚すぎた。ブレードが厚いと強度は増すが、エッジの角度が大きくなるため、非力な人は物を削りにくい。

 子供は雑多な工作にナイフを使うから、強度よりも削りやすさを優先したい。#7のブレードの厚みはは1.5mm。峰からエッジに向かって削り込まれ、刃が鋭角なので少ない力で切り進める。

 その反面、刃が薄いぶんオピネルのステンレスブレードは刃がこぼれやすい。というか、めくれやすい。刃が食い込んだ状態でこじるとすぐにエッジがめくれる。しかし、これを直すのも砥ぎの練習になるから、初めてのナイフにはちょうどいいだろう。

 そんなわけで、ことあるごとに息子にナイフを使わせている。「おう、ちょっとやってみろよ」なんて鷹揚に構えているが、チラ見しては「キャッ! なんて大胆!」と睾丸を縮み上がらせている。#7を渡してから、息子も私も私のムスコもヒュンヒュンしっぱなしである。

 頼むから、大ケガだけはしてくれるなよ!

オピネル/#7
¥1,600〜

畳んだ状態でこするとメタルマッチの火花も飛ばせるぞ。

 
 
ライター
藤原祥弘

野生食材の採集と活用、生活技術につながる野外活動などを中心に執筆とワークショップを展開。twitterアカウントは@_fomalhaut

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