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焚き火恋しこの季節。火の粉にも穴の空かない“Orange×NANGA”の最強ダウン。

2020.11.20 Fri

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宮川 哲 編集者

胸に輝く「NANGA」の織りタグ。じつは懐かしい昔のバージョン。このタグが付いているのは……。
 ヒマラヤの高峰、ナンガ・パルバットから名付けられた「ナンガ(NANGA)」。国産ブランドとして長きにわたって寝袋をつくり続けてきたアウトドアブランドである。前身は琵琶湖の布団製造からはじまっているが、95年に社名を変更後、オリジナルブランド「ナンガ」の製品はその品質のよさから注目が集まり、またたく間に名が知られるようになっていく。遠征などにも使われることで、フィードバックを経てさらなる開発もなされた。

 そして、ダウンジャケットの試作品がつくられたのは02年のこと。翌03年には、以降、ナンガの顔ともなる「オーロラダウンジャケット」の販売が開始される。

 ……と、いきなりナンガの話から始めてしまったが、同ブランドのファンにとっては、なにをいまさらといったところだろう。ナンガ独自の防水透湿素材、オーロラテックスを使ったダウンは、そのデザイン・機能性とコストパフォーマンスとのバランスのよさが相まって人気が高く、息の長い商品となっている。

 今回の話のきっかけは、このオーロラダウンジャケットから。ナンガの展開のおもしろいところは、国内の人気セレクトショップなどとコラボレーションを手掛けることにもある。ナンガではかつてOEMでPBブランドを製造していたこともあり、自社ブランドが誕生してからもそのフットワークのよさは変わっていない。

 ここで紹介したいのは和歌山のアウトドア・セレクトショップ「Orange」とコラボしたナンガの商品である。ナンガが滋賀県、Orangeが和歌山県ということで近畿圏では見慣れたコラボかもしれないが、国産にこだわるナンガと地元かつらぎ町に重きを置くOrangeのタッグは、必然的というか、無理のないしぜんな成り行きのようにも思えてくる。

 さて、「ナンガ×Orange」コラボの注目モデルは、こちらの「焚火ダウンジャケット」である。
左が「焚火ダウンジャケット」で、右が「オーロラダウンジャケット」。どちらもOrangeのNANGA別注モデルであり、そもそものデザインは同じもの。
■Orange×NANGA別注モデル 焚火ダウンジャケット
43,800円(税込) サイズ:S〜XXL カラー:グレー、チャコール、カーキ、ダークネイビー、コヨーテ 素材:(表地)ポリエステル93%、アラミド繊維7%、(裏地)50dnポリエステル、ポリエステル10% 羽毛:ダウン80%、フェザー20%(650FP)122g
■Orange×NANGA別注モデル オーロラダウンジャケット クラシック
39,800円(税込) サイズ:S〜XXL カラー:ブラック、カーキ、レッゴ、ベージュ、ブラウン 素材:(表地)オーロラテックス、(裏地)50dnポリエステル 羽毛:ダックダウン80-20%(650FP)122g

 オーロラダウンジャケットを知っている人には、あれ? と思うところがあるかもしれないが、それもそのはず。この別注モデルは、デザインはオーロラダウンジャケットそのものである。ちがうのは使っているボディの素材で、商品名にもある「TAKIBI」=「焚き火」用に難燃素材を使っていること。

 オーロラダウンジャケットのボディにはオーロラテックスが使われているが、こちらはナイロン系の素材を100%使用しているのに対して、焚火ダウンジャケットはポリエステル系素材を主体にアラミド繊維を織り込んでいる。アラミドは耐熱性が高く、切断、摩擦にも強い合成繊維だけに、焚き火に強い理由はここらへんにあるようだ。

 オーロラダウンジャケットの素材はナイロン系で表面の手触りがツルツルとしているが、焚火ダウンジャケットは少しコットンに似てゴワツキのある手触りとなる。生地の目がしっかりと詰まっており、風にも強い。この重厚感が焚き火に対しては、心強い味方となる。実際にこれを着込んで焚き火をしてみたが、跳ね舞う火の粉もなんのその。ボディに火が飛んできても燃え広がるようなことはなく、手で払いのけても焦げ付きのあとさえもない(もちろん、程度の問題ではある)。

 焚き火が楽しいこの季節、つい油断をしてダウンを着たままで焚き火に近づき、悲しい目にあってきたことも多々。ダウンを着て焚き火を囲む。この行為自体がタブーだと思っていたが、なるほど、これならキャンプシーンにはもってこいのモデルである。火の粉を気にせずともいい安心感は、ほかには変えがたい。

 とはいえ、少し難点も。今回は試してみた季節が少し早かったのか、このダウンを着たまま焚き火をしてみたら……あ、あつい。目の前には勢いよく吹き上がる炎。自分が着込んでいるものは、日本を代表する寝袋メーカーがつくったダウンジャケットである。ダウンとは空気の層をたくさんつくることによって保温性をキープしてくれるのだから、考えてみれば当然のこと。焚き火だけでの使用をメインに考えるなら、もっともっと寒い季節に使うべきか。雪の降るようなシーンで火を囲むのなら、ベストの選択となると思う。
焚火ダウンジャケットの袖には「TAKIBI」の文字。そして、オーロラダウンジャケットの袖には「AURORA-TEX」の文字。焚火ジャケットの内側に付いている商品タグには、販売元としてOrangeの名が! NANGAとOrangeが手を組めば、派手な焚き火も恐るるに足らず。
 総じてみれば、この焚火ダウンジャケットはウェアとしての汎用性がとっても高い。昼間のキャンプシーンでも大いに役立つだろうし、そのままの格好で焚火を囲むこともできる。タウンユースにしてもこのスマートなデザインであれば、使い勝手もいいはずだ。ナンガだけに、ダウンの性能がかなりいいのだと思う。羽織っているだけでも、かなりあたたかい。これ1枚あれば、冬の季節は大いに乗り切れることでしょう。

 ベストセラーともいえるオーロラダウンジャケットを焚き火用に、という視点がいかにもキャンプにこだわるOrangeらしくておもしろい。ちなみに、この焚火ダウンジャケットは今年からはじまったコラボではなく、すでに丸3期を過ごしているという。つまり、Orangeでも大人気商品ということ。今期は限定カラーとして「グレー」が発売されている。

 せっかくなので、Orangeについてももう少し。Orangeといえば、関西を代表するアウトドア・セレクトショップの人気店である。HPを見てみればわかるが、取扱ブランド数は700にも届くほどの圧倒的な数である。今回はナンガとのコラボ商品を紹介したが、じつはOrangeの別注モデルはほかにもたくさん。Columbia、GRIPSWANY、UNIFLAME、KAVU、CHUMS、goslowcaravan……などなど、各ブランドからの注目度も高く、ある意味、引っ張り凧状態でもある。

 この勢いは店舗にも現われていて、ところ狭しと並べられた棚にはありとあらゆる商品がぎっしりと詰め込まれ、訪れた人たちをワクワクとさせずにはおかない。ここに来れば、現在のアウトドア・キャンプギアの流行や注目商品の勉強できてしまうほど。Orangeがオープンしたのは2014年。まだ6年しか経っていないが、話題は話題を呼び、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いとなっている。

 かつらぎの本店を拡大し、となりのビルを借り切ってウェア館をオープン。敷地内にある芝生のテント試し張りサイトはご存知の通り。また、キャンプイングカーの王様といわれるトレーラー・エアストリームを使ってのアイスクリームショップも併設。さらに、地元かつらぎのキャンプ場を引き受けての展開も始めている。
和歌山のかつらぎ町にあるOrange本店。ギア店(左)とアパレル店(右)が隣り合う立地にある。店内にはアウトドアスパイス「ほりにし」をはじめとした野外料理に便利なスパイスを集めたコーナーもある。ちなみに、左写真の端に写っている自動販売機に売っているものは……なんと、ほりにし! この遊び心がさすが。
 究極のアウトドアスパイスとして名高い「ほりにし」は、発売以来15万本を超える大ヒット中。今年になってからは大阪にOrangeの2店舗目となる「なんばパーク」店をオープンし、3店舗目はいよいよ関東へ。この9月に、茨城の古河にある「The Camp FREAK’S STORE」内に店舗を構えるにいたっている。

 この情熱はどこから来るのか。Orangeの代表、池田さんに話を伺ってみると、その秘密が少し垣間見えたようにも思う。

 池田さんが事業を始めたのは2006年のこと。当初は、妙寺駅前にある小さなビルの一角でサーフ関連のセレクトショップを営んでいた。和歌山の山の中でなぜサーフショップをと考えてしまうが、ここに池田さんのこだわりがある。妙寺のあるかつらぎ町は池田さんの生まれ故郷。まさに地元である。大阪や和歌山にも近いとはいえ、ここにも時代の波は押し寄せ、地域全体がだんだんと寂れていってしまう。「やはり、それは嫌」なので、少しでも地元でできることをという思いから敢えて選んだ道だった。

 が、やはり苦難の時代もあったようだ。サーフショップはうまくは行かなかった。「でも、あのときからネットの勉強を積み重ねてきたことに意味があったんです」と池田さんはいう。日進月歩のネットの世界を常に学び、いまのOrangeでのビジネスに続く下地ができたがっていった。web世界での存在感を増していくと同時に、場所へのこだわりはさらに増していく。

 自分の生まれ育ったかつらぎに惚れ込み、ここでできることを。小さなころからの地元なので、隣のおばあちゃんや角の家のおじいちゃんもみんな知り合い。寂しくなっていく街並みを元気にするには、なにかしらのランドマークが必要だとの思いが強かった。そして、根っからのコレクターであり、趣味の人でもある池田さんはOrangeを立ち上げていく。それが、2014年のことだった。
Orangeの店舗エリアには、根っからのコレクターでもある池田さんのこだわりが随所に。オールドコールマン200Aがずらりと並ぶこの部屋は……この11月14日にオープンしたての「Orange OCMJ(オレンジ オールドコールマンミュージアムジャパン)」。ウェア館のあるビルの上階に!
 Orangeの店名にも意味がある。オレンジはみかん色で、和歌山はみかんの産地。だからOrange。「最初は柿も考えたのですが、パーシモンじゃちょっと響きがピンっとこなくってね」と池田さん。また、自身の会社名は、奥様と娘さんたちの名前の頭文字を並べてとったもの……。モノへのこだわりと、家族への思い、地元愛。そしてOrangeの強みでもあるネットの世界。このあたりがうまくつながりを持って、かつらぎの町に「Orange」というまたとないランドマークが存在しているのである。

 Orangeはこの次に、どんな展開をしてくるのか。わくわくドキドキとさせてくれる期待感も、この店ならではの魅力である。
 

(ウェア撮影=岡野朋之)

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