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コロナ禍の海外フェス事情/アメリカ編 ワクチン接種増加で、ビッグフェスも秋に復活。

2021.06.16 Wed

 日本以上に、新型コロナウイルスが蔓延した欧米。アメリカでは3000万人以上もの人が感染したと言われています。2020年はフェスやライブも軒並み中止になりました。ワクチンの摂取が進んだことで、欧米のフェスも再開へと向かっています。コロナ禍での欧米でのフェスはどうなっているのか。まずはアメリカの現状から報告。

 日本では5月のゴールデンウィークを皮切りに、各地で限定的な形ではあるが音楽フェスが再開されている。来場者のキャパシティを半分以下に設定し、できるだけ密を避けてイベント参加者へ向けたコロナ対策を徹底のもとに行なわれた。一方アメリカでは2021年春に復活を目指していたメガフェスの復活は叶わずにここまで来ていたが、6月に入りやっとフェスやイベント再開の明るい兆しが見え始めてきている。

 2021年上半期の状況をおさらいすると、フェスシーンの口火を切るはずの春のイベントは、去年同様にほとんどが中止。3月のマイアミ「Ultra Music Festival Miami 2021(ウルトラ)」、続く4月の「Coachella Valley Music and Arts Festival(コーチェラ)」も早々と撤退を表明し2022年の再開を決めた。唯一、例外だったのは3月のテキサス州オースティンの「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」で、有観客を回避し完全オンラインイベント形式を取った。SXSWは音楽のショーケース以外にもテック系の総合メディアイベントという側面が強いので、バーチャル環境でのイベントがすんなりといったのではないだろうか。

昨年は秋に延期しての開催も発表されていたが、結局は中止に。今年の開催は断念し、来年4月の開催が発表されている。チケットはすでにソールドアウト。

 日本のように徹底した感染症対策を掲げたり、キャパシティの制限で対応するケースも少なからずある。コロラド州で開催されるブルーグラスの祭典「TELLURIDE BLUEGRASS FESTIVAL(テリュライド)」は6月の2週に分けて開催。1日あたりのキャパシティを2500人に制限し、ソーシャルディスタンスを保った形で行なう。ヴァージニア州アーリントンのデッドヘッズ系のメガフェス「LOCKN’(ロッキン)」は中止発表後に、8月の3週の週末9日間のミニフェス形式による「LOCKN’ FARM」の開催を発表。広大なイベント会場で少ない動員は、密を避けて開催するための苦肉の策といえるだろう。

アメリカ東海岸のヴァージニア州で秋の初めに開催されているロッキン。一日の入場者数を限定し、3週間に分けての開催となった2021年スタイル。

 海外フェス経験者であれはある程度イメージしやすいと思うが、欧米のフェスでは、日本のように徹底したマスクの着用、飲酒の禁止、密にならない距離を取った行動など、ルールずくめでオーディエンスをコントロールしながらのフェス運営は不可能に近い。やはりフェス復活の鍵となるのは、観客のワクチン接種となる。

 6月6日現在でアメリカ国内のワクチン接種の割合は、1回接種した人は人口の約52.2%、複数の接種者は42.6%と少なくとも人口の半分以上が接種を完了している。またバイデン大統領は7月4日のアメリカ独立記念日までに70%の成人が1回の接種を受けるという目標を掲げた。

 ワクチン接種が順調に進んでいることを受けて、現在のところ2021年上半期のアメリカのフェスシーンは「中止」から一転「秋への延期」へと舵をきっている。ニューオーリンズの風物詩である4月末の「New Orleans Jazz & Heritage Festival(ニューオーリンズ・ジャズフェス)」は10月前半、アメリカを代表するビッグフェスの「Bonnaroo Music and Arts Festival(ボナルー)」が6月から9月に延期し、状況を見守るスタンスをとる姿勢だ。

通常であれば日本のゴールデンウィークにあたる4月下旬から5月上旬に開催されているニューオーリンズ・ジャズフェス。1970年にスタートした50年を超える歴史をほこるフェス。秋に開催されるのは今回が初となる。

 音楽イベント解禁の機運は6月に入り顕著だ。音楽フェスではないが、ニューヨークでは6月に入り、大規模ライヴイベントの開催が相次いで発表された。Foo Fightersはワクチン接種者限定で、マジソン・スクエア・ガーデンで2020年3月以来となるフルキャパシティのライヴを6月20日に行なう。その他にも連日、夏から秋にかけて、大物アーティストのアリーナや野外会場でのツアー開催が続々と発表された。

9月に開催されるボナルーはラインナップも発表。Foo Fighters、LIZZO、Tyler, The Creatorがヘッドライナー。開催時期をフレキシブルに変更できるのは、永続的な開催を目指して会場を自分たちで購入しているからなのだろう。

 象徴的な出来事として、ビル・デブラシオNY市長の音頭で8月にセントラルバークで、パンデミックからの社会活動の再開を記念した記念コンサートの計画がある。ここでは7:3の割合でワクチン接種者専用セクションと未接種者のセクションに分けられ、接種した人がより多くのイベントに参加できるという。ワクチン接種に消極的な人たちへ接種を促す施策の一環で、当然ながら論争になりそうだが、効果が得られればアメリカでのイベント参加に「ワクチンパスポート必須」という条項が加えられるかもしれない。まだまだ手探りの状況ではあるが、ライヴやフェス・カルチャーが一歩一歩復活に向けて動き出している。

(文=早坂英貴)


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