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【レポート】共感し共有する。フジロックでしか味わえない苗場での特別な3日間。

2022.08.17 Wed

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

 行動制限がないなかで開催された2022年のフジロック。行動制限がないとはいえ、日本での7月後半のコロナ感染確認者は20万人を連日超え、世界の国のなかで最多を記録していた。アメリカやヨーロッパのフェスからは、コロナ前に戻っているかのような映像が送られてきている。一方日本では、コロナと共存していくのか、それともゼロを目指すのか、今もなお曖昧なままだ。そんな状況にあって、グリーンステージMCのスマイリー原島さんは「いつものフジロック、いつも以上のフジロック」と呼びかけていた。前夜祭の日に強い雨が降った時間もあったけれど、金曜から月曜まで夏フェスを楽しむには絶好の天気だった。青い空と入道雲が、苗場の森にはマッチする。

前夜祭のあった木曜に強い雨が降ったものの、開催期間中の金曜から日曜までは上々の天気だった。

 29日の初日が1万8千人、30日が一番多くて2万1千人、最終日の31日が2万人。前夜祭の1万人を合わせて、4日間ののべ来場者は6万9千人だった。キャンプサイトの数字は発表されていないものの、おそらく1万人程度だったと思う。コロナ直前の2019年に比べれば、多い数字ではない。海外からやってくるファンがほとんどいなかったことを考えれば、それほど少ない人数ではなかったと思う。人気のあったライブでは入場規制されたものもあったけれど、ライブは適度に混んでいて、適度に余裕がある。ライブを楽しむという点においては、コロナ禍の今の時点では絶妙な人数だったと思う。歩数は初日が1万4千歩、2日目が2万1千歩、3日目が1万9千歩。トイレも混むことなく、渋滞もほとんどない。不便に感じたのは、ヘブンやオレンジカフェで通信障害があり、キャッシュレスでオーダーするのに時間がかかったことくらいだ。

移動しやすいようにか、以前よりも小さめのチェアが多かった印象だ。

 初日はTHE HU、KIKAGAKU MOYO、DAWES。2日目がBLOODYWOOD、SNAIL MAIL、FOALS、JACK WHITE。そして最終日がALTIN GÜN、TOM MISCH、MOGWAI、MURA MASA、TAKKYU ISHINO。じっくり見たのはこれらのアーティストたち。海外からのアーティストが多くなったのは、コロナ禍で来日公演が少なくなり、海外アーティストのライブに飢えたいたことに尽きる。フジロックがなければ、きっと見ないままに終わってしまった海外アーティストも多い。それは今年に限ったことではないのだけど、特にそんな印象が残っている。インターネットの時代だからこそのボーダーレスさと、逆にライブでしか感じることのできないフィジカルさ。それが苗場という3日間に体感できることがフジロックの魅力であり、かつてない体験をさせてくれることがフジロックの深さだ。このなかで今もなお強烈な余韻が残っているライブが、70年代ロックを再提出してくれたKIKAGAKU MOYO、カリフォルニアロックのなかにジャムが散りばめられていたDAWES、アジア(トルコ)のフィーリングとヨーロッパ(オランダ)のダンスをハイブリッドさせていたALTIN GÜNの3つ。いずれもフィールドオブヘブンでのライブだ。

初日のフィールドオブヘブンでのDAWES(ドーズ)。今年のフジロックの個人的ベストライブ。
 3日間を通して改めて感じていたのが、フジロックの懐の広さだ。それは苗場の自然がもたらしてくれるものだろうし、出演するアーティストがフジロックにかけているモチベーションによるものなのだろうし、フジロックという場を作るひとりひとりの思いが集結しているからなのだろう。提供されているものを受け入れるだけではなく、共感し共有する。そんなフジロックでは当たり前にみんなでできていることが、コロナの時代にはいかに特別なんだっていうことを再確認していた。

熱中症のリスク軽減として、発声や会話がない場合はマスクを外してリフレッシュすることも推奨されていたけれど、マスクを着用してライブ観戦するファンが多かった。

 日曜の夜、オールナイトで音が鳴っている。2022年のフジロックの最後を飾ったのはTAKKYU ISHINOだった。去年はグリーンのフィナーレを飾ったのは電気グルーヴだ。夜から朝へ、空は次第に明るくなっていく。3日間のフェスで身体は疲れきっているはずなのに、多くの人がその場に居続けようとしている。終わりたくないという思いと、来年にバトンタッチいこうという思いが錯綜する。グリーンをはじめとしたメインステージのライブで終えるのではなく、遊ぶことの余韻を残してくれること。これもまたフジロックの広さなのに違いない。

日曜29時(つまり月曜朝5時)過ぎのレッドマーキー。今年が終わるという満足感と寂しさと次への希望は入り混じった独特な空気感に包まれていた。

 次の何かをつないでいく。それは今後開催される朝霧JAMをはじめとした国内のフェスに対してだろうし、ライブカルチャーに対してだろうし、来年のフジロックに対してなのだろう。フジロックで完結するのではなく、シーンは継続させていかなければならない。そんなことを感じた3日間だった。心を解き放ってくれる場がフジロックであり、苗場の3日間はやっぱり特別な時間だ。今年はタイムテーブルが記載されているZカードが配付されていなかったけど、来年はZカードの復活を期待している。無料ではなく発売してもいいと思う。確かに今年はギリギリまでタイムテーブルの変更もあったけれど、紙のタイムテーブルがあることによって、今日は何を見るのか、昨日何を見たのかで話に花が咲くことも多い。スマホのなかだけにタイムテーブルが収まるのではなく、ライブを多くの人と共有し共感したいから。

多くのファンがこのゲートで写真を撮っている。フジロックの開催を心待ちにしていたことがわかるシーンだ。

朝霧JAM 22
開催日:10月8日(土)〜10月9日(日)
会場:朝霧アリーナ
出演:THE ALEXX、ALFIE TEMPLEMAN、BIM&VaVa、BOHEMIAN BETYARS、Daichi Yamamoto、FANTASTIC NEGRITO、Hitsujibungaku、never young beach、Ohzora Kimishima、SPIRITUALIZED、STUTS(BAND SET)、Takuro Okada、Tempalay、VEGYN、YOGEE NEW WAVES、YONA YONA WEEKENDERS、yonawo、ほか

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