• フェス

【君島大空インタビュー】即興性・身体性から生み出される合奏形態という音

2023.07.21 Fri

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

2019年にファーストEPをリリースしてからソロ活動を本格的にスタートさせた。その年にルーキー・ア・ゴーゴーでフジロックに初出演。コロナ禍だった2021年レッドマーキーに続いて、今年はフィールドオブヘブンのステージに立つ。

ー 自分で曲を作るようになったのはいつ頃だったのですか。
 17歳〜18歳の頃でした。詩の朗読をやりたいっていう友人がいて、僕はインプロビゼーションにすごく興味があって。最初に組んだバンドというかユニットが、ポエトリーリーディングとギターのインプロ。それをライブハウスでやったりしていました。

ー インプロビゼーションでもいろいろあると思いますけど、どんなアーティストたちに惹かれていたのですか。
 ギターを使ったインプロがすごい好きだったんです。ビル・フリゼール、マーク・リボーとか。フレッド・フリスも好きです。ジャズをバックボーンに持っている人が、ちょっと振り切った表現をしているものに憧れがありました。

ー フジロックの存在は、いつ頃から意識していましたか。
 そういうお祭りがあるっていうことは、高校の頃は認知していた気がします。ただ王道のロックシーンとかUKロックとかをまったく通ってきていないので、音楽をやり始めた10代後半から20代前半にかけては、フェスっていうものに対して興味を持っていませんでした。楽しめる自信がなかったというか。自分には合わないものだという食わず嫌い感がすごかったんです。2019年にファーストEPをリリースして、その年にルーキー・ア・ゴーゴーに出て。それで初めてフェスに行ったんですけど、行ったらメッチャ楽しくて。

ー そして一昨年に再びフジロックに出演しました。
 海外からのアーティストがいない特殊な年でした。まだコロナがピークアウトしていなかったし、正直、複雑な気持ちではありました。音楽フェスがすごいバッシングも受けていたし。出演するということに対して、うれしい気持ちはあったけど、どういう気持ちで立ち向かえばいいのかわからない。そんなことをメンバーとずっと話していました。開催に反対する人たちの気持ちも、出演をキャンセルした人たちの気持ちもわかる。楽しみにしている人たちもいる。どれも比べられない気持ちが、一点に集中してしまう面もあった時間だったように思います。

ー そんな状況で、どういう気持ちでステージに立ったのですか。
 楽しみにしてくれる人がいる。そこに振り切らないとできないなって思ったんです。今年はいろんな国からラインナップされています。コロナ禍での開催になった2年前があったからこそ今年もあると思うし、自分のライブだけではなく2年前のフジロックが経験できて今は良かったと思っています。

ー 今年、絶対に見たいと思っているアーティストは?
 スロウダイヴが昔から好きなんです。スロウダイヴが見られたら、今年はもういいかなっていうぐらい(笑)。

ー 今年1月にファーストアルバムがリリースされました。
 曲として溜まってきたものも多かった。それらの曲の賞味期限みたいなものを考えたときに、ギリギリ今しかないかなって思ったんですね。前からライブでやってきた曲を1回まとめておかないと、自分が清々しないだろうなと。

ー ある種、ひとつのピリオドのようなもの?
 この先続く自分の人生の、ひとつのポイントとしてのファーストアルバムです。いつ聞き返しても時代感のないものにしたいというコンセプトがまず基本にありました。数年後に振り返って、そう聞こえていたら、自分にはなまるをあげたいなと思います。

ー ライブでは独奏と合奏というスタイルをとっています。
 10代後半の頃は歌いたいという欲求がなかったんですね。それが周りにいた人たちに触発されて歌うようになった。ひとりでライブするときは、最近では歌にしか集中していないように感じています。歌うっていうことが好きになってきています。バンドはみんな友達だし、かつみんなが即興性、身体性の高い音楽家です。ひとりの時に比べると、ある種、歌にフォーカスされていない美しい瞬間があるのも楽しいし、当たり前ですけど、ひとつの事柄に3人のアイデアがあることはとても幸せです。

ー そういえば、いつも雪駄を履いていますね。
 父親が祭りの用品店をやっていた時期があって、もらって履いてみたら自分に合っていた。エフェクターの踏み心地が一番いいんですよ。踏み違いもないし、ライブでは雪駄が一番だと思っています。フジロックには長くつと雪駄で行きました。雪駄は潰れてもいいように2足持って。山を雪駄で登るのも楽しいんですよ。

ギタリスト&サウンドプロデュースとして、数多くのアーティストの楽曲制作やライブに参加。2019年にファーストEPを発表し、本格的にソロ活動をスタートさせた。同年のルーキー・ア・ゴーゴーに出演。このときのバンドセットでの「合奏形態」の他、ソロでの「独奏」など、多様なスタイルでライブを続けている。今年1月にファーストアルバム『映帶する煙』をリリース。今年のフジロックにも、西田修大(g)、新井和輝(b)、石若駿(drs)というメンバーとの合奏形態でステージに立つ。
https://www.fujipacific.co.jp/artists/artists/post_23.html

Photo = Meg Suko



 

●『FESTIVAL ECHO』 配布場所
は岩盤、TOWER RECORDS、KEEN、CHUMS、LOGOS、OSHMAN’S、アルペンアウトドアーズ、WILD-1など販売店 ※一部店舗を除く/随時配布



記事を読む »
フェスエコ'23の記事はこちら


過去のフェスエコはこちら

Latest Posts

Pickup Writer

ホーボージュン 全天候型アウトドアライター

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

森山憲一 登山ライター

高橋庄太郎 山岳/アウトドアライター

森山伸也 アウトドアライター

村石太郎 アウトドアライター/フォトグラファー

森 勝 低山小道具研究家

A-suke BASE CAMP 店長

中島英摩 アウトドアライター

麻生弘毅 ライター

小雀陣二 アウトドアコーディネーター

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

宮川 哲 編集者

林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

ふくたきともこ アウトドアライター、編集者

北村 哲 アウトドアライター、プランナー

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

河津慶祐 アウトドアライター、編集者

Ranking

Recommended Posts

# キーワードタグ一覧

Akimama公式ソーシャルアカウント