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25年目の朝霧JAMが開催! 日本のアウトドアシーンに遺したレガシーとは?
2025.10.13 Mon
いよいよ今週末に迫った2025年10月18日(土)から19日(日)、富士山麓の朝霧アリーナ&ふもとっぱらで、25年目の朝霧JAMが開催される。地域密着型のローカルフェスの先駆けでもある朝霧ジャムは2001年に初開催。当時では珍しく、フェスシーズンの1年を締めくくる秋に開催されるキャンプフェスとしてスタート。アーティストの発表が行なわれる前にSOLD OUTとなるほどの人気フェスとなる。
第1回目の朝霧JAMのレインボーステージ。装飾などは今よりも簡素だが、アーチ型のステージ屋根は当時はとても斬新だった。(写真:編集部)
しかし、朝霧はこれまでに3回の中止に見舞われてきた。1回目は2019年、台風の接近に伴い開催中止を事前に発表。2020年、2021年と続く中止は、コロナ禍における地域の感染拡大を防ぐための配慮であった。いずれも自然災害の危険を事前に判断した早めの中止措置だった。これは長年、朝霧JAMが地元との良好な関係を築きながら、富士山という大自然のなか、オールキャンプインによる本格的野外フェスティバルを定点で続けてきたからこそ、天候判断など自然の読みの正確さ、酪農畜産などの地域産業への真摯な対応につながる的確な判断だった。そうして、これまで25年にわたり大きな事故もなく続けてこれた朝霧JAMだが、じつは開催当初から天候をはじめとした自然環境のリスクに苦しめられてきた。第1回目の開催では、ステージの音と光の明滅が、近隣の牧場の馬や牛の神経をナーバスにさせるということで演奏途中でステージが中断。また、来場者用駐車場が大雨でぬかるみ、千台近い車が行き場を失い、会場内の道路脇や余地に急遽、車両を駐車させるなど、運営は予想もつかないハプニングに鍛えられてきた。
そんななか、朝霧ジャムが日本のアウトドアシーンに遺した功績はかなり大きい。とくに主催がフジロックフェスティバルをオーガナイズするSMASHであったことで、夏のフジロックを経験した多くのオーディエンスが「次は秋の朝霧JAMで会おう」を合言葉に、寒さ厳しい秋の富士山麓の野外泊に備えるためテントやシュラフ、防寒着などのアウトドアグッズをブラッシュアップして過酷で楽しい自然体験を共有。朝霧JAMはテントサイトで焚き火や自炊を楽しめるキャンプインによるフェスであったことで、キャンプ飯やソロキャンプなどの新たなアウトドアマーケットを牽引し、オーディエンスもたくましくなっていく。

さらには、時を同じくして、2004年にオープンしたふもとっぱらキャンプ場の存在も忘れてはならない。それまで観光資源の乏しかった朝霧高原にイベントを通して多くの若者がやってくるようになった。ところが、イベントは年に1回だけしかない。仲間とのキャンプの楽しさと富士山の圧倒的なロケーションに感動した人たちが、テントを持って「また朝霧にキャンプに行こう」と、ふもとっぱらにやってくるようになった。やがて、ふもとっぱらは朝霧ジャムのサテライト会場の一つとなり、2007年からはGOOUT CAMP、2015年には長渕剛の10万人オールナイトライブなど、今もさまざまなイベントの会場となり、毎週多くの人がやってくるようになった。そして、山麓からいつも眺めていた富士山は見る対象から「いつかみんなで登りに行こう!」 という登山の対象となり、良くも悪くも富士山は世界各国からの多くの登山者で賑わうことに。

奇しくも1997年に富士山麓で始まったフジロックフェスティバルは現在、新潟県苗場スキー場に居を移したが、富士山麓で続けられている朝霧ジャムがその遺伝子を今に伝えている。というのも、今年、発表された朝霧JAMのラインナップを見てみると、その名に相応しく音楽の多様性に満ちた、世界の音楽シーンの先端にいるアーティストがブッキングされている。世界が保守的で右傾化するなか、国家や民族性、ジェンダーやジャンルにとらわれないボーダーレスなアーティストたち。商業主義的な歌謡曲イベントではないアーティスト性の高い音楽フェスとして、今も富士の高嶺のごとく孤高を保っている。アウトドアとロックは義兄弟、アウトドアは運動だ! 今年も朝霧ジャムで会いましょう!(写真:宇宙大使☆スター)
It’s a beautiful day~Camp in 朝霧JAM
日程:2025年10月18日(土)〜19日(日)
会場:富士山麓 朝霧アリーナ・ふもとっぱら(静岡県富士宮市朝霧高原 周辺)
開場・キャンプ開始:10月18日(土)10:00 〜
終演:10月19日(日)20:00
キャンプサイト終了:
◎ 場内 CAMP SITE A:10月19日(日)20:00まで
◎ 場内 CAMP SITE B:10月20日(月)11:00まで
◎ ふもとっぱらオートキャンプ場:10月20日(月)10:00まで10月18日(土)
