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【CHAPPOインタビュー】新時代の風が苗場にそよぐ。
2026.07.02 Thu
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ
音楽の制作に没頭していた長い地下生活から地上へ。同じ2000年に生まれた福原音と細野悠太のふたりが、さまざまな時代へ音によるタイムトリップに導いてくれる。

–––– まず結成というか、ふたりで音楽を作りはじめたきっかけから教えてください。
細野 ある日、音くんが細野家の事務所に突撃してきて。僕のおじいちゃん(細野晴臣)が、「同い年くらいの孫がいるんだよ」と僕を紹介して。
福原 細野さんがやってた40年代の音楽に興味があったんですね。「40年代の音楽をやってて話を聞ける人」みたいに調べていたら、細野さんの名前が出てきて。それで質問状を持って訪ねて行って。細野さんがやってることを、すごく知ってたわけじゃないんですけどね。細野さんのラジオに出たり、細野さんのイベントで悠太くんと僕で演奏したのをきっかけに、なんとなくふたりで音楽をやってみようかってなって。
–––– ふたりで音楽を作ってみて、どんな感覚が最初にはあったのですか。
福原 僕が好きな音楽のグルーヴをだったりを悠太くんと共有しようとしてましたね。
細野 「ノリがこう」みたいな説明をされるんですけど、なんかわからなくて。「こうかな、こうかな」っていう感じで試行錯誤していました。
福原 ひたすら地下で練習してました。それが4年くらいあって。ちょっと過激な思想があったんです。ライブをしない、SNSをしない。世に出る気がないというか、頑なに何かにこだわっていました。
細野 自分たちの音楽として完成するまでには出ないみたいな。
–––– ある種の目標ってあったのですか。
福原 羊羹ミュージックって呼んでいるんです。食べ物の羊羹。見栄えは決していいとは言えないんだけど、みんなが味を知っているし、日本らしさもある。僕が好きな40年代の大衆音楽には、聞いていてワクワクするような感覚があるんです。その聞いたときに興奮する感じを、どれだけオリジナルに込められるか。それが、細野さんの音楽に対して感じたことでもあったんです。それを悠太くんとも話していた。パッとやろうと思えばやれるかもしれないけど、突き詰めていって、遠回りしていくのもおもしろんじゃないかって。今振り返ると、できるわけがないことに取り組んでいた気もするし。なんでこんなことに一所懸命やっているだろうってふたりでなったこともあったし。
–––– 地下から地上に出てきたのは、どんなことがあって?
細野 ずっとうちのスタジオで音作りをやってたんです。そこで細野晴臣のラジオ収録もやっているんですけど、そのラジオ収録のときに、カクバリズムの角張(渉)さんが来ていて。ここでもおじいちゃんが「孫たちが音楽をやってんだよ」って角張さんに言って、角張さんは「聞きたいです」と返事をして。それでデモを渡したら、7インチで出しませんかってことになって。
福原 まだ人に聞かせられるレベルじゃないけどね、なんて話も悠太くんとはしていました。
–––– ある部分では、他の人の意見を聞くことも大切なんだと思いますよ。
福原 それで、ようやく開けたっていうか。音源を出すのならライブもやってみようかっていう感じで。だからライブをやりはじめてまだ2年ちょっとなんです。
–––– その最初のライブというのは?
福原 シャッポって名前がついた日。下北沢のベースメントバーでした。それが1回目といいつつ、0回目みたいな感覚ですね。

–––– シャッポというバンド名はどうやって決まったのですか。
福原 細野さんがつけてくれたんです。フランス語の「帽子」。50個くらいの案が出てきて、そのなかのひとつ。
–––– ライブとスタジオはかなり違うものですか。
細野 完全に違うものですね。
福原 作品を作りたいっていう気持ちが強かったんですよね。ただライブをやることで、いろんな人に影響を受けて、シェイプされていって。ライブの影響によって作品ができていくみたいな瞬間も増えていって。6月にセカンドアルバムが出るんですけど、ライブをやっていなかったら生まれていない曲ばかりですから。
–––– ライブ用に作った曲ということ?
細野 ライブ用っていう感じではないかな。
福原 ライブでやった曲から選んでいるというか。人と演奏することによって、有体な言葉で言うとバンド感みたいなものに興味が移っていったんです。
–––– ライブをはじめてからの2年でフェスにはどのくらい出ています?
細野 FUJI & SUN、つくばロックフェス…。中国にも行きました。両手で数えられるくらい。
福原 フェスに出ると、自分たちの場所みたいなものが可視化されていくっていうか。ラインナップにこめられている文脈だったり意図みたいなものが伝わってくると、それに応えたいっていう気持ちも出てくるし。それに裏切りたいっていう気持ちも出てきたり。
–––– フジロックの出演が決まったときにはどう思いましたか?
福原 「えっっ!!」って、赤いビックリマークがいくつもつくような感じ。自分が尊敬する人だったり、見たいと思う人がたくさんラインナップされているフェスですから。フジロックに出られるっていうことは特別なことではあるのだけど、すごいすそ野が広いフェスで、いろんな場所に門があるように思っています。
–––– フジロックは出演が決まると「よかったね」って言われることも多いと思います。
福原 いろんな人から「おめでとう」って言われましたね。音楽をやってて、「おめでとう」って言われることって、ほとんどないですから。その意味でも、フジロックってすごいんだなって。
–––– 細野さんは、チョコパコに続いて2回目のフジロックですよね。
細野 楽しみではあるんですけど、自分たちが試されるみたいな感じもありますから。
福原 びっくりさせたいですよね。楽しい何かを考えたいと思っています。悠太くんは2回目だから、慣れるというか飽きてるかもかもしれないけど(笑)。
細野 そんなことないよ(笑)。慣れることも飽きることもないから。どんなことにも対処できるように、心に余裕を持ってのぞみたいとは思ってます。
〈photo by Meg Suko〉
CHAPPO
2019年結成のインストゥルメンタル・バンド。メンバーは福原音(Gt,etc.)、細野悠太(Ba,etc.)。ともに2000年生まれ。
結成後は日々、練習・デモや映像音楽の制作に励む。持ち前のものぐさな性分から長い地下生活を送るも、23年春より地上へ顔を出し始め、10月にはライブ活動も開始。ライブではどちらかが歌ったりもする。そして2023年12月13日、ファースト・シングル「ふきだし」をカクバリズムより7インチ・配信リリース。1940年代の大衆音楽や映画音楽にルーツを持ちつつも、音楽にとどまらぬ様々な要素をストレンジな感覚で自らの音楽に落とし込む。行き先不明の珍道中を突き進む2人組。
CHAPPOのフジロック26推し10曲

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7月24日 FUJI ROCK FESTIVAL@FIELD OF HEAVEN
8月23日 SUKIYAKI MEETS THE WORLD
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