• 料理

人気コミック『山と食欲と私』の主人公・日々野鮎美と歩く 使える山ごはんアイテム探しワンデリング 三鷹・吉祥寺編(前編)

2016.04.22 Fri

柳澤智子 ライター、編集者

コミック『山と食欲と私』(新潮社)をご存じですか?
え、ご存じないうえ、まだ読んでいない? それは、もったいない!
単独登山×食×妙齢女子をテーマにした、
1話完結ものでさくっと読めるのに、
レシピは気が利いているわ、登山描写に説得力あるわ、
30前のおんなの日常にリアリティはあるわ、
しかも、くらげバンチで無料で読めるわで、ぜひ山行の準備の前や、
山に行けない人はストレス解消に読んでね。

第1巻が4月9日に発売されました!

もともと愛読者だった私、ライター・高橋紡が作者・信濃川日出雄センセイと山好きイラストレーター・木下綾乃さんと一緒に三鷹&吉祥寺界隈を歩きましたよ。



ちりーん、ちりーん、熊鈴をならしてヤツがくる!主人公・日々野鮎美、初登場シーン。
————————————————————————————————————
待ち合わせは、JR三鷹駅に16時。
19時には、立川のホテルで別の雑誌の取材があるという信濃川さんの
ご予定に合わせて、2時間で主人公・日々野鮎美ならこういったものを
選ぶのでは?という妄想炸裂の道具、食材探しのワンデリング。
筋書きも脚本もないぶっつけ本番の、テレ東的なのりでお届けします。

高橋(以下 ) なんで、信濃川さんが泊まってらっしゃるホテルが立川なんですか?

信濃川(以下 ) 立川が好きなんですよ。中央線と青梅線が交差するでしょ。八ヶ岳方面や奥多摩方面にいきやすいっていう。鮎美が住んでいるのが立川界隈っていう設定なんですよ。僕も今回、滞在中に山に行きたかったし。

木下(以下 ) どこかに登られたんですか?

 丹沢を1泊2日で、あとは奥多摩に行きました。焼山登山口〜姫次〜蛭ヶ岳〜丹沢山〜塔ノ岳〜鍋割山を単独縦走して。ためしに、地下足袋を履いて歩いたから、今足が痛くて、ふくらはぎが倍以上にはっているんですよね。

 ええーー!? 地下足袋ってなんでまた!

いやー、庭仕事するのに履いていて。いつか、鮎美にも漫画の中で履かせたらどうなるかなー、と。今、テーピングしているので、だいぶラクですけど。

 テーピングですか。そんな足が痛い中、こんな目的なく歩く取材ですみません。しかし、今から行く「ハイカーズデポ」は、おもしろいと思います!



三鷹駅から徒歩5.6分「ハイカーズデポ」に到着。東京都三鷹市下連雀4−15−33 日生三鷹マンション2F 12時から20時まで、火曜日定休でございます!下の写真の女性が、イラストレーターの木下綾乃さん。信濃川センセイは、純粋に作品を楽しんで欲しいからと黒子に徹し、グリーンに塗りつぶされての登場です。

——ハイカーズデポは、山好きの間では説明不要のULに特化した名店。
オーナー土屋智哉さんが選ぶウェアやザックは他ではない品揃えですし、
食に詳しいスタッフの勝俣 隆さんが担当する食品コーナーも、
オーガニックのレトルトや乾物、豆など、
山でこんなごはんが食べられるんだ!という発見ありまくりです。

見よ!この、スマートウール社のTシャツの色の豊富さを!

 わー、こんなかわいい色揃ってるんだ。グレー、カーキ、くすんだピンクとか。

 ハイカーズデポさんにあるウェアは、女性の好みをわかってくれてるよね。もともとは派手な色だったファスナーを、ハイカーズデポオリジナルで地味な色に変更して販売したりとか。

 ひとりで来ている女性のお客さんが多いんですね。意外です。こういった大型店ではないお店を登場させて鮎美がそこに入り浸り始める…、というのも面白いなぁ。

 食のコーナーはいかがですか? 山の食事だとどうしても、腐りにくいものということで、保存料いっぱいのジャンクなものが増えますが、私がアウトドア雑誌で担当する記事だとできるだけそういったものは避けて、乾物、豆など駆使し、軽くて体にいい食材探しをしたり、レシピを提案したりするんですが。


ハイカーズデポの食の棚を見ていると、これも山で使えるんだ!という発見が。

 個人的に食いしん坊でいろいろ工夫したい方なので、レトルトなど出来上がっているものってできるだけ使わないようにしているんですよ。このヨモギの粉なんて、どうやって使ったらいいんだろう。

 よもぎって、とてつもなく栄養があるんですよね。ほうれん草の10倍の食物繊維があるし、美肌効果もある。独特の苦味があるし、炒めものに混ぜたり、お茶にして飲んでもいいんじゃないですか? お、エゴマや大豆が入ったグラノーラがある。岐阜飛騨で採れた野草を使っているみたいですね。トレイルミックスに混ぜたりするのかな。

 つい最近描いた回が、トレイルミックスがテーマだったんです。登山家の加藤文太郎は、甘納豆と干し小魚をよく食べていた、ということで、鮎美も自分だけのトレイルミックスを作る、という。

 へえー、どんなものが入っているんですか?

鮎美がスーパーでトレイルミックスを準備する回。ツイッター上では、このぐるぐるメガネも話題に。

 エネルギー源となる糖質に甘納豆。運動で失われてしまう塩分に小魚、とか描きました。ほかにはチョコレート、ドライフルーツ。実は、自分が一番重視しているのが食物繊維なんですよ。昆布とか干した野菜とか。

 なんでですか?

 山って、お通じが悪くなるじゃないですか。食物繊維はきちんと撮りたい。僕、山では唐辛子も避けるくらいお尻関係には気をつけてるんですよ(笑)

 (笑)素顔を見せない謎の漫画家、信濃川さんの弱点は、お尻だと。

北海道の大地の香り、薄荷(ハッカ)だそうです。ビン入り、スプレータイプとお好みで。

 (笑) この天然ハッカ油って、鮎美ちゃんが使っていそう。水で割るとペパーミントの香りが虫除けになってくれるんだって。マウスウオッシュや制汗剤にもなるみたいです。焼酎や紅茶に入れて飲んでもいいみたい。

 ああー、これはおそらく使っていますね。

 ハッカやレモングラスなど天然成分が配合されたものが女性には人気ですよね。日焼け止めもそうだし。わ、やばい。もう1時間たってる。吉祥寺に移動せねば!! 


ウエアや食料だけでなく、ギアも充実でございます。


ハイカーズデポさん、ありがとうございましたー!というわけで、一行は吉祥寺へ。
後半へ続きます!

—————————————————————————————————

信濃川日出雄(しなのがわひでお)
漫画家。山好きがこうじて、山の漫画を描きたいと、くらげバンチに『山と食欲と私』を連載中。1巻が好評発売中、2巻は夏に刊行予定。他作品に『fine. 』(ビッグコミックスピリッツ/小学館)、『ヴィルトゥス』(同)(ビッグコミックスピリッツ/小学館)、『少年よギターを抱け』(ジャンプ改/集英社)、『茜色のカイト』(フィール・ヤング/翔伝社)など。2011年に、北海道に移住し、静かな山のなかで暮らす。「読者のイメージをこわしたくないため、本人の姿、形は出さないでね」とのこと。メガネが似合う素敵な知的な男性です。

木下綾乃(きのしたあやの)
イラストレーター。手紙を書くことが好きで、手紙にまつわる著書多数。『手紙を書きたくなったら』『木下綾乃のレターブック』『切手な北古賀』 (以上WAVE出版)、『手づくりする手紙』(文化出版局)、『文房具さんぽ』(世界文化社)など。共著に『しりとり世界いっしゅう』(mille books)。『わたしの鎌倉』(学研)。文系のイメージが強いが、ここ6年ほど登山にはまり、北欧のロングトレイルにも足を運ぶ。仲間と登山と温泉をめぐる山岳会「岳泉会」を結成し、ピークハントをめざさない山歩きを愛する。

柳澤智子 ライター、編集者

フリーランス編集者・ライター。食・住・自然・手仕事を主なテーマに、雑誌、書籍を手がける。アウトドアのいろはは、akimamaの運営母体である「キャンプよろず相談所」に所属したことで鍛えてもらいました。出版ユニットnoyamaの編集担当としても活動。著書『住まいと暮らしのサイズダウン』(マイナビ出版)が発売中。

Latest Posts

Pickup Writer

ホーボージュン 全天候型アウトドアライター

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

森山憲一 登山ライター

高橋庄太郎 山岳/アウトドアライター

森山伸也 アウトドアライター

村石太郎 アウトドアライター/フォトグラファー

森 勝 低山小道具研究家

A-suke BASE CAMP 店長

中島英摩 アウトドアライター

麻生弘毅 ライター

小雀陣二 アウトドアコーディネーター

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

宮川 哲 編集者

林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

ふくたきともこ アウトドアライター、編集者

北村 哲 アウトドアライター、プランナー

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

河津慶祐 アウトドアライター、編集者

Ranking

Recommended Posts

# キーワードタグ一覧

Akimama公式ソーシャルアカウント