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森を歩いて、極上の天然アロマを探してみる。

2013.05.30 Thu

宮川 哲

宮川 哲 アウトドアライター、編集者

 新緑の森歩きは、なんとも楽しいものです。汚れた都会の空気と違って、胸一杯に吸い込んでみたくなる、あのさわやかな空気。森林浴が気持ちいいのは、山好きなアナタならご存知のとおりです。

 森の効用と聞いて、思い起こすのはマイナスイオンだとかフィトンチッドなんて言葉ではないでしょうか。これが科学的にみてどれほど有効なことなのかは、正直見当もつきません。でも、やっぱり森は気持ちいいものですよね。
 
 森が放つあの独特な香りと身体の隅々まで染み渡っていくような“気”に満たされていると、肉体的にだけでなく精神的にも浄化されていきます。新緑の森を歩いたことのある人なら体験したこともあるでしょう。
 
 あの“気”ですが、一般的には前出のフィトンチッドという成分が少なからず絡んでいるみたいです。フィトンチッドとは、樹木が自分を守るために発する揮発性物質のこと。昆虫などによって傷つけられた箇所で生成され、病原菌や微生物を忌避したり、殺してしまう役割があります。

 どこでつくられるのかといえば、森の木肌をじぃっと見ていると、よく分かります。ときにポコポコッと樹肌に膨らみがある部分がありますよね。この膨らみをプチッと指先で押して見ると……あら、不思議。中からはトロリとしたオイルが出てきます。

 これこそが、正真正銘の天然アロマ、エッセンシャルオイルです。その精油のなかには、たくさんのフィトンチッドが含まれて、樹々は自分たちの身体を守っているわけですね。いわば、フィトンチッドは樹々にとっての薬です。しかも自分でそれをつくり出せるわけでして、なんだか「生き物だなぁ」と実感できるわけです。ヒトと同じく、高い治癒能力を備えた生き物なんですよね、森の樹も。

 ちなみに写真にあるのは、シラビソの樹。ちょっと高い山の上に生えるマツ科モミ属の大樹です。大きなクリスマスツリーのような樹で、ときに30mにもなるような個体もあるそうです。シラビソの森では、いつもどこかピリッとした空気が流れているようにも思いますが、あれこそがフィトンチッドの仕業です。

 シラビソの幹にも小さなポコポコがたくさん。樹にとってみれば治療中なので迷惑千万でしょうが、プチッとやってみると。割れ目からトロリと精油が現われます。すると強烈な芳香が鼻をつきます。しかも思っていたよりも粘り気が強く、指にまとわりつきました。でも揮発性があり殺菌性も高いので、むかしの山人は傷口にぬり込んでみたり、眠気を抑えるために鼻の下に塗ってみたりもしたそうですよ。

 シラビソの森でなくとも同じです。どんな樹々でも小さなポコポコはあるもので、こんな目線を持って、森を歩いてみるのもおもしろいはず。極上の天然アロマ探し。これこそ、究極の癒しになるのではないでしょうか? コケ女子の次は、天然アロマ女子!?

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