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ニセコ発の世界的なムーブメント! 「スノーサーフィン」道場に入ってみた

2016.02.14 Sun

 長い両手をコンドルのごとく広げ、深く鋭く切り込んでいくバックサイドターン。そして肘が雪面に擦れるほど倒し込み、信じられないような角度で切れ上がってがっていくフロントサイドターン。“オーム”のニックネームで知られるプロスノーボーダー岡田修さんのライディングは優雅にしてダイナミック。後ろについて滑っていると、なにか魔法でも見ているような気分になる。

「じゃあ、このまま沢に入るよ!」

 後続のゲストのペースを気遣いながら、オームさんはゲレンデ内のコンケーブ地形へと僕らを誘導した。雪不足に苦しむ本州のスキー場がウソのように北海道ニセコには雪が溢れ、ゲレンデ内の“壁”や“沢”にもしっかりと雪が着いていた。そこをオームさんはまるで渓流に放たれた魚のように、自由自在に泳ぎ回る。

 グルーミングバーンでのキレキレのカービングはもちろんだが、自然地形の中で見せるオームさんのライディングもまた絶品だ。176cmの長身を忘れさせるようなコンパクトでクイックな動き、見上げるような崖を駆け上がったかと思うと、リップで見せる華麗なレイバック……。すべてのターン弧は滑らかに繋がり、どこにも引っかかりがない。そのスムースでメロウなライディングは、まるで波の上でサーフィンをしているように見えるのだ。


「スノーサーフィンの視点を持つと、これまで見落としていた斜面や地形がとても魅力的なものになるんですね。バフバフのパウダーゾーンだけでなく、こういった自然地形やちょっとした斜面にお客さんを案内し、スノーサーフィンの楽しさを味わってもらうのも、僕の仕事です」とオームさんは言う。

「スノーサーフィン」というのはこの数年で世界的なムーブメントになりつつあるスノーボードの“スタイル”のひとつ。もともとスノーボードはスケートボードのカルチャーやスタイルに深く影響を受けており、ハーフパイプやジブ、グラトリなど、スキーにはないトリッキーでテクニカルな動きが特長だった。

 これに対してヨコノリ文化のもうひとつのルーツであるサーフィンにインスパイアされたのがスノーサーフィン。深く柔らかいパウダースノーの中をスピードと浮力をキープしたままいかにスムーズに滑るか、あるいは、自然地形そのままの山や沢をどう攻め、どう自然と一体化し、どう楽しむか。そういった視線を持つ遊び方である。

 オームさんが所属する『パウダーカンパニーガイド』は北海道ニセコをベースに17年の歴史を持つバックカントリーガイド集団。経験豊かな8名の有資格ガイドを擁し、リフトアクセスの手軽なツアーから羊蹄山のロングハイクに至るまでさまざまなパウダーツアーを主催している。

 その一方でゲレンデをベースにしたクルージングやクリニックも豊富。今回僕らAkimamaスタッフが参加したのは『ゲレンデ・クルージング&スペシャル・ルーティン』という特別メニューで、プロライダーの滑りを間近で見ながら自分の滑りをレベルアップするもの。おまけに誰も知らない“シークレットポイント”にも案内してもらえるので中級者以上のスノーボーダーに人気が高い。

 じつはAkimamaスタッフももう10年もニセコに通っている(年数だけなら)ベテランだが、ライディングスキルでは大きな壁にぶち当たっていた。そもそもが自己流の上、柔らかなパウダースノーばかり滑っているので、基礎訓練がまるでなってない。ゲレンデでできないことが、山でできるわけなどなく、毎回バックカントリーを滑るたびに自己嫌悪に陥っていた。

 そこで今回は「コソ練」がわりに参加したのだが、いやもうビックリ。目からウロコが落ちるとはまさにこのこと。4時間弱のフリーライディングで確実に上手くなったと思う。

オームさんの案内で行くバックカントリーツアーでは、ビッグスプレーがあがる驚くようなライディングがライブで見られるのだ
 その秘密はなんといっても「生オーム」。

 ゲンテンスティック契約ライダーであり、パタゴニアのスノーアンバサダーを努める当代きっての人気ライダーが、自分のすぐ目の前を滑り、何度も何度も何度も何度もターンを反復してくれるのだから上手くならない訳はない。修養の世界ではよく「習うより慣れろ」とか「頭でなく目で覚えろ」とか言われるが、まさにその通り。最高の道場だった。

All Photo by Kage / POWCOM
 バックカントリーでのライディングスキルを向上させたいひと、そして深く美しいターンを習得したいひと、この冬はぜひパウダーカンパニーのクルージングガイドを試してみてほしい。

 スノーシーズンもいよいよ後半戦。みなさんよいスノーライフを!

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