中島英摩が行く! 長野県伊那市で自転車×旅アクティビティ“チャリップ”体験してきました

2021.03.31 Wed

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中島英摩 アウトドアライター

南アルプスと中央アルプスに囲まれた長野県南部の街・伊那市。
ここが今、さまざまな“自転車アクティビティ”に
力を入れる街としてひそかに話題になっています。
今回、アウトドアライター中島英摩が1泊2日でその実情を探りに現地へ!
全3回に分けて、取って出しの情報をお届けします。

 

 アウトドア好きなAkimama読者なら、コロナ禍で新しいことを始めた人はいると思う。わたしも突然始めてドハマりしているものがある。

 それは……BIKE!

 昨年、都内で電車に乗るのもはばかられるくらいのコロナ第一波のなか、車を持っていないわたしは移動手段に頭を悩ませていた。いや何言うてんねん、100kmくらい余裕で走れるやろ。そうなんですよ、わたしめちゃくちゃ長距離走るんです、足軽かよってくらいに。趣味は山の縦走とトレイルランニング。

 でももっとこう、気楽に、密を避けながら、リフレッシュできるものはないかと。車はいきなりお金がかかりすぎるので、コストを体力でカバーする作戦に出た。それがBIKEだった。そしたらアッサリ沼にハマってしまったのである。そんな自転車ビギナーな私に「伊那で2日間のバイク旅しませんか?」という最高のお誘いが来た。すぐさま尻尾振って飛んでいってきましたよ。なにを隠そう、私がバイクを買ったのは伊那だったのだ。

「えまちゃん、いらっしゃい〜!」
 そう言って優しい笑顔で迎えてくれたのは伊那の市街地にあるショップ、CLAMPのユキさん。昨年マイBIKEを買って以来の再会。今日はCLAMPが運営するバイクトリップのアクティビティ『チャリップ』を体験するプラン。CLAMPを起点に流行りの“グラベルロードバイク”で伊那エリアに1DAY BIKE TRIPに出かけるのだ。ちなみにグラベルロードバイクとは、舗装路だけでなく砂利道やオフロードも走れる自転車のこと。
外観からはわからないが、CLAMPは奥に長くて広~い店内。バイクに関するほぼすべてのアイテムが一式揃う充実ぶり。バイク関連以外にもキャンプ、ハイキング、トレイルランニング、下山後に着たいUSEDウエアなど山遊びにまつわるものが所狭しと並んでいる。ツボをつくセレクトに「あ~、あれもこれも欲しい!全部欲しい!」とCLAMPマジックにかかり、財布の紐はゆるゆる。撮影後にちゃっかりお買い物。
<Data>CLAMP 住所:長野県伊那市山寺249-1 電話:0265-96-0109 営業時間:11:00〜20:00 定休日:水曜日、木曜日 http://clamp-bike.com

 チャリップは事前予約制で、当日のルートがインストールされたGPS端末「Xplova/X5-Evo」、サドルバッグ、保温ボトルに入ったお茶、オリジナルエナジーバー、ハンモック、保険、シャワー、ジェラートがセットになっている。ルートは事前に相談しておけばレベルや体力に応じておすすめルートをセットしてくれるので、どこに行けばよいかわからないなんてことも、事前リサーチが大変!なんてこともない。CLAMPでも販売している最新のBIKE試乗車とヘルメットが有料でレンタル可能なので、ほぼ手ぶらで体験できるのも魅力的だ(グローブや防寒着は持参)。
 出発前に、GPS端末やハンモックなどの使い方、コースの概要を丁寧に説明してくれる。
 じゃあ、いってらっしゃい〜とユキさんに見送られ、いざ出発。ここから先はバイクにセットしてもらった端末内の地図に表示されるルート案内に従って進む。

 今回一緒に旅をするのは、伊那市在住の松元マキさん。

「大丈夫かなぁ、登りどのくらいでしょうね?」
「そんなにキツい坂はないって言ってましたよ〜」

 なんて言ってるうちにいきなり目の前に激坂登場。
 ヤベッ、ギ、ギアどうやって変えるんだっけ!? 聞いたはずなのにアワアワ。ガチャガチャやりながらギア操作を再チェックしつつ坂道へ。

「アハハ〜ヤバイ〜楽しい〜〜!」
 安定した太め&大きめのタイヤがとにかく気持ちがよく、乗りやすいものだからグイグイ漕ぐわたし。テンションが上がって一人夢中になっていてふと振り返ったら……しまった、松元さんを置いてきてしまった!

「待ってえぇ」
 登り切ったらドーンと開けるだだっぴろい田舎道。

「すごい!山が近い〜!」
 前も後ろも、目に入るすべての景色が、山、山、山! 中央アルプスに南アルプス。名峰たちの合間に位置する伊那谷だから、360度の眺望なのだ。市街地からほんの数十分走っただけでこんなに気持ちいい景色に出あえるなんて、最高。中央アルプスを背負いながら田んぼの間を走る。こんなちょっとした凸凹でも、ハンドル操作や膝の柔らかさをうまくコントロールしないといけないから十分なアトラクション感だ。山に入らなくたって不整地を楽しめるのがグラベルのよさ。
 まっすぐ続く道をちょっとスピードを出してみたり、時折GPSを見ながらジグザグ道を迷いつつ行くのもまたワクワクする。

「なんかマークがありますね!これなんだろう?」
 田んぼを抜けて住宅街に入り、地図に表示された水マークに到着するとそこにあったのは特別な水汲みスポット。湧水だ!
民家がならぶ静かなエリアに突然出てくる湧き水汲み場「鳥の宮湧き水」。地元の人が生活に利用するからか、野菜専用洗い場もあり。東屋にはテーブルと椅子もあり、休憩にも最適。ドバドバ出ているから汲み放題。コーヒータイム用の水を汲む。冷たいのかな?っと思いきや……、飲みやすい水温で、うまい~!ミネラルウォーターいらずのめちゃくちゃおいしい水でした!
<Data>鳥の宮湧き水 住所:長野県伊那市手良野口1205

 おいしい水に澄んだ空気。山に囲まれた場所は清々しいですね〜、なんて言いながら走っていると、ふとあることに気づく。「庚申」という文字が彫られた石像が道の至るところにある。
 庚申塔(こうしんとう)と呼ぶそうで、昔はこの辺りで石工と呼ばれる匠がたくさんいたことによるのだとか。

 山へ山へと漕ぎ進め、ちょっとばかし頑張って漕いだところで今日の最高地点。もちろん今日は山までは行かない。伊那市と言えば高遠の桜が有名だけれど、どうもここは知るひとぞ知るスポットらしい。
左)市街地からぐんぐん登った先にある展望のよい「桜公園」へ。春には桜が綺麗らしい!(※桜の季節は新型コロナウイルス感染拡大防止のため公園内での飲食・飲食は禁止されています) 右)頑張って漕いだ甲斐あり、アルプスが一望できて最高~!空腹も忘れる絶景。

左上)今日のランチはCLAMPで購入した真空ごはん。選んだのは豚角煮とキーマカレー。雑穀米にかけていただきます。右上)購入時は冷凍なので漕いでいるうちに少し解凍されていて、あとはお湯でグツグツ温め、同時に2メニュー温められてコッヘルが汚れないのがよい! 左下)あ~いい匂い。おいしそう。右下)彩りも美しい、お店で食べるような豪華ランチが完成。景色のいい公園で食べるとさらに美味しさマシマシ!

「う、うめぇ〜」
 外で食べるご飯って何でこんなにおいしいんだろうか。バイクなら借りたサドルバックに色々詰めて、重いものを背負わずに運べるから、めちゃくちゃ軽さにこだわる必要もないわけで。なるほど、便利かも!もちろんコーヒーにデザートも食べちゃうよね!
 「そうだ、セットに入っていたハンモックを張ってみない?」

 バイクトリップにハンモックだなんて普通はちょっと考えつかないけど、それがCLAMPが運営しているからこそのポイント。BIKEをガチで漕ぎまるくというよりも、”チャリップ”というちょっとゆるいネーミングの通り、景色やロケーション、ゆっくりとした時間を満喫することを提案したいのだと思う。バイクトリップだけど、バイクをとりあえず地面に置いてハンモックをセッティング。
「ハァ〜これはいいわ!」
「寝られますね!」
「うん、寝られる!」
「帰れなくなりそう」
「こんな風に絶景見ながらぼーっとできるっていいですね」
 日々の忙しさにお疲れ気味のふたり。身体を動かすのももちろん好きなんだけど、緩急も必要だよね。ハンモックのあまりの気持ちよさにすっかり抜け出せなくなり……あぁっ、大変! 進まないと! 日が暮れる! 慌てて再度パッキングをして出発。

 腹ごしらえ&休憩が完了したら後半戦。ちょっと下ったあたりにある四国八十八箇所巡礼に行くのだとか……?
 そうか、石工の話に繋がるのか。実は歴史も結構好きで、山にハマる前にはよくお城や神社、遺跡なんかを回っていたことを思い出した。当時の趣味とアウトドアがリンクしたわけだ。駅からここまで歩いてくるのは大変だし、なかなか知ることもないけれど、ルートに導かれるままにゆるりと漕いで来られるなら史跡巡りもアリかもしれない。
左上)ここ~?ほんとにここ~?と疑いつつ、民家の裏にある小道(激坂)を上がる。右上)と、そこには小さな観音様がずらり。四国八十八カ所の巡拝塔なのだとか(巡礼した後にその時持ち帰った小石などを埋めて、その上に石仏を立てるらしい)。左下)一度は行ってみたい四国のお遍路。行けなくても伊那でまずは巡礼。右下)生まれ年の石仏発見。わたしの推し観音に決まり!

 もう後は下り基調。(そんなに急な坂じゃないけど)行きに頑張って登ったご褒美だ。そう、バイクの醍醐味と行ってもいいかもしれない。下りって、ホント、サイコー!
 ピューピュー風を切って、どんどん下る。もちろん来た道を戻るわけじゃなく、違う道が設定されていて最後まで旅感がコーディネートされている。夕日でキラキラ輝く小川沿いを西陽に照らされながら走る。デコボコ不整地ももうへっちゃら。天竜川の河川敷を越えるとCLAMPはもうすぐそこ。
「なんだか終っちゃうの寂しい!」
「またバイク旅行きたいですね」
 ただ店でまたがるだけでなく、ちょこっと乗るだけでなく、どんな風にして楽しめるのかを体験できる。ロードもあれば不整地もあり、登りも下りもバランスよく組み立てられていて、されるがまま(GPSのルートに導かれるまま)で1日を過ごすと、グラベルバイクのよさと特徴をもれなく感じることができるわけだ。グラベルバイクに興味がある人にとって最高の試乗体験。ただし、チャリップを体験したら最後、もう数ヶ月後にはグラベルバイクを手に入れて沼にどっぷり浸かっているかもしれない。

 そしてそれができるフィールドが伊那という場所。こんなにも見どころスポットが多く、体力オバケな私でも山奥に行かずしてたっぷり遊べるなんて、そんな印象はまったくなかった。むしろ山麓がおもしろい。いやぁ、今まで通り過ぎていて、もったいないことをした。山の上の天気が悪い日だって遊べちゃうじゃないか。引き出しが増えたことにニンマリ。あ、そうだ。今度は、すっかり運動不足になっている友達でも誘ってみようかな。
初日の仕上げは露天風呂から南アルプスが一望できる絶景温泉「みはらしの湯」に立ち寄った。ちょうど夕焼けに染まる山々を眺めていたら地元のお母さんから声をかけられ、山登り話が盛り上がること20分。のぼせる寸前~!伊那の人達はみんな気さくで優しい!心も体もぽっかぽか。
<Data>みはらしの湯 住所:長野県伊那市西箕輪3480-1 電話: 0265-76-8760 営業時間:11:00〜21:00(最終受付20:00) 定休日:第1・3・5火曜日(祝日をのぞく) https://www.ina-city-kankou.co.jp/miharashinoyu/

(文=中島英摩、写真=佐々木健太、編集=福瀧智子)

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 自転車旅はまだまだ続く! 第2回はマウンテンバイクにまたがり伊那市某所で山中を巡ります。4月上旬をお待ちください!

中島英摩 アウトドアライター

ライター。テント泊縦走から雪山登山まで1年を通じて山に通う。趣味が高じてライターとなり、トレイルランニングの取材・執筆をメインに、国内外の長距離レースにも出場している。特技は走りながら取材すること。

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