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いい人 “宮古島ロックフェスティバル実行委員会”という人たち

2013.10.09 Wed

  • 宮古まもるくん
  • 実行委員長でもある野津芳仁さん
  • アーティストのブッキングを担当している下地 慶さん
  • 元委員長・平良直也さん
  • 元委員長のナオヤさんは、宮古の海を遊び尽くすサーファー
  • 飲食店とセレクトショップを営む新里憲世さん
  • 宮古島と酒の関係
  • 宮古島の自然は本当に「原色」ばかり
  • 上野村のシギラベイ特設会場
  • インギャーマリンガーデンに住まう宮古牛
  • 宮古島の海
  • 一度つくったステージを敢えて解体
  • 平良の街のメイン通り
  • 宮古の砂はサンゴのカケラ
  • 平良市内の御嶽で出会ったにゃんこ
  • 2012年の後夜祭

 

宮古の熱い夜が
始まりました。

現代版のオトーリ

現代版のオトーリを写真に撮ると……どうみてもただの呑み会ですね。でも、ちゃんとルールを持って呑み交わす宮古伝統の慣しの場です

「それでは、“親”からの口上を。宮古島ロックフェスティバルが、こう長く続けられるのも、ひとえにみなさまのおかげにて……」

 と、オトーリグラスを片手に話し出したのは、実行委員会の砂川靖夫さん。底抜けに明るい笑顔は、ほんのりと赤味を帯びています。その口上を聞いている人たちはといえば、宮古島ロックフェスティバルを手づくりで育て上げてきた中心メンバーたちばかり。平良直也さん、下地 慶さん、下地慎治さん、新里憲世さん、豊見山忠明さん、野津芳仁さん……。みなさんの顔はといえば、もちろん真っ赤。

 オトーリというのは、宮古島にのこされた酒の場での慣しのこと。“親”となった者が、座に参加しているひとりひとりと順繰りに杯を交わし合いながら飲み続けるというもので、その際、年齢や日々の立場に関わりなく、本音を語り合う場が生まれるのです。

 実は、Akimama編集部のメンバーも「キャンプよろず相談所」という立場で、3年ほど前からこの宮古島ロックフェスティバルの手伝いをするようになっていました。

「宮古の飲みは半端ないから気をつけて」

 と、最初だけは心遣いをしてくれていた面々も、年を重ねるごとに、そしてオトーリで親を拝するたびに、水で割った泡盛をグラスになみなみと注いでくれるようになりました。

「宮古島の好きさ加減」とか「本当にキレイな海のことだとか」、「台風で風車が飛んでいってしまった話」とか、「何度も宮古に来てくれるリピーター」とか、話題の中心になるのは、どれもこれも宮古島に愛のあるものばかりです。

「おれは宮古が好きだ」

 と、言わんばかりの口上が、みなの口の端から上がってきます。

なによりも、島の子どもたちに
本物の音楽を届けたかった。

 そう話してくれたのは、実行委員会の元委員長・ナオヤさんです。宮古島ロックフェスティバルも来年は節目の年、10周年を迎えます。大成功の年もあれば、見込みを大きく外れた年もありました。

宮古島ロックフェスティバルの産みの親

平良直也さんは、宮古島ロックフェスティバルの産みの親。人情味に溢れた熱い心に、多くの人々が魅了されます。photo by MINMIN

 島へのアクセスが飛行機に限られることもあり、イベントに参加する人にも大きなハードルが生まれます。それは金銭的な問題もあれば、そもそものキャパシティの問題でもあります。また、台風銀座でもある宮古島だけに、直撃によって中止に追い込まれてしまうこともあるのです。

「実際のところ、疲れてしまった年もあったんですけど、それでも本気で止めるとは誰も言わなかった。ほんと、宮古のメンバーは愛すべき“バカ”ですよ」

 宮古島ロックフェスは、独特のイベントです。業界大手のオーガナイザーが仕切るようなイベントとは違って、実行委員会の人たちは各人がみな音楽以外の仕事をしています。観光協会の青年部に属する人もいれば、ホテルの経営や飲食店のオーナー、島内のバス会社に勤める人もいます。また、宮古島だけにダイバーを対象としたガイド業を営む人だっているのです。

 その“素人だった”人たちが、手づくりで続けてきたイベントがこの“宮古島ロックフェスティバル”なのです。もう10回目になるので、もはや素人ではありませんけどね。

「やっぱり宮古を離れていた時代もあるんですよ。田舎の島だから単純に都会に出たいという思いが強かった。荒れて暴れて、若かりしころは、みんな似た様な経験をしているはず。でも、ちょっと歳をとってから島に帰って来たら、宮古のよさがジーンと心に沁みたことがあったんだよね。あ、ここの海って、こんなにキレイだったんだなって」

 宮古島を再認識したナオヤさんは、だからこそ、島の魅力を島内の人たちに伝えたかった。自分たちの持っているものが、実はとてもステキなものだったとわかったとき、ならば、それを伝えられる場をつくらねば……。

「音楽もそう。オキナワには、いろんなミュージシャンがいるでしょ。彼らに声掛けて、宮古でイベントをやるから手伝ってくれってお願いして。本物の音楽を島の人たちと共有したかった。そして、子どもたちにも島のよさを知ってもらえるような、そんなキッカケがつくれれば、それが本当のところですね」

 こんな話を聞いたのは、もう3軒目くらいだったか、店を変えるたびにオトーリを回して酒を呑み、酩酊する頭に響くナオヤさんの声。

「仲間がいるからできるんだと思う。本気でイベントつくって、本番前も本番も本番後も、毎日毎日、呑んで呑んで騒いで騒いで大バカ騒ぎ。音楽聞いて、酒を回して大騒ぎをする3日間。この島の人たちの熱い繋がりが、宮古に来る一般の人たちにも伝わらないはずがない。そんな宮古のマジックにつかまれば、なんども宮古に足を運んでくれるようになる」

宮古島ロックフェスティバルに集う人々

宮古島ロックフェスティバルに集う人々の多くは、島外からやって来る宮古リピーターたち。みんな宮古マジックに掛かった心あたたかきトモダチです

 実際のところ、宮古リピーターはとても多いようです。宮古の自然にハマり、宮古が奏でる音楽にハマり、宮古の愛すべき人たちにハマる。なぜだか不思議と、みんなが友だちになれる空気が、宮古島全体を覆っているように思います。たしかに宮古島にしかない魅力があるんですよね。

 ナオヤさん曰く、気がついたら浜で朝を迎えていることも多々あるそうで、これも亜熱帯の宮古島が為せる技ですよね。かくいう自分は、千鳥足で4軒目の店を出たときには、もう宮古の空が明るんでいたような記憶があるのだけど……。

 来年は記念すべき10周年。6月はまたオトーリ三昧の3日間になるんだろうなと思いつつ、肝臓をいたわりながらその日を迎えたいと思います。

 いい海に、いい酒。そして、そこに集まる底抜けにいい人々。宮古の海に、多良川の酒、そして宮古島ロックフェス。どこまでも魅力的な南の島に、また来年も行けますように。

コラム:MIYAKO ISLAND ROCK FESTIVAL

第2回まとめ

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