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【知らないなんてもったいない】フィールドで超使える軟膏「キップパイロール-Hi」ってなんだ?
2019.07.17 Wed
いま巷の女子インスタグラマーの間で「ケースがレトロでかわいい」と、ちょっとしたブームになっている軟膏がある。そして、その評判がさらなる評判を呼んでか、アジア諸国からやってくる訪日外国人から“注目の日本の薬”としてもドラッグストアでひそかに売れているらしい。
その名は「キップパイロール-Hi」! これだ。
このケースを見たとき、見覚えのあるデザインに「あっ!」と古い記憶がよみがえった。学生時代に某スキー場でアルバイトをしていたとき、パトロールスタッフが持つ応急処理バッグに入っていた軟膏だったからだ。
リフト乗り場のスタッフとして長時間外にいるために自分の手にできたあかぎれや、バイトがオフの日に滑って作った傷、パトロールセンターでの夜の(恐ろしいほど飲まされる)飲み会でひっくり返ったとき……など、とにかく何かあればこれを塗ってもらった記憶がある。
いやいや、かなり前のことなのにまったく当時と変わっていないパッケージデザイン。
調べると、本社はそんなに遠くない場所にある。
パトロールの応急処理バッグに入っているのだから、アウトドアでも使えそうな臭いがするぞ。
せっかくなので話をうかがってみることにした。
営業担当の男性はなんと
バックカントリー好きだった。
6月某日、お伺いしたのは東京都内にある「キップ薬品株式会社」。今回お話をお聞きしたのは営業担当のサカイさんです。
こんにちは。
このたびはお時間を取ってくださいましてありがとうございます。さっそくなんですが、このキップパイロールという軟膏って個人的にめっちゃ懐かしいんですけど、結構前からある商品なんですか?
よく懐かしいと言われますね。多いのは「実家の薬箱に入ってる」とか「ケガしたときにおばあちゃんが塗ってくれた」みたいなエピソード。じつは日本で70年以上販売されている軟膏で、第2次世界大戦後に進駐軍が日本に持ち込んだ製品です。
70年!! 結構歴史ありますね。私たち生まれてない。
ですね(笑)。今は東京目黒区で生産していますので、日本製です。
インスタやTwitterなどSNSの口コミでちょっとした話題になってるのはご存知ですか?
そのようですね。缶がレトロでかわいいと買ってみる女性が多いようです。なかには芸能人の方がブログ記事で触れてくださっていたり……。ありがたいです。
じつは、かくかくしかじかで昔パトロールに塗ってもらったことがあるんですが、とにかく日々皮膚に何かあったらとりあえず塗っとけ、みたいな使い方だったんですよ。そういう使い方が可能な軟膏なんでしょうか。だとすれば自分のファーストエイドに入れておきたいかも。
ん~~~YesともNoとも言えるご質問ですね。キップパイロールは、すり傷やあかぎれ、やけど、日焼け、カミソリ負け……などといった幅広い日常的な皮膚トラブルに効能がある軟膏ですので、この点に関してはYesです。
結構幅広く使えるというイメージですね。坂井さんご自身も自宅でよく使われるんですか?
初の薬品会社取材なので取材Qも入念
そうですね。家では家内が子どもによく塗っていますし、僕自身たとえばバックカントリーで日焼け止めをうっかり塗り忘れて焼けてしまった耳などに塗っています。
まさかのバックカントリー好き!! シ、シンパシー感じる~! ……ちょっと話が逸れますがBC歴はどれくらいですか?
いやいや、大したことないですよ。スノーボード自体は10代のころからやってますが、BCデビューは2014年なのでBC歴は5年ほどですね。新潟県の八海山スキー場裏を滑るハイクがほぼないツアーに初参加してハマってしまって(笑)。今はでかけるときは基本的に日帰りで、ツアーに参加するときは群馬県のみなかみ周辺が多いですね。
みなかみ周辺はいいところいっぱいありますもんね。
Akimama編集部さんのように普段からアウトドア好きが多い環境と違って、僕らサラリーマンは一緒に行く仲間を見つけるのが大変なんですよ。でも去年は日帰りで「○×%■¥(諸事情によりピー音)」に行ってきたんですが、これが大当たりで! めちゃくちゃ雪がよくて、ついおかわりの1本を行ってしまいました。
ウソでしょ。それ日帰りする人初めて見た!! この人相当気合い入ってるわ……!
BCにハマってしまって、それから山に興味を持って夏山にも登るようになりました。今では登山も好きで、夏山装備にもキップパイロールを常備しています。
常備しておく家庭の軟膏っていろいろ種類があると思うんですが、なんでキップパイロールはあんまり知られていないんだろう。日焼けにもすり傷にも使えるならアウトドア好きにもってこいと思いますけどね。ところで、さっきのNoの部分はなんなんですか?
会社に勤務しているとお客さまからの問い合せを直接僕が受けることもあるんですが、「ヘソのゴマを取るときに使っていいか?」というご質問を受けたことがあって。これはメーカーとしてはNoですかね(笑)
ヘソのゴマって!(爆) まぁほじり過ぎて傷つけてしまったらキップパイロールはいいかもしれないから、あながち間違いではないような気も……。
確かに(笑)
せっかくだからもう少し詳しく
キップパイロールについて聞いてみた。
歴代のキップパイロールのパッケージ
せっかく来たので、もう少し詳しくキップパイロールの効能について聞かせてください。切り傷、すり傷、軽度のやけど、ひび・あかぎれに効くってことはわかりました。でもなぜそんなに多くをカバーできるの? 完全に文系の人間なんですけど、ガッツで食らいついていきますんで!
用意はいいですか?(笑) さきほどもお話しましたが、もともとキップパイロールは戦後にアメリカから日本に入ってきた軟膏で、当時アメリカ兵が傷の手当てからヒゲそり後のケアまで使える皮膚の薬として使っていたそうです。
兵士がひとり1つ持っていた、というイメージでしょうかね。便利に使っていたんですね。
この医薬品の大きな特長は、殺菌力を高めるため3つの殺菌有効成分を配合している点なんです。
といいますと?
トマトの薄皮みたいな、僕たちの皮膚表面の「表皮」がなんらかの原因で傷ついてしまうと、放っておけばそこからさまざまなバイ菌が入って悪化してしまいます。そこでバイ菌を短期間で死滅させる「殺菌」というケアが重要なんですよね。
はい。
そこで、「サリチル酸」「フェノール」「イソプロピルメチルフェノール」という3種類の殺菌成分を配合することで、さまざまな菌に対応できるようにしました。
イ、イソプ……
大丈夫ですか?(笑) アウトドアで言えば登山道で転んだり、岩場でヒザを擦りむいたり、靴擦れを起こしたり、キャンプで火傷をしたり……といった、個々に違うシチュエーションに存在するいろんなバイ菌に対して殺菌効果が得られるのがキップパイロールの最大の特長です。複数の殺菌有効成分が入っている軟膏はあまりないと思います。
分野がアウェイすぎてときどきフリーズするAkimamaスタッフ
……ええと、つまり複数の殺菌成分を配合することでひとつの軟膏で幅広く対応できるということか……。靴擦れなんかにも使えるのかぁ! これは便利ですね。
そうですね。靴擦れなどのすり傷の場合は、軟膏なので塗れば患部の摩擦を軽減できるのと、消炎する成分も入っているのでヒリヒリした炎症も和らぎます。「酸化亜鉛」という成分が炎症を和らげてくれるんですよ。
そういう意味では股擦れにも効くということですか?
おっしゃるとおり股擦れなどのすり傷にも効果があります。あと、靴擦れってひどいとジュクジュクな状態になりますけど、キップパイロールはそういったジュクジュクした傷にも、乾燥したカサカサした傷にも、どちらにも使える。そういう点ではめずらしい軟膏とも言えます。
カサカサと言えば、乾燥肌なのであかぎれは日常茶飯事ですよ。
それなら、冬場のかかとのヒビなんかにも使ってもらえますよ。軟膏が固めなのでしっかり患部にのるし、皮膚を柔らかくするサリチル酸が配合されているので硬化した皮膚に効きめがあります。山から降りてきてお風呂上がりにひと塗り、ですね。
そして、日焼け・雪焼けにも効く……と。これは雪山好きとしてはうれしい!
もちろん日焼け止めで予防するのが大前提ですが、日に焼けてしまって皮膚が真っ赤になるのはれっきとした「やけど」。その場合は、冷たい水などで赤く炎症した患部をよく冷やし、それからうっすらとキップパイロールを塗ることで保湿と消炎の効果をWで得ることができるというわけです。放置しておくより確実にオススメ。あまりに広範囲の日焼けや、水ぶくれができるほどの日焼けは受診してくださいね。
外で一生懸命遊んだら傷ができるけど、
その傷を治してまた遊べばいい
あとキャンプで酔っぱらって、焚き火でちょっと火傷をしたときにも使えますよ。
……なんか、坂井さんと仲良くなれそうな気がしてきた!(笑)
僕がバックカントリーや登山が好きでキップパイロールを常備してるんで、Akimamaの読者さんにもぜひ使ってみてほしいです。ばんそうこうなどと一緒に携帯してもらって、皮膚に傷ややけどができたときは塗ってほしい。外で一生懸命遊んだら傷ができるけど、その傷を治してまた遊べばいいと思います。そんなタフでポジティブなアウトドア好きの方の気持ちをサポートできる存在になれればいいなと思っています。
アウトドアへの愛を感じるいいコメント〜! ちなみに、ドラッグストアで買えますよね?
買えます!
明日行ってもいいかな?
いいとも!!(笑)
では、この勢いでキップパイロールで一句どうぞ!
えっ。
いけるいける!
……。……。だ、「大丈夫! ささいなキズにはパイロール」!!
うまい! キラーパス返し! ご協力ありがとうございました!
(撮影=亀田正人、文=福瀧智子)
■希望小売価格(税抜き):左¥600(15g)、右¥1,250(40g)
■効能:軽度のやけど、切り傷、すり傷、ひび、あかぎれ、かみそりまけ、日焼け、雪焼けによる炎症
■用法・用量:疾患の程度により適量を患部に塗布するか、またはガーゼ等にのばして貼付
非ステロイド性皮膚治療薬
酸化亜鉛配合
第2類医薬品
★お求めは薬店・薬局・ドラッグストアにて。