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くじらの親子がスーイスイ。想像力全開で、雲を見ながら山歩き

(2014.07.15)

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青空にポッカリと浮かんだ二頭のくじら。どうみても親子ですよね。ほんとに、すぐそこに泳いでいるんです

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くじらの親子は、いつしか立派なレンズ雲に。吊るし雲ともいいますが、これ、上空の悪天候の印です。風、強いんですね

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そして、こちらが、竜のアーチです。もう見るからに悪そうですよね。色もドス黒い感じですし、あぁ早く下りようと思っちゃいます

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でも、竜の腹の下の向こう側には、なんと麓の湖が。三日月型の山中湖です。キラキラと湖面が輝いていました。あそこは「晴」なんですね

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天候が安定しているうちに、いざ山頂へ。7月だというのに、富士山の御釜にはまだまだ雪がドッサリ。正面に霞んで見えるのが、旧富士山測候所。つまり、最高地点の剣ヶ峰です

 先週の半ば、台風の合間を縫ってとある山に登ってみると、フワフワ、モクモク、青い空にくじらの親子が泳いでいるじゃないですか。おっきな空をおっきな身体で、ゆら〜りゆらりと泳いでいました。さも、気持ちよさそうに!

 想像力を掻き立ててくれる雲って、確かにたくさんありますよね。子どものころだったら、あの雲を見てどんなネーミングをしただろう? もしかしたら、読みたての『星の王子様』を手に「ゾウを丸呑みしたウワバミだ」、なんて言っていたかもしれません。

 こうやって想像していると、なんだか雲を見ながら歩く山も楽しいものだと思うようになりました。すでに、「雲見山行」を楽しんでいる山好きの人もたくさんいるとは思いますが。

 さて、今回の山行をこういった目線で眺めてみると、想像力をくすぐってくれる迫力の雲、雲、雲のオンパレード。それだけ上空に強い風が吹き荒れていたということですが……。

 で、最初に見たくじらの親子は、その後もしばらくのあいだは仲よく泳いでいたのですが、気づいてみるといつしか親子が逆転して上の雲が巨大化。まるでUFOのごとき、立派なレンズ雲に生まれ変わっていました。

 くわばら、くわばら。これは、悪天候の兆し!? って、そりゃそうですよね。梅雨前線と台風の隙を見て登っているんだから、天気が悪くなって当たり前。

 そして、どんどん標高を上げていくと、今度は「うぉ、ラピュタの竜の巣が!」。

 目と同じ高さで眺める巨大な積乱雲は、見る者を圧倒するものですね。ちょービビリつつも、この日はもう目的の山小屋が目の前でしたので、滑り込みセーフ。その前に山頂は踏んでいましたので。

 この日の晩は、もうビュービューと風が吹き荒れていました。山体に塊でぶつかってくる風が、ドーンドーンと大砲のような音なんか立てちゃって。確実に明日は雨。シュラフに潜り込みつつ、翌朝の雨対策を頭のなかで確認してみたりしているうちに、いつしかZZZ……。

 でも、朝起きて見ると、なんと雨は降っていませんでした。もちろん、風は不気味な音を立てて吹き付けていたので、早々と退却します。山の斜面から細かな砂が顔にバチバチとぶつかってくるような具合で、山頂からの吹き下ろしが強いのなんの。

 そんなときふと顔をあげて、思わずウギャッと大声をあげてしまいました。なんとそこには、大きな大きな雲のアーチがあるじゃないですか。ちょうどこの斜面が、山を回り込んできた風の頂点にあたるのか、左右の積乱雲が押し合いへし合いつながってしまったみたいです。

 これはもう竜の胴体そのもの。昨日の竜の巣から飛び出たドラゴンじゃないでしょうか。けっこう焦りますよね、こんなもの山の中で目にしちゃうと。でも、また不思議なのが、ぽっかりと空いたアーチの中心からは向こう側の景色が見えていたりするんです。麓の湖がキラリと光っていたりもしています。あまりの景観に、しばしその場にたたずんでしまうほどでした。

 とはいえ、そんな悠長なことも言っていられません。なんとも微妙な天候ですが、雨は降っていないんです。ならばと、そそくさと下山。一時間後には下山口に到着し、結局、雨具の世話にはならずに済みました。

 結果的には、ダイナミックな雲の博物館に来ていたかのようで刺激的な山行となりました。が、同時に、天気図と首っ引きでピンポイント、このときしかない!! というような山歩きでもありました。

 さて、これだけさまざまな雲が生まれる山といえば、あそこしかないですよね。

 そうです、富士山です。富士山の周りにはほかに高い山がないので、風の影響がとっても大きいのはご存知の通り。このとき台風はまだ九州にありましたが、その影響は間違いなく受けていたはずです。

 地球はダイナミックだなぁと思いつつも、山は安全が第一。雲が見たくとも、無茶は禁物ですよー。不安が残る場合は、山に入るべからずです。

 
 
ライター
tetsu

山岳•アウトドア関連の出版社勤務を経て、フリーランスの編集者に。著書に『テントで山に登ってみよう』『ヤマケイ入門&ガイド テント山行』(ともに山と溪谷社)がある。

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