• 山と雪

今年の雪は少なめですよ〜。残雪の北ア/燕岳レポート

2015.05.20 Wed

 5月6~7日の2日間、北アルプスの燕岳(2763m)に登ってきた様子をレポートします。中房温泉から入山して合戦尾根を往復する、燕登山の王道ルートです。

 入山口で登山届を提出し、朝9時に登山スタートです。急勾配が続くので、第一ベンチ、第二ベンチと順調に高度をかせぎつつも、バテないようゆっくりと登っていきます。

 第三ベンチを過ぎたあたりから、登山道に断続的に残雪が出てきました。春の麗らかな陽射しで雪が緩んでやわらかく、蹴りこみながら登れたのでアイゼンは装着しませんでしたが、この時期は8本爪以上のアイゼンとピッケルはあったほうがいいですよ。というよりも、必須アイテムです。

 登り出してから約3時間、合戦小屋に到着。夏場ならここで、名物のスイカをかぶりつくところですが、季節はまだ春。でも、売店は営業していて、トイレも使用できました。ベンチを借りて、ここでランチタイム。
 
 合戦小屋から先は、さらに雪面を登り詰め、三角点(合戦沢の頭/2489m)に到着。ここからは見晴らしのいい尾根を歩きます。見上げると燕岳山頂と燕山荘。そして、槍の穂先も見え、気持ちが一気に高まっていくポイントです。

 小屋直下の急階段をひと登りし、スタートしてから約5時間、燕山荘に到着。目の前には、ハイマツの間に残雪を抱いた燕岳。彼方には幾重にも連なる青い峰々。
 
 この空間の一瞬を味わうために登ってきたんだぁと、思わせるほどの雄大で美しい景観に、ただただ、見とれて息をのむばかりでした。

 ここから燕岳の山頂までは、片道30分ほど。この区間の残雪はほとんどありません。広くない頂を他の登山者と譲りあって使い、帰り道では何度かライチョウに出会えました。季節の変わり目で、黒い夏毛と白い冬毛のツートン模様です。

 宿泊した燕山荘では、GWももう終わりとあってか混雑もなく、ゆっくり過ごすことができました。GWの最終日は、山小屋利用の狙い目ですね。
 
 小屋のスタッフの話では、周辺は例年より3mくらいも積雪量が少ないそうです。

 翌日は朝食を食べてから、7時に燕山荘を出発。前日と打って変わり、残雪は固く締まっていました。朝だけに気温がギュッと下がっていたようで、装着したアイゼンがよく効きます。

 雪面上は足跡や凹凸がそのまま固まっているので、歯を引っかけたり転んだりしないように注意が必要です。また、雪のある箇所とない箇所が交互に出てくるので、なるべくこまめにアイゼンを着脱して登山道を傷めないようにしたいです。
 
 下山までは3時間少々。充実の2日間でした。

 5月の北アルプスといえば、天気次第で吹雪になる可能性もあります。気象情報の入手はもちろんですが、防寒衣類やグローブ類などの装備も万全に。

 燕山荘へ最新状況の問い合わせをしたり、HPで事前確認したりすることをお勧めします。

reported by 髙木律子(登山ガイド)
            
         

■燕岳/登山情報
参考コースタイム:
1日目[歩行時間計5時間35分]/中房温泉(3時間)合戦尾根(1時間40分)燕山荘(30分)燕岳(25分)燕山荘泊
2日目[歩行時間計2時間50分]/燕山荘(50分)合戦小屋(2時間)中房温泉
地図:『山と高原地図37 槍ヶ岳・穂高岳 上高地 北アルプス』(昭文社)

※行動時間には、個人差がありますので目安としてご覧ください。残雪期にはとくに時間がかかることがあるので要注意。

Latest Posts

Pickup Writer

ホーボージュン 全天候型アウトドアライター

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

森山憲一 登山ライター

高橋庄太郎 山岳/アウトドアライター

森山伸也 アウトドアライター

村石太郎 アウトドアライター/フォトグラファー

森 勝 低山小道具研究家

A-suke BASE CAMP 店長

中島英摩 アウトドアライター

麻生弘毅 ライター

小雀陣二 アウトドアコーディネーター

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

宮川 哲 編集者

林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

ふくたきともこ アウトドアライター、編集者

北村 哲 アウトドアライター、プランナー

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

河津慶祐 アウトドアライター、編集者

Ranking

Recommended Posts

# キーワードタグ一覧

Akimama公式ソーシャルアカウント