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ここが本当に東京!? 武蔵野の原風景「ハケ」の湧水群めぐり

2013.12.09 Mon

藤原祥弘

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

「今の武蔵野は林である。林はじつに今の武蔵野の特色といってもよい」
 と書いたのは明治の作家、国木田独歩。

「武蔵野」は万葉の時代よりカヤ原の広がる関東平野を指す言葉でしたが、明治時代には雑木林を背景にした田園地帯がそのイメージに代わっていたよう。

 それから100年以上が過ぎ、独歩が再定義した林のある風景もすでに過去のもの。今では彼の愛した武蔵野には見渡す限り住宅地が広がっています。

 そんな武蔵野にあって、往時の空気を現代に伝えているのが「河岸段丘」です。河岸段丘とは川の流れによって作られた段差のこと。多摩川の北側の台地には、古い時代に多摩川によって作られたいくつかの河岸段丘があります。

 この段丘は開発を免れ、ところどころに雑木林が残されています。また、段丘の上の台地に降った雨がこの崖からしみ出し、湧水と小川を作り出してもいます。河岸段丘とそこから湧き出す水は「ハケ」や「ママ」と呼ばれ水源として大切にされてきました。

 今では貴重となったこれらの湧水が多く残っているのが、国立市から国分寺市にまたがる一帯です。なかでも有名なのが「ママ下湧水」と「お鷹の道」のふたつ。

 ママ下湧水があるのは国立市谷保。都内有数の湧出量を誇るこの湧水が作る小川は、東京都下とは思えない清冽さ。冬枯れの風景の中でも、水温の高い小川とその周囲には青々とした草が茂っています。

 湧水が流れ出した用水路を泳ぎ回るのは、黒々とした雑魚の群れ。子供たちが釣り竿や網を片手にそれを追いかける風景も、かつての武蔵野を忍ばせます。

「お鷹の道」は武蔵国分寺周辺の湧水を集めた小川に沿う遊歩道。歩道沿いでは近隣の農家の野菜が並び、今でも野菜の泥を流すなど、現役の清流として大切にされています。

 これらのほかにも、この周辺には昔の面影を残す水景色がいくつも残されています。独歩曰く、
「武蔵野に散歩する人は、道に迷うことを苦にしてはならない。どの路でも足の向くほうへゆけばかならずそこに見るべく、聞くべく、感ずべき獲物がある」
とのこと。

 今度の週末は、武蔵野の湧水を巡る気ままな散策なんかどうでしょう?

■データ
○ママ下湧水
国立市谷保2963
JR南武線矢川駅で下車。多摩川方面へ600mほど南下して幅2mほどの矢川用水にぶつかったら用水路沿いの道を上流へ約100m遡る。

○お鷹の道
国分寺市東元町3丁目・西元町1丁目
JR中央線西国分寺駅で下車。武蔵国分寺を目印にして徒歩約15分。

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