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“自己アピール”だけではダメ。 ちゃんと相手のメッセージも汲み取らないと……!

(2014.09.07)

登山のTOP

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くま01

チェーンソーアートかと思うようなヒグマの爪痕。針葉樹だがヤニが出ていないほど新しい。というか、往復コースの下山中に見つけたのだが、行くときにはなかったと思う……(北海道・斜里岳にて)

くま02

左:なかなか豪快なひりっぷりだ。この日は数分おきに10箇所以上あった。ほぐしてみると、何を食ってるかよくわかる(北海道・ウエンシリ岳) 右:美味しいものでも見つけたのか。登山道を掘り起こした跡。土の乾き具合から、今の今という感じではないものの、それでもこの日のものだろう(同・余市岳にて)

 といっても、デート必勝術でも営業マニュアルでもありません。クマの話です。クマは山でもっとも警戒すべき野生動物のひとつ。遠くから姿を眺めるくらいならともかく、いきなり面と向かっては出遭いたくない——というより避けなければなりません。

 ではどうするか。

 山のハウツー本には「クマ鈴など鳴り物で人間の存在を知らせる」とあります。近年、本州のツキノワグマが積極的に人間を襲うケースもまれに見られますが、北海道のヒグマを含めて、クマは基本的に人間を恐れると言われています。人の気配を感ずれば、クマのほうから逃げていくことがほとんどなのです。
 
 しかし、クマ鈴をぶら下げていれば安心かといえば、必ずしもそうとは限らない。クマに聞こえなければ意味がありません。鈴は歩いている自分にはよく聞こえていますが、10m、20mと離れたらどんどんその音は小さくなっていく。とくに沢沿いや風の強い日などはかき消されて意外なほど聞こえません。音の通りのいい鈴を選び、きちんと鳴るようにぶら下げることが大事です。ちなみに、終始チリンチリンという音が耳障りだという山の達人のなかには、ここ一発でのホイッスルや“雄叫び”が有効だという人もいます。

 いっぽう、人間の側もクマの出すサインを見逃さないことが重要です。真新しいフンや好物の植物の根やアリを掘り起こした跡、瑞々しい食いちぎりの跡などは、ついさっきまでそこにクマがいた証拠。人が来たから草かげに姿を隠しているけれど、実は食事中をジャマされてイライラしながら居なくなるのを待っているかもしれない。クマの胸中を察し(?)、そんなサインのある場所は早めに通り過ぎるべきです。

 また、サインは視覚だけとは限りません。「パキッ」と枝を踏むような音が聞こえたり、獣特有の臭いが漂ってくることもあります。シカなどほかの動物の可能性もありますが、やはり用心して早めに立ち去るべきです。とくに音に関しては、必要以上に鈴やラジオを鳴らすと気付きにくいので要注意(なんだか矛盾するようですが、常に五官を敏感にということです)。

 山のベテランはよく「クマなんか会いたくても会えない」という言い方をしますが、それは会わないよう細心の注意を払っているからでもあるのです。

(文/写真=長谷川 哲)

 
 
ライター
Akimama編集部
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