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【山ヤの子育て】目指せ100座! 3座目 ・子連れ登山侮るべからず <後編>

(2019.07.29)

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山ヤ夫婦、初の試練

 11か月になった娘が、ヨタヨタとよろけながらも、自力で歩きだした。歩くこと、それ自体が楽しくて仕方ないのか、満面の笑みでわが家の狭いリビングを歩き回る。

 そんなわが子の成長をみて、勝手に登山家としてのポテンシャルを感じ、私たち山ヤ夫婦は完全に舞い上がった。そして5時間半という今までにないロングコースである天城山に出かけることにしたのだった。

 しかしこの時、私たちはまだ気が付いていなかった……。

「子どもが大きくなるにつれ、子連れ登山の難易度はあがる」ということに。私たちは完全に子連れ登山を甘く見てしまっていた。

 天城山登山は、予想より時間がかかり、山頂ですでに午後2時。体力自慢の夫も珍しく弱音を吐きだす始末。無事に下山できるか!? 山ヤ夫婦の子連れ登山は、3座目にして大きな試練に直面した。

両親の会話も少なくなり、雲行きが怪しくなってきた親子登山。父の背中でご機嫌だったはずの娘もなんだか不安げな表情になってきた。



子連れ登山 3座目 コースタイム5時間半の天城山に挑戦(後編)

 同じ重量でも、「枝や岩にぶつけても大丈夫」「最悪、残置していくという選択もある」というザックを背負っているのと、絶対にぶつけたり落としたり、ましてやどんな状況になっても残置なんてできないわが子を背負っているのでは、精神的な疲れ方が格段にちがう。

普段ならスイスイ進めるような道でも、一歩一歩慎重に進むので、思うようにコースタイムが稼げない。

“動く荷物” を背負っての登山であることを忘れずに

 今回の反省は、根本的に、娘が “意思をもって動く” ようになった、ということを甘くみていたことだ。

 まず、“親子登山として” コースの危険個所の検討が不十分だった。もちろん、普段の登山であれば、天城山の登山ルートに危険個所とされる場所は少ない。私たち夫婦も、自分たちだけならコースタイムは4時間かからなかっただろう。しかし、ベビーキャリアを背負っての登山は、通常の1.5倍の体力と時間と、なにより精神力を消耗した。

 今回の反省から、とくに確認をしっかりすることをおススメするポイントはふたつ。

「ハシゴ(特に下りルートで)が多いルートではないか」
「〇〇のトンネル、というような、かがんで歩く場所は多くないか」

 ベビーキャリアを背負ってハシゴを上り下りするのは、たとえ5・6段の短いハシゴであってもとても緊張する。突然背中の子どもが暴れて重心が大きくぶれる可能性があるからだ。

 また、今回のコースにあったアセビのトンネルのように、かがまないと通れないような場所が長く続くと、想像以上に脚に疲労がたまる。子どもを枝にぶつけないように、いつもより深くしゃがんで通り抜けるからだ。

娘を木の枝に激突させてトラウマになって山嫌いになったら大変なので、慎重に慎重に、地面に膝がつくほど深くしゃがんで木の枝をくぐり抜ける。

 そして、ふたつ目の反省点は、低山だからと侮ってストックを持って行かなかったことだ。

 最初の2回はおとなしく担がれていた娘も、今やベビーキャリア上で右へ左へと、動く、動く。おかげで、以前にくらべて一層バランスがとりにくくなっていた。ストックがあると、バランスをとるのに役立つのはもちろん、今回のように下山時に疲れ果ててしまったときに、歩くのがとても楽になる。子連れ登山の必携アイテムといえるだろう。

ハシゴや、石が多い道だと、バランスをとることに苦心して、相当の精神力を疲弊した。親の心子知らず、でグラグラ揺れる背中で娘は大興奮。

 また、コースタイムも子どもが大きくなるのに比例して、長くかかるようになる、ということも盲点だった。以前は背中でおとなしく寝ていた娘も、今はほとんど起きていて、いろいろなことに興味を示すようになっていた。枝があれば触りたいし、座りっぱなしでは飽きるし、途中でおやつを要求したりもする。無視してどんどん先に進むこともできるのだろうが、子どもに登山を楽しませたいと思うと、つい立ち止まっては木に触れさせ、時にはベビーキャリアから降ろして土に触らせたりしていると時間が倍かかるのだ。

ベビーキャリアのピローを叩いたり、父の髪の毛を引っ張ったり、なにかと父の背中から自己主張をしてくるようになった娘。すっかり殿様登山が板についてる。

急がば回れ、山ヤの子育て

 山ヤにとって、より高い山、より難しい山へ挑戦したいと思うことは自然なことだろう。だから、子どもが大きくなるにつれて、つい、より高く、長い山行に連れていきたいと気持ちが急いてしまった。しかし、1歳ごろから、日に日に好奇心が強くなり、自分でやりたい気持ちが芽生えてくるもの。大人には目新しさのない短い簡単なコースでも、娘にとっては新世界の大冒険。ゆっくり立ち止まって草木や土に自分の手で触れる時間を持てるほうが、今の娘には山の楽しさを知ってもらうために大切なことかもしれない。

 長いこと山をお休みしていた身としては、早く高山にいっしょに行きたい気持ちもあるけれど、今は娘と一歩一歩ゆっくり歩こうかな。

空を見上げて、きゃっきゃっと嬉しそうに笑う娘の姿を見ると、疲れも(少し)癒される。自然が大好きに育ってくれるといいなぁ。

 さて、次は3人でどこに登ろうか。


 

しなこさんの、パパママへの登山アドバイス
1歳前後の赤ちゃんは、本当に好奇心旺盛で、ずっとベビーキャリアに座っていると飽きてしまいます。ベビーキャリアに小さなおもちゃを括り付けておくと、飽きたときにひとりで遊んでくれて便利ですよ。わが家では、木製のベビーラトルをつけています。


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【山ヤの子育て】目指せ100座!

 
 
ライター
まつだ しなこ

北海道から九州まで、日本全国の山を縦走メインで年中楽しむ。山道具マニアの夫との間に娘が生まれてからは、快適な親子登山について日々研究中。夢は将来大きくなった娘と山頂でお酒を飲むこと!

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