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【アウトドア仕事対談】焚き火して、みかん食べて、語り合ったら、なぜか好きなことを仕事にしたくなる話

2021.03.15 Mon

Taishi Takahashi

Taishi Takahashi フォトグラファー

今年の夏、高尾エリアでのアクティビティの拠点となる宿泊施設「タカオネ」がオープンする。いっしょに働く仲間を募集中のタカオネでマネージャーを務める予定のスエマツさんとAkimama編集部のカワズは昼間から薪を焼べ、みかんの皮を剥き、さつまいもを焚き火の中に投入。なにやらおもしろいことが起こりそうな、そんなでもないような、でも会議室でやるより絶対楽しい対談がはじまった。



タカオのカタヲ編集部のサカネさんがファシリテーターとなって対談は進んだ。
まずは自己紹介から。

サカネ:おふたりの現在のお仕事と、その経緯を教えてください。

カワズ:「Akimama」というアウトドアカルチャーのウェブサイトで編集とライターをやっています。以前はぜんぜんちがう仕事をしていて、10年間ぐらいコーヒー関係の仕事に就き、バリスタとして接客や、スーツを着て本部でも勤務していました。東京23区内の生まれなんですが、ちいさいころからアウトドアに触れてはいました。両親に連れられてよくスキーやスノーボード、幼稚園から中学までは学校の行事で高尾山に登りに行っていましたね。風景写真を撮るために山を登りはじめたのが約7年前。この仕事をはじめたのは約3年前。登山に目覚め、いつの間にかいまの仕事になりました。

Akimama編集部 河津 慶祐Akimama編集部のカワズ。

サカネ:いまは薪を焼べていますが、スエマツさんのお仕事は?

スエマツ:そうですね(笑)、開業予定のホテル(タカオネ)の運営を担当しているので、いまは開業準備中ですね。フェイズ的には採用をしたりとか、どんなものをホテルにおきましょうとか、料金どうするとか、広報をしたりしている段階です。前職は静岡県の富士宮に拠点があるホールアース自然学校というところにいました。山と森のガイドをやったり、冬は森に入り木を切って、自分たちが夏に使う薪を取ってきたり。ジビエの解体施設もやっていて、ガイドの日の朝に「鹿獲れた!」って電話がきて、ガイドを代わってもらって解体の手伝いをしたときもありましたね。

サカネ:その前は?

スエマツ:不動産デベロッパーの仕事で、浅草らへんに住み大手町の再開発をやっていました。

サカネ:ガイドの仕事や、現在のホテルの仕事とはぜんぜんちがう畑だったんですね。なんでまた?

スエマツ:かっこいいなと思って(笑)。でかいことに憧れがあったんですよね。学生時代に山をはじめたのもそれがあって。ちょっとこう、尖りたい、人とちがったことをしたいみたいな。

タカオネ タカオのカタヲ 壽榮松 孝介タカオネでマネージャー就任予定のスエマツさん。じつはタカオのカタヲの編集部でもあり、Akimamaのライターとしても活動している。

サカネ:なるほど。大きいことにあこがれ就職して、都市開発をしたが3年で辞めたっていうのは、なにかちがうなって感じたからですか?

スエマツ:社会人になっても毎週のように山へ行って、月曜になると夢から覚めてスーツを着て働くような毎日でした。そしてあるとき、仕事を街か山どっちに寄せるかちゃんと考えてみようと思って、それで山に寄せて。

サカネ:寄せ方が半端ないですね!

スエマツ:中途半端が苦手で。でも思えば、極端なふたつの場所で働いて、いまは割とバランスが取れているかなって。

じつはこの中に焼き芋が。


好きなことを仕事にするってどういうこと? アウトドアや自然の仕事をするってどんな感じ?
話は進む。

サカネ:好きなことを仕事にするって、どこかみんなあこがれて、でもなかなか踏み込めない。大丈夫かなとか、不安に思う人もいると思って。おふたりは好きなことを仕事にして、実際のところどうですか?

カワズ:そうですね。アウトドアを仕事にしたら周りは同じような人ばかりで、アウトドアでの人間関係が一気に広がったのが、まずよかったなと思います。あとは登山道具とか大好きなので、仕事柄、まだ世に出ていない最新の道具を見たり聞いたり触ったりする機会があるのは楽しいですね。

スエマツ:いやなことってないですか?

カワズ:いやなこと、なんでしょうね~。う~ん、ぼくはいやなことってないですね。

スエマツ:好きなことを仕事にしているからこそ生まれる悩み的なのって……ぼくもあんまりないなと思ったんで、カワズさんはあるのかなって。

サカネ:いいですね。いやなこと、考えたけどないなぁって。

スエマツ:でも仕事に熱中しすぎて、肝心の山にあんまり行けてないというのが(笑)。ぼくの場合は、好きな仕事でも山とは遠いというか、ホテルの仕事に近いので。ただ関わる人たちはみんな山に関わる人が多くて、話をしていて楽しいですね。久しぶりにカワズさんと走って話をしても、興味がない話題はひとつもないし。

焼き芋を頬張りながら談笑するふたり。


話題はライフバランスや高尾の魅力へ。好きなことを仕事にすると、週5で働いて週末を満喫するというようなはっきりとしたオンとオフ、仕事とプライベートの境界線があいまいになってくる。ファシリテーターのサカネさんもより話に加わり、それぞれの仕事観や高尾の働く場所としての魅力を語り合った。

カワズ:仕事中がオフかな(笑)。力をできるだけ使わずに平日をこなし、金曜日に体調のピークを持ってきて、土日にすべてを発散させて、また月曜から金曜にかけて備えていく。山以外の仕事をしていたときに、そう山仲間と話していたかな。

スエマツ:オンとオフの定義が(笑)。

カワズ:昔は山と仕事を完全に分けて考えていましたけど、いまはいわゆる、公私混同ですよね。仕事半分、遊び半分みたいなときもあったりしますし。プラベートで山に行くときも、ついでに仕事で使えそうな写真を撮っておくとか。ただひとつ気をつけているのは、山以外のプライベートな時間をきちんと設けるようにしています。

サカネ:そういうスイッチがあるといいですね。スエマツさんは仕事観どうですか?

スエマツ:オンとオフの話でいうと、以前の職場(自然学校)がその境目が曖昧で。朝出勤して、とりあえずヤギにエサをあげてもまだオンにならない(笑)。いまはそういう意味でいうと、お金の話も前よりするし、丁度いいのが好きなのかもしれないですね。たまにストレスがかかることして、ビール飲むのもうまかったりとか。逆に一日中遊びみたいな仕事をしてオフに寄せる日も好きだし。いまはなんか都合のいい領域を生きている気がしますね。

サカネ:おふたりともこう、自分のいい塩梅に混ぜている。混ざっているというよりは、意図的に混ぜているじゃないけど、なんかそんな意志を感じます。

カワズ:でもぼくは完全にアウトドアには寄れないんですよ。身は都会におきたい。都会でのデスクワークもあってのバランスで、そういう部分を残しておきたいというか。

スエマツ:そのうち「田舎に引っ越したいんだよね~」とか言いだすんじゃないかと思っていたので、意外でした!

カワズ:すぐ映画館に行けるとか、歩いて1、2分でコンビニに行けないといやだし。

サカネ:生活という意味ではけっこうコントラストがはっきりしていますね、おもしろい。

スエマツ:ぼくは高尾付近なのでカワズさんより山寄りに身を置いています。むしろ、もっと自然度の高い場所でもいいかなって思ってますね。

サカネ:スエマツさんは暮らしと山の関係性も、丁度いいなという感じですか?

スエマツ:高尾はまちと山が近くて、すぐ走りにいける。日常と非日常の距離が近いのがいい。カワズさんは距離を離していますよね。これってどっちが正しいとかではなくて、ぼくはカワズさんよりも日常と非日常の振れ幅が小さい方が心地いいっていう話だと思ってます。

サカネ:なるほど、振り幅の大きさの話なんですね。

スエマツ:振り幅のでかい楽しさもあるなというのは、東京のど真ん中にいたときに思いましたね。でもいまはこっち方が居心地がいいかな。

タカオのカタヲ 坂根 扶美今回の対談のファシリテーターを務めた、タカオのカタヲ編集部のサカネさん。

サカネ:私は自然との距離でいうと三人のなかでいちばん遠くて。めっちゃインドアだし、動くの好きじゃないし、いちばん好きなのはベッドの上だし(笑)。でも、高尾のプロジェクトをやることになって、高尾山に行ってみると登山も案外つらくないし、空気がきれいで気持ちいいし、なんかいいかもっていうところからはじまりました。

 私にとっての高尾の魅力には、自然の豊かさだけじゃくて、人とまちも含まれます。高尾で生活し働いている人たちに会うとことで、高尾のまちとしての輪郭が見えてきました。山などの自然と暮らしやすいまちが同居しているのが高尾。そのバランスのよさに惹かれてなのか、バランス感覚がよくて懐の深い人たちが集まっている感じがします。そんな高尾のまちが好きです。

 前よりは山への親近感が湧くようになってきました。でも最初はどうしたらいいかわからないんですよ。なにを揃えたらいいかわからないし、どこへ行くと楽しいのかもわからない。かといって整備されたキャンプ場に行っても欲しいものは得られないんだろうなと思いますが、整備されていないところは怖すぎる。初心者からすると山とかアウトドアってハードルがものすごく高いイメージ。そのハードルさえこえれば楽しいんだろうなっていうのはわかるんですけど、こえ方がわからない。こえた先の世界に触れたい気持ちはあるので、どれくらいが心地いいか知るためには、いちどは越えてみなきゃいけないのかも。高尾山はそういう意味では、アウトドアへ踏み出す一歩目のハードルを低くしてくれる、ありがたい山なんじゃないかと思います。


山寄り、少し都会の高尾で、自然、好きなこと、仕事、自分のちょうどいいを探るのはいかが? スエマツさんはこんな人を待っている。

スエマツ:ホテルを運営する人を募集しています。たとえば、ホテルのフロントが業務内容のひとつ。マニュアル通りにこなせるだけでは足りないけど、“私が思う接客のあり方” 的なものを突き詰められ過ぎてしまっても、ちがうと思います。もちろん情熱は大切ですが、みんなでつくり上げていくためにマニュアルも活用していくけど、そこに自分の色を楽しみながら混ぜていくような人に来て欲しい。そうじゃないとお互いつらくなってしまうのかなって思います。



 話を聞いて、アウトドアや自然を仕事にしている人といっても、関わり方は十人十色だと思った。タカオネとしては「自然に触れたい」とか「アウトドアへのあこがれ」があり、どこまでしたいかはその人次第。ましてや高尾山は都心から一時間程度で行ける場所。関わり方の幅はすごく広い。

 こんな感じで対談は終了。今回の取材で感じたのは、自然と自分の丁度いい距離がわかってくると人生楽しいんじゃないかということ。そして、高尾山はその距離を探りたいと思い立ったときに丁度いい場所。

 取材後、スエマツさん、カワズさん、私の三人で高尾山の裏山的トレイルへ。景色の半分が自然、もう半分が街並み、線路と里山など、自然物と人工物の境界線のようなところを走り、高尾ってどんなところと言われたら、その答えのようなトレイルだった。ほどよい自然への入り口という感じがする。

高尾の裏山トレイルから、高尾山口駅へ向かう京王線の横を走り、まちなかへ。
住宅街から一歩踏み入るだけで、こんなトレイルがゴロゴロしている。

 スエマツさんたちは「タカオのカタヲ」というウェブメディアで情報発信もしている。ネーミングには、登るだけじゃない、高尾山の新しい楽しみ方を(カタヲ)発掘して発信していこうという意味が込められている。サイトには「なぜ高尾山に行くのか?」その理由になり得る情報がたくさん詰まっている。

タカオのカタヲ

 さらに踏み込んで、おもしろそう、いっしょに働きたいと思ったら、まずは問い合わせをしてみてほしい。アウトドア派かインドア派か、職種も関係ない。なぜなら、自然界に生物多様性があるように、仕事場でも、いろんな人がいるから、ミラクルが起きるからだ。人生のひとときを高尾で過ごすのもありかもしれない。


タカオネ求人情報

募集職種:(1)ホテルフロントリーダー、(2)マルチスタッフ
雇用形態:(1)正社員もしくは契約社員(ともに6ヶ月の契約期間あり)、(2)パート・アルバイトまたは業務委託
勤務地:タカオネ
給与:(1)月給250,000円~(経験などに応じて考慮します)、(2)時給1,100円~(業務委託の場合は業務内容に応じて決定)
昇給・賞与:それぞれ年2回
福利厚生:保険・年金・交通費の支給(上限有)
※詳しくはホームページにて

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