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話題のグラベルバイクはじめました。バイクパッキング キャンプで夏の終わりのプチ冒険

2020.09.03 Thu

渡辺信吾

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

 グラベルバイクという自転車をご存知だろうか?
 アメリカ、ヨーロッパではかなり盛んなカテゴリーに成長していて、日本でも10年ぐらい前から話題になりはじめていたそうだが、ここ1、2年でかなり愛好者が増えつつあるカテゴリーだ。

「gravel(グラベル)」とは英語で「砂利」の意味。つまりグラベルバイクは「砂利道を走れる自転車」という意味で、ロードバイクとマウンテンバイクの中間のような自転車だ。「砂利を走るため」と言うよりは「砂利道にも強い」という意味合いなので、舗装路から林道までいろいろな道を走るバイクツーリングに向いているそうだ。クルマで例えるなら「SUV」といったところだろうか。

 外観的には、ドロップハンドルなのでロードバイクに似ているが、タイヤは太く、フロントフォークやフレームも太いタイヤが収まるようにクリアランスが確保されている。ブレーキは、雨や泥に強いディスクブレーキが主流。また、車体にバッグやカップホルダー、ツールホルダー、キャリアなどを取り付けられるようなダボ穴(アイレット)が各所にあり、一般的なロードバイクよりも車載拡張性が高いという特徴もある。それゆえに、単に林道を走るとかだけでなく、キャンプ泊を想定したバイクパッキングツーリングなどができるわけだ。

 バイクパッキングというと「日本一周チャリンコ旅」的なスタイルを想像しがちだが、バイクもバッグ類ももう少し洗練されたオシャレなものになっているし、ロングトレイルハイクやファストパッキングで成熟したUL系のギアを装備することで、軽量化の恩恵も受けられる。

 それに、昨今の状況を鑑みれば、自転車でのソロキャンプなんて、新しい生活様式にマッチしたアウトドア遊びじゃないか。移動も寝食もすべてひとりで賄い、食事もテントもシェアしない。しかも移動時のCO2排出も少ないサステイナブルな遊び方ともいえる。

 ということで、グラベルはじめました。

 私のバイクはFUJI BIKEのJARI 1.3。メーカーカタログには「アドベンチャーロード」とカテゴライズされており「グラベルロードよりも高い未舗装路での運動性能とプラットフォームの拡張性が要求されるカテゴリー」と表記されているが、JARIというネーミング自体が日本語の砂利から来ているし、広義のグラベルバイクと言っていいだろう。スペックの詳細は割愛するが、メインフレームはアルミ、ブレーキ・ギアのコンポーネントはSRAMのApex 1Xで、前1後11速。タイヤはPanaracerのGravelking SK, 700 x 38cという構成。完成車の重量は約10kgだ。

 これに、TOPEAKのフロントローダー(ハンドル前に固定するバッグ)、ミッドローダー(トップチューブ下に固定するバッグ)、サドルバッグ(サドルとシートポストで固定するバッグ)を装備した。合計でおよそ20Lぐらいの容量、重さは約1.1kg。

 私自身は自転車に対する造詣はそれほど深くはないが、キャンプに関してはもともとグループソロ(ソロ同士で集まるキャンプ)をメインに楽しんでいたので、ソロ用の装備はふんだんにあるし、しばらく使っていなかったULギアたちも出番を待っている。

 ということで、初めてのツーリングキャンプは、オトコ3人でソーシャルディスタンスをキープしつつソロキャンプしようということになった。友人宅までクルマで集まり、そこから目的地のキャンプ場までの17kmぐらいという“ゆるゆる”な設定だ。

 初めてのバイクパッキングなので今回はテント・寝袋・マットにはNordiskの超軽量シリーズを選択。テントがLofoten 1 ULW(約600g)、寝袋はOscar +10℃(約300g)、マットはVen2.5(約300g)で合計約1.2kgぐらいだ。スタッフバッグを省略すれば1kgを切れるが……とりあえず今回はそのまま袋付きで使用する。その他装備としては、バーナーはSOTOのウインドマスター、コッヘルはDUGのPOT M、テーブルはSOTOのフィールドホッパー、雨が降ったときのことも想定してPaaGoWORKSのニンジャタープも加えた。どうしても焚き火がしたかったのでSORA Titanium Gearのスーパーネイチャーストーブも追加。あとはレインジャケット、ファーストエイドキット、着替え、水筒、カトラリーなどなど。全部まとめて5kgぐらいになった。車体込みの総重量で約15~16kgといったところか。これでツーリングして、食材などはキャンプ地周辺で買い出しして、バックパックで背負って走る予定。個人的に食べるものは簡単なものでもいいが、氷とビールだけは外せないと思っているので、100円ショップで買ったアルミ保冷バッグを忍ばせている。

装備一覧:①レインジャケット Haglöfs L.I.M JK ②コッヘル+ガスバーナー:DUG POT M、SOTO WindMaster SOD-310 ③小物類(カトラリー、シェラカップ、ナイフ、ガストーチ、ヘッドライトなど) ④サングラス ⑤テントNordisk Lofoten 1 ULW ⑥寝袋NordiskOscar +1℃ ⑦マットNordisk Ven2.5 ⑧テーブルSOTOフィールドホッパーST-630 ⑨ファーストエイドキット ⑩歯ブラシ ⑪焚火台SORA Titanium Gear Super Naturestove#1 ⑫ペグ、ガイライン ⑬枕Qualzエアピロー ⑭水筒Platypusソフトボトル ⑮カメラDJI OSMO POCKET ⑯タープPaagoWorks Ninja Tarp ⑰サコッシュPOLeR 上記以外にSnow Peakライトタープポール150、Qualzライトスツール

 この日の天候は快晴、最高気温36℃予報。昼過ぎに出発したのでまさに炎天下のツーリングとなった。自転車系ナビアプリでルート検索条件を「裏道優先」に設定して走りはじめた。

 走り出しは交通量の少ない舗装路。陽炎揺らめくような熱風の中を走行。しかし程なくナビにしたがって脇道に入ると、緑濃い農道になった。するともう空気が違う! カラダをすり抜ける風が涼しくなった。次第にアスファルトの農道は砂利道に変わり、そのうち畦道になった。おそらく耕運機や軽トラがつけたであろう轍(わだち)は、細くて、路面も凹凸、草もぼうぼう生えているが、グラベルバイクだとなんの不安もない。それに眼前に広がる風景はなんだ! 市街地から10kmほどしか離れていないのに、トトロのオープニングのような夏の田園風景。
「チョー楽しー!」と友人が叫んでいる。

 ひとつ角を曲がったと思うと、林道に入った。ナビはルートを示しているが本当に道があるのか不安になる。見回すと、木の枝にピンクのリボンがある。林業の人のための目印と思われるので、それを目指して獣道のような道を進んだ。いくつかクモの巣にも突っ込んだが「ごめんね」といいながら進む。そのうちはっきりとわかる並木道になり、背の高い杉林の間を抜ける下り坂となった。ひんやりとした空気を突っ切って下るとまるで冷風機の風を浴びているようだ。

 途中、交通量の多い国道を横断したが、ほとんどがクルマとすれ違ったりしないルートだった。こんなルートが走れるとは、期待以上だった。

 出発から約2時間でキャンプ場に到着して、明るいうちにテントを設営。林間のフリーサイトにそれぞれ十分なディスタンスを確保して張る。

 それから近くのスーパーに食材や飲み物を買い出しに行った。今回のテーマは個食個泊。食べ物や飲み物はシェアしないルールだ。思い思いに食材を買って調理する。料理のお裾分けもしないし、飲み物も別々、もちろん焚き火も個々にやる。平日ということもあって人も少なく、ある程度離れていても話ができるほど静か。おのおの火をいじりながら酒も進み、夜も更けていった。

 翌日。ナビが示した復路は、往路よりも走りやすい舗装路の農道がメインだった。昨日の往路をまた走れると期待していたのに、あれは幻の道だったのか? なんて妄想するのもまた一興。

 どこか少年時代の夏休みの思い出と重なる小さな冒険。
 達成感、高揚感、そして甘酸っぱい感傷。
 グラベルバイクで童心に帰った、夏の終わりに。

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