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【BMFF レビュー】「ハイウェイ・ワイルディング(Highway Wilding)」

(2013.08.25)

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野生動物と人間とが共存する未来のために。手探りではじまった「野生動物横断路」という解決策を考える。

 いよいよ9月7日から、2013年の「バンフ・マウンテン・フィルムフェスティバル(BMFF)」のジャパンツアーが始まる。(詳しくはこちらへ

 今年日本にやってくる作品は全部で12作品。Akimamaではそのうち6作品をプレス向け試写会でチェックすることができた。そこで、2013年注目の作品を少しずつご紹介しよう。

■「ハイウェイ・ワイルディング(Highway Wilding)」(カナダ 13分)

【あらすじ】
 雄大なカナディアンロッキー。バンフ国立公園など神々しいまでに美しい自然をそのまま残した中に、一本のハイウェイが走っている。そこでは毎年、100頭以上ものヘラジカが交通事故に遭っている。
 野生動物たちを巻き込んだ交通事故は絶えない。このままでは、いずれ運転している人にも死者が出るだろう。そこで、新たな道が探られることになった。ハイウェイの利便性も守りながら、野生動物たちがハイウェイ建設以前と同じように大地を歩き回る。そのためには何が必要なのか。
 人のエゴだけではなく、自然の賛美だけでもない。現実的な共存を形にしようとする人たちの活動と、人ができることの可能性を綴った問題提議作品。

■ハイウェイ・ワイルディング 予告
Highway Wilding Trailer

 

【見どころ】
 動物たちと共存のため、ある方法が考えられた。ハイウェイに動物用の横断道を造ろうというのだ。だけど僕らは心配になるよね。動物たちは、きちんとそこを通ってくれるんだろうか?って。だけどその考え方が間違ってたみたいだ。動物たちがそこを通るんじゃない、動物たちが通るところに横断道を造ればいい。
 そのために必要なのは、野生動物たちの詳細な移動経路だ。じゃあどんな動物を、どうやって調査するのがいいのか。さまざまな考察から導き出されたのはクズリだった。まずは科学者やレンジャーたちが協力して、クズリの移動調査が始まる。
 もちろんGPSなんかも使われるけど、驚いたのはDNA解析まで採り入れてたってコト。なんと罠を仕掛けて残された体毛を採取。一本ずつDNA分析して個体を特定。そのデータをひたすら積み重ねていく。こうして気の遠くなるような基礎データを集めた結果、野生動物たちのかわいらしくも逞しい生活が見えてくるよ。シーズンを通じて、どの山を伝って、どの谷をどう移動しているのか。その広さが分かった時、新しい事実に愕然とする。範囲、広すぎ……。
 それでもみんな、あきらめない。科学、産業、政治。あらゆるチャンネルを使って、野生動物との共存を呼びかける。
 積み重ねてきたデータから導かれる、人と動物の未来像。それが実現されるかどうかは、いったい誰の手にゆだねられているのか。
 たった13分の作品の中に込められていたのは、野生動物を隣人としてとらえようとする姿勢。その謙虚でまっすぐな姿勢には、背筋が伸びる思いだったよ。

 

「バンフ・マウンテン・フィルムフェスティバル・イン・ジャパン・2013」
チケットの入手方法や各作品の上映スケジュールなど、詳しくはこちらへ
Banff Mountain Film Festival in Japan 2012公式ウェブサイト

 

これだけでもやばい!
「バンフ・マウンテン・フィルムフェスティバル・トレイラー」もチェックしてみて!
Banff Mountain Film Festival World Tour 2013 - Official Trailer

 
 
ライター
林 拓郎

スノーボード、スキー、アウトドアの雑誌を中心に活動するフリーライター&フォトグラファー。滑ることが好きすぎて、2014年には北海道に移住。旭岳の麓で爽やかな夏と、深いパウダーの冬を堪能中。

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