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男のロケ地探索隊が行く。極寒の謎の町、オポチョッカを探せ。

(2014.10.07)

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「北海篇」に登場するオポチョッカの町。ここで橘は仲間を裏切った悪党親分に落とし前をつけ、途中で拾った心中未遂女と別れる。物語はこの後、クライマックスのアクションシーンへ。通りに対して斜めに建つ倉庫がポイント。

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最初に目星を付けた道東・美幌駅周辺の倉庫街。網走から自転車で約2時間。写真にはないが手前の踏切の感じも含めて、いろいろなことが少しずつ違う。「え〜? ココじゃなきゃどこだよ」ってな気分。

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謎の町・オポチョッカは道北・士別の倉庫街だった。周辺の市街地はすっかり様子が変わっていたが、この通りだけは50年前の映画の風景と全く同じ。よくぞ残っていた、と感激した。場所はJR宗谷本線士別駅から南に200mほど。 

 北海道を舞台とした数々の映画のなかで、シリーズ物の代表と言えば「網走番外地」だろう。1965年の第1作から始まり、「続〜」「新〜」と計18作が制作された東映の大ヒットシリーズである。主役は我らが健さん演じる橘真一(「新〜」以降は役名、末広勝治)、さらに嵐寛寿郎や山本麟一、安藤昇といった個性派俳優が多数出演し、独特の男の世界を築いている。男のロケ地探索隊、通称「男ロ隊(だんろたい)」にとって、この番外地シリーズは永遠不滅のテーマのひとつだ。

 さて、このシリーズ、脱走や殴り込みといったデリケートな展開が多いためか、実在の町と架空の町が混在して登場する。今回、取り上げるシリーズ第4弾「網走番外地 北海篇」(1965)もまたしかり。デビュー間もない大原麗子がなんとも初々しくチャーミングなロードムービー仕立てのこの作品で、橘が運転する訳ありトラックは謎の町「オポチョッカ」を目指す。この町を探してみたいと思う。

 画面を数十回にわたって舐め回した結果、手がかりとなりそうなのは、
1.周囲を低い山々に囲まれた明るい盆地のような地形。
2.割と大きそうな鉄道操車場と、その近くの軟石やレンガの倉庫群。
3.同じく線路沿いに黒い煙を吐き出す何かの工場——といった要素だ。

 で、最初に推測したのは、網走やその周辺。当初は制作費が限られていたというシリーズだけに、メインロケ地の網走近くでサクッと撮ったのではないか。実際、網走湖や能取湖と思われる風景のなかで殴り合ったり、トラックから悪党がタンチョウの群れにピストルを撃ったり(どひゃ〜)と、道東でのロケ率は高い。

 道東で上記の条件を満たしそうな場所となると、網走の隣の美幌だ。駅近くに古い農業倉庫があるし、線路を挟んで大きな製糖工場もある。ほぼ確信し、道東自転車旅の途中に寄ってみたのだが——う〜む、微妙に違うのである。倉庫の向きや踏切の位置、通りの抜け具合などなど……。

 帰宅して再度DVDを何度も視た。すると、シリーズ第7弾「大雪原の対決」および第8弾「決闘零下30度」で、クレジットに「協力=士別市」の文字を発見。士別は網走から遠く離れた道北の町だが、協力体制によっては同じ場所で何度も撮影した可能性がある。さっそくGoogleの空撮で駅周辺をつぶさにチェックすると(答えがわかってしまうストリートビューは見ないのがこだわりだ)、それっぽい倉庫街や製糖工場が浮かび上がってきた。

 夏のある朝、その光景を確認するために、札幌の自宅から自転車に乗って出発した。士別までは国道275号経由で200km前後。田園地帯に日本一のそば畑、さらに深い森をひたすら走ること十数時間。日も傾き始めたころ、ついに謎の町「オポチョッカ」を発見した。そこは、北海道ではしばしば見かける駅前の古い農業倉庫街だったが、約半世紀も前にここに健さんや大原麗子が立ったと思うと、長旅の疲れもどこへやら、感無量の境地なのであった。

(文・写真=長谷川哲)

 
 
ライター
Akimama編集部
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