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この夏、山でバテた人におすすめの一冊

(2014.11.26)

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『山に登る前に読む本』能勢 博 著、講談社、2014年8月発刊、新書判、192ページ、800円+税。医学用語や専門用語も出てくるが、一般読者にもわかりやすく書かれている。登山の生理学やトレーニング法のほか、富士登山についてのノウハウも紹介

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能書きばかり垂れていてもダメと、さっそく紹介されていたインターバル速歩トレーニングを始めてみた。より負荷をかけるためにノルディックウォーキングにしてみたが、これがなかなかキツく、きちんと続ければ確かに効きそうであります(でも、もうじき雪になっちゃうんだよな……)

 灼熱の稜線でひぃひぃ喘いでいたのが懐かしい季節になりました。その記憶が生々しいうちに、そして来シーズンまでたっぷりと時間があるこの時期におすすめの本を紹介しましょう。

 タイトルは『山に登る前に読む本』といいます。著者は信州大学大学院スポーツ医科学講座教授の能勢博さん。京都府立医大時代には山岳部に所属し、信大山岳科学総合研究所や常念小屋の診療所長などの経歴ももちます。本の内容は、表紙の謳い文句にもある通り、運動生理学からみた科学的な登山のノウハウ本。ひらたく言えば、いかにバテず、快適で安全に山を登るかについて書かれています。

 具体的には、登山に必要な体力として持久力(=最大酸素摂取量)と筋力をあげ、歩き方や気象、燃料(=食料や水分)などの条件の違いがそれらにどう影響するかを検証。「なぜバテるか」をわかりやすく解説しています。さらに、自分の体力レベルの判断方法やそれをもとにした登山計画の立て方、荷物の大きさ、歩くペースなどについてアドバイスも。

 こうしたノウハウ書は登山に限らず、各種スポーツや健康関連全般に数多くありますが、この本のポイントはその説得力にあります。研究室はもちろん、実際の登山で老若男女さまざまな被験者を使って実験を行ない、そこから得られた数値を示しながら傾向や対策を説いていきます。もちろん、個人差やその時の体調による違いはあるでしょうが、そういった要素も含めてこれまで漠然と感じていたバテを、「あぁ、そういうことだったのか……」と理解・納得させられるのです。

 さらに後半では登山に役立つトレーニング法として「インターバル速歩」なるものを紹介。具体的な方法は本書を読んでいただくとして、その呼称から想像できる通りの簡単で取り組みやすいトレーニング法です。その成果についてもきっちりと数値で示されています。

 読み終わると同時に、なんだかバテない自分の姿が目に浮かんでくる。いや、実践しないとダメですけどね。ちなみに先のインターバル速歩の成果が表われるのは5ヶ月先だとか。だからこそ、「山に登る前」でなく、今、読むのがおすすめです。

長谷川 哲
山登り、自転車旅などを得意とする北海道在住のフリーライター。著書に『北海道16の自転車の旅』(北海道新聞社)。また『北海道夏山ガイド』(同)の取材スタッフとして道内の山を歩く。
 
 
ライター
Akimama編集部
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