• カルチャー

赤鬼ニコルの大きな背中が語る、私たちに遺してくれたメッセージ

2021.05.06 Thu

 昨年4月3日、79歳で亡くなったC.W.ニコルさんの遺作ともいえる『PLACE OF WONDER アファンの木のアンソロジー 黒姫の赤鬼の木憶』が、一般財団法人C.W.ニコル アファンの森財団より、ニコルさんの1周忌にあたる命日にあわせて刊行されました。

 ニコルさんは、長野県の黒姫に暮らし、作家として数多くの著作を残すとともに、環境活動家として、日本の森と私たちの未来のために、その人生をかけて、私たちが大切にしなければならないことを、身をもってたくさん教えてくれました。

アファンの森にあるマザーツリーの傍にあるメモリアルストーンにニコルさんは眠っている。

 日本の自然文化を心から愛し「日本の美しい自然環境を取り戻したい」という思いで、1986年に黒姫の荒れ果てた森を自費で購入し、森の再生をはじめました。それから30年以上が経ち、アファンの森と名付けられたこの森は、今では生命の輝きにあふれる豊かな森になりました。

アファンとはケルト語で「風の通る谷間」という意味がある。

 このエッセイ集は、アファンの森の構成員でもある木々たちを分け隔てなく、愛情深いまなざしで、それぞれの樹種ごとに紹介した木にまつわるアンソロジーです。アファンの森に生育する木42種をはじめ、人生のかたわらで影響を受けた木3種、合計45種の木々の思い出を綴った木の記憶。子どものころの記憶から、苦い思い出や甘い思い出、そして、おいしいかった思い出など、赤鬼というニックネームが大のお気に入りで、自らも「黒姫の赤鬼」と名乗っていたお酒好きのニコルさんらしいエピソードも盛りだくさん。図鑑とは違った、まさに「木憶」に残る1冊となっています。和文だけでなく、英文原文も併記され、国境を越えて多くの人に読んでもらえるエッセイ集です。

 本書は出版社や大手取次各社を通さず、アファンの森財団が発売、発行元になることで、本書の売り上げのすべてが、ニコルさんが守り愛したアファンの森の保全活動に使われます。

 私たちは、そんなニコルさんが残してくれた貴重なタネを大切に育てていかなければなりません。黒姫の赤鬼は、アファンの森になりました。ニコルさんの大きな背中が物語る勇気ある行動や言葉は、これからも私たちの心の支えになってくれるはずです。

PLACE OF WONDER『アファンの木のアンソロジー 黒姫の赤鬼の木憶』

著者:C.W.ニコル
編者:オカムラACORN編集部
発行:一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団
発行日/価格:2021年4月3日/1100円(税込)
仕様:A5版(天地210mm×左右148mm)/208ページ(オールカラー)

イラストレーション:下田昌克
装丁/ブックデザイン:善養寺ススム

*各樹種の精緻な挿絵は、絵本やアートワークを数多く手がける画家の下田昌克さん。ブックデザインは、長良川河口堰の反対運動などをともにした善養寺ススムさん。生前から親交のあった編集制作陣のニコルさんへの思いを1冊の本にまとめたアンソロジーです。

●問い合わせ先:
一般財団法人 C.Wニコル・アファンの森財団
〒389‐1316 長野県上水内郡信濃町大井2742‐2041
TEL:026‐254‐8081   FAX:026‐254‐8082
メールアドレス:info@afan.or.jp
財団オフィシャルホームページ https://afan.or.jp/
*本書の趣旨に賛同していただける方には買取や委託販売も承ります。詳細や条件などについては財団ホームページからお問い合わせください。

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