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山の仕事人、縦走パックを背負う。「ドイター/エアコンタクト65+10」その2

(2015.10.22)

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ひと一倍大きな荷物を背負い、
岩稜を駆け回るアウトドア・カメラマン。
一般登山者よりも圧倒的に運動量の多い彼らは
縦走用のパックには何を求めるのか?
紅葉の唐松岳で亀田正人さんに聞きました。

アウトドア・カメラマンの岩稜の歩き方

 唐松岳撮影行の2日目は、明けるのを待たなくてもそれと知れる秋晴れ。まだ暗いうちにテン場を抜け出し、歩いて15分ほどの唐松岳の頂上を目指す。頂上に着いてほどなくすると、雲海の向こうから太陽が顔を出した。
 足元には雲に埋まった白馬村。その先には雨飾山や妙高山を擁する頚城山塊。青から紫、赤、橙と刻々と移り変わる光に、山頂に集った登山者たちは興奮気味。

「仕事で何度山にあがっても、日の出は感動的ですね。飽きることはないです」と亀田さん

曙光の唐松岳山頂。亀田正人撮影

 テン場に戻って朝食をとったあとも、カメラを片手に光が射していく山肌を見つめる亀田さん。「出発するには、ちょっともったいないから、今日はゆっくり支度しましょう」。

 朝までは五竜岳を踏んで白馬村に降りるはずだったものの、悪天候で撮りもらした八方尾根の写真を撮るため、来た道を下山することに。「せっかく来たから」と唐松岳頂上付近の散策を楽しむ。足を伸ばしたのは、五竜岳方面にある難所「牛首」。

「おお、高度感がありますね」と言いながら、狭い岩場をスタスタ歩いていく亀田さん。

 足もすくむような鎖場を、どうして、亀田さんは軽やかに歩けるのでしょうか。 「もちろん慣れもありますが……」と、言いながら解説してくれたのは、バックパックの「バランス」について。

「バックパックの荷重は、主に腰と肩で支えるもの。とくに腰が担う分が大きいですから、ヒップベルトには荷重を支えられる剛性がなくてはいけません。また、パックのフレームと布地にも剛性が必要です。重量をきちんとヒップベルトに乗せられるものでないと、ヒップベルトが丈夫でもだめなんです」

そう言いながら、ひょいとパックを持ち上げて見せた亀田さん。ヒップベルトを持って、直立するようなバランスが好みだという。「人体の身幅に近いことも重要。へんに出っ張っていたり、重心が高すぎると岩にひっかけたりする」

「しかし、パックは剛性が高いだけでもいけない。体の動きに追従してくれないと、背中に板を入れたような感じになってしまう。また、腰でしっかり背負えるものでも、適度な柔軟性がないと歩くたびにパックの上部がフラフラと揺れ動く。こんなパックは歩きにくいだけでなく、危険でもあります。パックは腰で背負えること、適度に柔軟で動きに追従することが重要です」

 もうひとつ大切なのが、「歩きに専念できること」だと亀田さん。

「高価だったり、生地が薄いパックだと岩にこするようなシーンでどうしてもパックに意識が向いてしまいます。その分、自分の安全確保がおろそかになってしまう。だから私は、自分の山行で起き得る摩擦や衝撃に耐えられる強度があるパックを選んでいます。ある程度ラフに扱える、というのは大切な機能です」

ときに手や尻をつけながら歩く鎖場。安全確保にだけ意識を振り分けられるのはうれしい

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ライター
Akimama編集部
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