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ダウンよりもダウンらしいミレーのインシュレーションジャケット。これは買い!

(2016.10.05)

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 ダウンの恋しい季節になりました。

 日に日に寒さが増していくこの時期になると、なぜだかモコモコであたたかなダウンが欲しくなってしまう。そして、ダウンを探してweb世界へ行ってみたり、山専ショップに足を運んでみたりして、オッと思って手に取ったのがコレ。

トイ リバーシブル フーディという名のミレーのモコモコジャケット、今年の新作です

 ミレーのトイ リバーシブル フーディ。と、すでにこの商品を見知っている人には、それはダウンじゃないでしょ!! なんて、ツッ込まれてしまいそうですが……。見た目はダウンそのものなのですが、じつはこれ、天然のダウン素材ではなく、化繊素材の中綿を使ったインシュレーションのジャケットです。
 
 インシュレーションであれば、寒さを凌いであたたかく過ごすにはモッテコイ。しかもダウンとちがって、濡れてしまっても保温力が落ちないという利点もあるし。ま、最近は撥水ダウンなんてものもありますが、「ダウンが欲しい」という気持ちを満たすには、インシュレーションでも十二分にその役割を果たすものです。そうか、こんな選択肢もあったのだ、という感覚で。

 ところでインシュレーションってなんだ? と、思ってしまった人のために、ちょこっと言葉の寄り道を。インシュレーションという言葉は英語の“insulation”で、「絶縁」とか「遮断」を意味するもの。登山・アウトドア的な観点から言えば、寒さから身体を守り、あたたかく守ってくれる意であり、ウェアのひとつのジャンルとしても「インシュレーションジャケット」として確立されています。そういった意味では、本来的にはダウンジャケットもその範疇には入るのですが、アウトドアの世界ではダウンとの棲みわけの意味もあり、インシュレーションジャケットといえば、「化繊の中綿」を使ったあったかウェア群を指すことが多いのです。

 さて、トイ リバーシブル フーディです。これが、なかなかのスグレモノでして。
 
 どんなウェアなのかを丸っと表現してみれば、「リバーシブル仕様の中厚手インシュレーション・フーディモデル」といったところでしょう。

3DeFX+がこのインシュレーションの大きなポイントに。さて、いったいどんな素材なんだ!?

 中綿は、東レが開発した“3DeFX+”という素材。ポリエステル100%の化繊綿で、“3D”の名称に象徴されているように、立体形成された構造が特徴のひとつ。もののデータによれば、1.5〜6.0デニールの極細糸を、縮れていたり、激しく絡み合ったりと性格のちがう糸を複雑に組み合わせることで反発力を高め、嵩高をキープできる仕組みになっています。

 つまりは、中綿素材がタフにできているので、ギュギュッと小さく丸めてもロフトのツブレが少なく、すぐに元通りに回復してくれるのです。むずかしい言葉を使えば、圧縮回復弾性が高いということになります。

 この3DeFX+の内封量をウェアの各部で調整し、フィールドでの実用性をかなり高めに設定しています。寒さを感じやすい体幹部をカバーする身頃には90gと多めに封入。また、動きやすさを考え、脇下、袖、フードはそれぞれ60gとしています。こちら、軽量化の意味合いもあるみたい。

やはり、ヨーロッパの老舗ブランドだけに、テクニカルは得意。ジッパーサイドもパイピング風に仕上がっていて、仕事が細かいです
 これらの微妙な中綿量のちがいは、テクニカルなウェアを多く出すミレーならではの技のひとつ。じつのところ、このトイ リバーシブル フーディは、雪山登山のようなハードなアクティビティ向けではなく、むしろ、もう少し標高を下げた低山ハイクや冬のキャンプ、野外フェスなどにピッタリのモデルなのですが、ここら辺のさじ加減をしっかりとカバーしているところが、老舗ウェアブランドのいいところです。

 さてさて、トイ リバーシブル フーディの実力はこれだけでは終わりません。3DeFX+の嵩高が高いのは前出の通りですが、嵩高がキープできるということはその繊維間にデッドエアをたくさん貯めこむことができるので、より効率的にあたたかさを保持できるようになります。また、ダウンによくありがちな繊維抜けがほとんどなく(繊維同士が複雑に絡み合っているのだから、当たり前!)、シェルの素材の選択肢の幅が従来のものよりも大きく広がることに。

 繊維抜けがないということは、密度の高い生地を使う必要がないので、なんと、通気性の高い生地を選ぶことが可能となります。その結果、インシュレーションなのに通気性が高いという異色の機能が同居することとなりました。もちろん、デッドエアすべてを通気させるわけではなく、ちょうどよい具合をキープしたまま、蒸れを抑えることに成功しています。

 さらにさらにさらに……シェルの選択肢が広くなったことで、通気性を保ちつつ、ストレッチ性も併せ持たせるという離れ業をも持つことに。インシュレーション・ジャケットなのに、4wayストレッチ。これはまさに、ストレスフリーなウェアですよね。

生地自体のストレッチ性が高いので、肘を突っ張っても引きつりが少ない
 あたたかく、軽く、動きやすい。しかも、ロフトはへたらない。こんなインシュレーション・ジャケットを出してしまったら、ダウンが売れなくなっちゃうのでは……と、いらぬ心配をしつつも、なんだかとても得した気分です。

前身頃のジッパーは下からもオープンできるダブルジッパー。衣服内の温度調整も楽にできる

シェルの素材は、もちろん撥水加工済み。3DeFX+は濡れてしまっても機能が損なわれることはあまりないけれど、それでもしっかりと表地の撥水加工も施している
 あ、忘れていましたが、これ、リバーシブルタイプなので、一着で二度おいしいというスペシャルなおまけ付き。おまけと言えば、値段もダウンよりかなりお安いですよ(小声)。

ホントに二度おいしいジャケットです。上のカラーはEstate Blue/Bright Orange、下がElectric Blue/Opal Grey。このほかにも表地と裏地のカラーが何パターンかあるので、購入前のチェックをオススメします!!
 今年は、脱ダウンかなー。
   
 
 
ミレー/トイ リバーシブル フィーディ
29,000円 +税

素材:(シェル)20Dストレッチリップストップ ナイロン100% 耐久撥水、(中綿)3DeFX+® ポリエステル100%
サイズ:XS,S,M,L,XL
重さ:410g
カラー:Estate Blue/Bright Orange、Rouge/Noir、Noir/Electric Blue、Electric Blue/Opal Grey
取り扱い:ラフマ・ミレー

 
 
ライター
tetsu

山岳•アウトドア関連の出版社勤務を経て、フリーランスの編集者に。著書に『テントで山に登ってみよう』『ヤマケイ入門&ガイド テント山行』(ともに山と溪谷社)がある。

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