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質実剛健、実用本位。ハスクバーナの「手斧」がいいぞ。色っぽくて、しかも安い!
2016.11.25 Fri
藤原祥弘 アウトドアライター、編集者
鋼を使った刃物は日本のものを愛用していますが、使ってみて海外のもののほうがいいなぁ、と感じるのは斧。
枝払いに使う手斧に始まって、丸太を割る大型のものまで、振りやすさと割り裂く力では海外勢に軍配があがります。
なかでもグレンスフォシュ ブルーク、フルターフォッシュ、ウェッタリングスなど、斧の名門がひしめいてるのがスウェーデン。お国自慢のスウェーデン鋼を使った斧は、実用性と色気を兼ね備えています。
そんなスウェーデンの手斧から、焚き火端で使えそうなものを探していて見つけたのがハスクバーナの手斧でした。
他のメーカーの同じクラスのものが 13,000円程度なのに対し、ハスクバーナの手斧のお値段は、たったの¥4,530+税。
安い!
刃の身は内側に削がれたような形をしている。この形は割裂よりも繊維の切断に向いた形状。
本来、この手斧は倒した木の枝払いなどに使われるもの。日本での鉈のような使い方をされる斧です。薪の割裂用ではありません。
それなら割裂に向いた手斧を買えばいいじゃん、という声が聞こえてきそうですが、ハスクバーナにはこの手斧より軽くて高いものか、だいぶ大きくて高いものしかありませんでした。
頭にほどほど重量があって刃が薄ければ、薪づくりだけでなく木材のちょっとした加工にも使うことができます。手斧を持っていくのなら鉈は置いていくので、薪作り以外の雑作業もこなせたほうがいいかもしれません。
というわけで手に入れたのがこの手斧。紹介にあたって、正式な名前や詳細を調べてみましたが、メーカーサイトでのモデル名もそのものズバリ「手斧」。
さすが林業機具メーカー。他のメーカーが小洒落たモデル名をひねり出しているなか実用一点張りのネーミングです。「わかればいいだろ」といった姿勢に好感が持てます。
商品説明もこれまた男らしい。「38㎝。スウェーデン鋼を刃に使用。柄の部分は、ヒッコリー製。専用皮ケース付き。」以上です。
「語ればいろいろあるけどさ、できたもの見てくれりゃいいよ」そういう感じです。
刃先を見てみれば砥石の目が残るザリっとした仕上げ。
「どうせすぐに研ぐんだろ? ざっくりとは、刃をつけといてやったからな」
もう、目の前には毛むくじゃらの腕をした無骨なスウェディッシュが浮かんでいます。彼の言うとおり、自分で研ぎ直しました。
研ぎ直し前。
シュピーン。研ぎ減らさない程度に刃つけ。
刃がしっかりついたところでいよいよデビュー。直径10㎝程度のコナラと25㎝程度のサクラを試し割りしてみます。
手に持ってみると、鉈に比べて重心は前より。振ってみれば遠心力が気持ち良くヘッドに乗る感じです。コナラを割れば、刃が薄いぶんサクッと材に食い込みました。
割裂向けではないとはいえ、このクラスの薪から小割りをつくるのにちょうどいい重さと大きさです。それではサクラはどうでしょうか。
「・・・」。
中心を叩いてもビクともせず。それでは端っこからハツれないかと、端も叩いてみましたがやはりビクともせず。このクラスはやはり大型の斧か、無骨なスウェディッシュにまかせたほうが良さそうです。
ハスクバーナの手斧はキャンプにちょうどいいサイズと重さ。日本の鉈や斧と比べても、値段はだいぶお手ごろです。手斧デビューを考えている方(なんてそんなにいないだろうけど)におすすめです!
ハスクバーナ/手斧
価格:4,530円
全長:37.5㎝
重量:0.6㎏