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海辺系フィールドワーカーにおすすめ!「モーラナイフ748MG」

(2018.04.06)

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 毎春仲間と楽しんでいるのが、南の島の無人地帯での徒歩行。1週間ぶんの装備と食料を担ぎ、魚を釣りながら磯辺をうろつく。

 なかなかいけない場所だから、遊び道具はできるだけたくさん持っていきたい。そのぶん、個々の道具は少しでも軽くしたい。そのため、出かける前には持ち込む道具の候補を並べて思い悩むことになる。

 この旅に持ち出す道具の条件は、軽量で丈夫で汎用性があること。ナイフを例にとると、キャンプ地での雑作業から調理まで1本でこなしたい。ときに鉈、ときに鎌、細かい工作もできて、ストレスなく調理もできるナイフ……。もちろん、潮に強いことは絶対の条件だ。

 以前は普段から雑作業に使っているモーラナイフのコンパニオンを持ち込んでいた。標準的なドロップポイント型のこのナイフは、緩やかなカーブとほどほどの長さのストレート部分をもち、どんな作業でも無理なくこなせる。

 しかし、50cmを超える魚を食材にするには、コンパニオンには荷が勝ちすぎていた。大型の魚をさばき、サクにとり、刺身にするにはある程度の刃渡りが必要だ。

 数年の試行錯誤の末、現在愛用しているのがモーラナイフの748MG。刃の厚みは2.5mm、刃渡りは148mm。ドロップポイント型のナイフのストレート部分をぐいっと伸ばした形状のナイフである。

 これだけの刃渡りがあると、大型魚も無理なく開ける。刃の短いナイフよりも少ないストローク数で身を開けるので、切り身の断面がささくれない。サクから刺身にとるときも、1回のストロークで薄くそぎ切りにすることができる。くわえて、ストレート部分が長いから魚以外の食材の調理もしやすい。

 モーラナイフには748MGと刃渡りが変わらない魚の解体用のナイフもあるが、そちらの刃の厚みは2mm。これだと調理にはいいが、暴れる大型魚を〆たり、調理以外の作業に使うには心許ない。「海辺での全ての作業をこなすナイフ」という条件では、今のところ748MGをいちばん気に入っている。

 748MGのブレードはステンレス製。調理に使ったあとは、砂に突き刺して峰側を先行させて滑らせ、汚れを落としてから収納している。海水が残った場所に薄く錆が浮くこともあるが、使う直前に砂でこすればすぐにとれるのでとくに気にはしていない。

 ステンレス鋼で価格も安いからラフに扱えるが、ひとつだけ不満をいえば、ちょっと鋼が柔らかい。2日も使っていると刃が鈍ってくるので、切れ味が落ちたら釣り鉤用のシャープナーで研ぎ直している。長期の行動に持ち出すなら、シャープナーもあったほうがいい。

 以前、携行できるシャープナーのレビュー(「ダイヤ?サファイヤ?それとも石!?軽量シャープナーの決定版はどれだ」)を書いたことがあったが、いろいろ試した結果、オーナーのシャープナーに落ち着いた。ほかのシャープナーより砥粒が細かいので、より鋭い刃が付けられる。

 刃の形も購入時はフラットグラインド(断面が鋭角なV型)だったが、細かな刃こぼれが起きやすかったので、研ぎなおすたびに矯正してコンベックス(いわゆるハマグリ刃)にした。野外での作業内容にもよるが、モーラの低価格モデルはコンベックスにしたほうが使いやすい(※個人の感想です!)。

 シャープナーとともに、シースにつけているのはファイヤースターター。タバコを吸わない私はライターを持ち歩く習慣がないので、いざ火をつけるという段でライターが見つからないことがある。そのため、よく使うナイフにはバックアップとしてぶら下げている。しかし、海水を頻繁にかぶる状況ではロッドの腐食が早い。気になる人にはおすすめはしない。

 余談だが、私はファイヤースターターで着火して喜ぶ最近の風潮に疑問をもっている。「自分で作り出せないものを都市から持ち込んで着火する」という点で、マグネシウムでの着火は100円ライターを使うのとなんら変わりがないからだ。濡らさずにライターを管理できるなら、ライターのほうが着火も早いしスマートだ。

 ファイヤースターターの有利な点は「濡れても服の裾で拭って乾かせば、すぐに火花を飛ばすことができること」と「数千回単位で火花を飛ばせること」くらいしかない。ファイヤースターでの着火とはその程度のものだ。ありがたがるほどのものじゃない。

 それでも、「サバイバルっぽいことを楽しみたいのだ」という人には、摩擦式発火をおすすめしたい。ナイフ1本での火起こし(熟練すればナイフさえいらない)には、野外活動のヒントがたくさん詰まっている。摩擦式発火には、身につけた人の野外活動のスタイルを根本から変えるほどの力がある。

 話をナイフに戻そう。

 意外なところで重宝しているのがシースだ。底部に絶妙な大きさなの水抜き穴があり、そのために火吹き竹の代わりに使えるのだ。この機能(?)は多くのモーラに共通するが、748MGはベルトループが革製なのでシースをくわえやすい。コンパニオンなどではベルトループがシースと一体なので横ぐわえにしなくてはいけない。

 748MGのシースのベルトは最初リベットで留められていたが、あっという間に腐食したのでステンレスのボルトとナットで留めている。合わせて、本体のハンドルの末端に穴を開けてスパイラルコードでシースと繋げた。こうしておくと海中で使っても無くさず、砂浜でどちらかだけが砂に埋もれるということもない。

 先日、シーカヤックのガイドでイノシシ猟もする友人がこのナイフを見て「猟にも良さそうだ」と言っていた。罠で獲ったイノシシの留め刺しに使える長さなのだという。自分は最近こんなナイフを使っている、とその友人が出してきたナイフは748MGとほとんど同寸だった(ポイントはより尖っていた)。「海辺で使いやすい1本」を追求すると、このあたりの形に落ち着くようだ。

 748MGは刃渡りの割に低価格なもの魅力のひとつ。ナイフは遠慮なく使えてこそ性能が発揮できるもの。道具としてナイフを酷使する水辺のフィールドワーカーにこそおすすめしたいモデルだ。

モーラナイフ748MG
¥3,100+税
刃長:約148mm
全長:約275mm
刃厚:約2.5mm
重量:120g(ナイフのみ)

 
 
ライター
藤原祥弘

採集系野外活動を中心に執筆とワークショップを展開。著書に『海遊び入門』(小学館・共著)ほか。好きな獲物はカンパチとノコギリガザミ。twitterアカウントは@_fomalhaut

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