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【渡辺信吾のALL TIME BEST】もはや偏愛。お前なしではBBQはできない。チャコスタ

2019.12.16 Mon

渡辺信吾

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

海、山、川、原野……。
それぞれのフィールドを遊ぶ達人たちに
長年連れ添った相棒を聞く新連載【ALL TIME BEST】
第七弾は、キャンプ、フェス、スノーボードを愛する野良ライター
渡辺信吾のお気に入りです!


「ALL TIME BESTを紹介してください」というオファーをもらったとき、いくつかの商品が思い浮かんだ。しかしふと立ち止まって考えた。「そこに愛はあるんか?」と。単に長く使っているだけでなく、自分のアウトドアスタイルに影響を与え、しかも使うたびに愛を感じる商品。もちろんどんなギアも愛情を持って使っているが、愛を通り越して偏愛しているのは、これしかない!

 BBQやキャンプでは炭火をおこす機会は少なくない。真夏のBBQ、女の子の前でかっこいいところを見せようと、必死にうちわを扇いで炭火をおこそうとしている汗だくのメンズをよく見かける。かく云う私もそのひとりだった。しかし十数年前のある日、私は出逢ってしまったのだ、ユニフレームのチャコスタに。以来、私の炭火おこしは飛躍的にスマートになり、BBQの時には「まだうちわとかガスバーナーとか使ってんの? ご苦労さま」とドヤ顔するようになったのである。

 チャコスタは、いわゆる炭火おこし器。チャコール(炭)スターター(開始するもの)の略語的ネーミングがオチャメだ。説明する必要もないかもしれないが、ステンレスでできた三角柱型の炉に炭を詰めて、下から着火剤などの炎で炙ると、放っておくだけで炭火がおきるというスグレものだ。なんとシンプル、なんとナチュラル、なんと理にかなった道具なんだ! と驚かされる。

 原理はこうだ。着火された周辺の温度が高温になることで上昇気流が生まれ、それに伴い周囲から酸素を取り込もうとする空気の流れが発生し、このサーキュレーションにより燃焼が促進するというもの。いわゆるチムニー(煙突)効果というヤツだ。チャコスタを使うと、この原理をつぶさに観察し理解することができ、あなたの焚き火スキルは飛躍的に向上するだろう。

 世にチムニー効果を活用するチャコールスターターの類は多々あるのだが、ユニフレームのチャコスタの何が素晴らしいかというと、この形状なのだ。三角柱の1面が内側に折れ曲がる構造になっていて、パタパタと折り畳めて、ペタンコになるのだ。逆に、組み立てもパタパタと広げて、底部のロストルで固定するだけ。道具がいろいろ増えてしまうキャンパーにとって、収納性はとても重要。薄く、平たくなるというのは収納時にスペースに無駄ができにくいということだ。私の場合は、焚き火台などと一緒にひとまとめにして収納している。

 私がチャコスタに出会った当時、チムニー式のチャコールスターターといえばウェーバー(Weber)の円筒型のものが主流だったと記憶している。アメリカンなカッコよさはあるのだが、当然コンパクトには収納できない。それを三角柱という形状、しかも畳めて薄くなり、ハンドルも邪魔にならないという構造にした発想力は、さすが日本生まれ、いや新潟県燕市生まれのアウトドアブランドだ。

 さて、使い方についてだが、前述のようにとても簡単。使用時のコツとしては、炉内に炭を縦に詰めること。これにより空気の流れが生まれやすくなる。着火時は、どこでも手に入る固形燃料ひとつで充分。固形燃料がなければ、文化たきつけなどでも良い(文化たきつけは油臭いのであまり使いたくない)。私の場合、そのへんで拾ってきた木の枝などで小さな焚き火をおこして、ある程度火が安定したところでその焚き火の上に、炭を詰めたチャコスタを乗せて使うことがよくある。

 最初は不安かもしれないが、中心温度が上昇してくるまでじっと待とう。5分もしないうちに詰めた炭の上部からチロチロと蛇の舌なめずりのような炎が見え隠れするようになる。さらに待っていると、炭の隙間を這う炎は力強くなり、チャコスタの上部には陽炎が揺らめく。15分から20分もすれば、炭たちはカンカンに熱せられ「早く肉を焼かせろ!」とばかりにチン、チンと高音で鳴く。これを見ているだけでも楽しい。ヘタすると、肉なんか焼かないで、このまま灰になるまで見つづけてやろうかと思うほどだ。おっとヤバいヤバい。チャコスタを語っているとどうも変態っぽくなってしまう。

 炭に火がしっかりまわったら、革手袋をしてハンドルで持ち上げ、BBQグリルなどに移し、炭を適当に広げればOK。この間、一度たりともうちわで扇いだりしていない。ただ見守るのみ。なのに、汗だくで炭をおこそうとしている人たちがかわいそうに思えるほど「俺、今イケてるんじゃね?」感がふつふつと湧いてくるのだ。なんて恐ろしい道具……。

 私の使っているチャコスタは、買ってからすでに十数年。錆や煤もついているし、熱でやや変形してはいるが、いまだに現役だ。おそらくこの後も十年は使えるだろう。そしてチャコスタを使いながらドヤ顔したりニヤニヤしたりするだろう。私のチャコスタ愛は揺るぎない。今のところ……ね。

《現行モデル》
ユニフレーム/
チャコスタⅡ
サイズ:
 使用時/約190×245×280(高さ)㎜
 収納時/約280×190×30㎜
材質:炉/ステンレス鋼、ハンドル・底網/スチール
重量:約1.2㎏
価格:4,583円(税込)

チャコスタⅡ ラージ
サイズ:
 使用時/約260×290(ハンドル含む)×280(高さ)㎜
 収納時/約260×280×50㎜
材質:炉・底網/ステンレス鋼、ハンドル/スチール
重量:約1.5㎏
価格:6,009円(税込)


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