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夜ぼり、樹液採集、野生動物の観察……夜遊び用ヘッデンはLEDLENSERの「H8R」がいいぞ

2020.06.18 Thu

藤原祥弘

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

 このところ、うずく体を持て余して夜な夜な出歩いている。

 ……とはいっても、出歩くのは街ではなく屋外だ。夏になって川も磯も雑木林も大賑わい。生命感にあふれる野山で生き物を探している。 

 顔なじみには毎年会いたいし、数十年通っている土地でも、初めて出会う生物もいる。一歩先では思わぬ出会いがあるかもしれない。そう思うと止めるに止められず、空が白むまで歩き続けることもある。

 こんな徘徊の友がヘッドランプだ。これまで有名無名取り合わせてあらゆるメーカーのヘッドランプを試してきたが、現在はLEDLENSERのH8Rをメインに使っている。今まで使った物の中では、これがいちばん生き物の探索に向いている。

 光量調節、集光機能……。ヘッドランプにはいろんな機能が搭載されているが、生き物の観察に使うなら「圧倒的な光量」こそが重要だ。とくに、遠くや水中にいる生物を探す場面で、光量の大小が影響してくる。

 その点でH8Rは十分な光量がある。パワーモードでの明るさは600lm。対象物をしっかり視認したい場面で煌々と辺りを照らし出す。LEDの周辺が高温になると自動で光量を絞ってしまうが、ここいちばんの数十秒の明るさは頼もしい。もちろん、自動で光量が絞られたあとでも十分な明るさがある。

光量の大小による効果の差は、濁りのある水中を照射するときが顕著だ。光が弱いと濁りに光が吸収されて深くまで見通せないが、大光量だと濁りに負けずに深い場所まで照らし出せる。写真は、6mほど離れたナマズ。大光量だと距離と濁りがあっても、それと視認できる。

 光源はパワーチップ型LEDを1個搭載。光の拡大・集中はLED部のリングで行なう。拡大時の照射角度は60°程度だ。人間の視界は200°ほどあるが、両目で見て色まで認識できる角度は60〜70°程度といわれる。そのため照射角度は60°もあれば、窮屈さを感じずに使える。照射角を最大にして夜の森を歩くと、自分の正面のほとんどが照らされているような感覚で歩ける。

集中時と拡大時。この写真では拡大時の照射範囲がそれほど広く見えないが、野外で実際に使用するとその広さと光のムラのなさに驚く。実際にトレイルを照らした様子。拡大時(左)には周囲がフラット照らし出され、歩いていてストレスがない。光を集中させた時(右)は、かなり遠くまでしっかり確認できる。照射角度を調整するリングはかなり固め。実際には本体を押さえて「グギギギ……」と力を込めないと調節できない。その代わり、一度固定すると使用中に動くことはない。

 拡大モードの解説を熱心にしておきながらアレなのだが、生物の観察に限れば、照射角度はそれほど重要ではない。拡大モードでは、視界が広くなるぶん意識も散ってしまうので、生き物が見つけづらくなる。

 その点で、集光モードでは視界が狭くなり、照らされた生き物を見落とすことがない。また一点に光を集中させるので遠くまで見通すことができる。生き物を探すなら、一度に全体を照らすよりも照射範囲を狭めて、舐めるように照らしたほうが見つけやすい。

暗がりのなか、10mほど離れた動物を照らすとこんな感じ。
スマホの画像なので画は粗いが、照射された範囲はムラなく照らされている。全体がしっかり見えてるからバレチだぜ。お前、ハクビシンだな!

H8Rとは別のヘッドランプで5mほど離れた場所から照らしたタヌキ。中央部と辺縁部で明るさにムラがあるライトでは、一度に全体が見えず生き物の同定がしづらい。写真を撮ったときも中央部に明るさを合わせると全体が黒く潰れ、周辺部に明るさを合わせると中央部が白くとんでしまう。

 照らし出すまで生物に意識されづらい点でも、照射モードは狭めを推奨したい。たとえば、水場で合唱するカエルなどでは全体を照らすと一斉に鳴きやんでしまうが、照射範囲が狭ければ光の輪に入る寸前まで鳴き続ける。音であたりをつけて探すタイプの生物や、光に敏感な生物には照射狭めでのぞみたい。

一糸纏わぬ赤裸なアマガエルのラブシーンもこのとおり。

「明るさ、軽さ、スタミナの3点においてバランスのとれた性能」をメーカー側もセールスポイントとしているが、生物の観察に使う限りでは異論はない。

 バッテリーと照射部分は別体式。頭頂部にまわすベルトはないが、前後のバランスが良いので、どちらかがずり下がったり、体の動きに追従できずにずれることもない。ベルトを強く締め上げなくても、しっかり頭に固定される。重量は158gだが表記重量より軽く感じる。子供の頭を借りたので大きく見えるが、実際はそれほどでもない。
 電池寿命についても満足だ。パワーで10時間、ミドルで15時間、ローで120時間とメーカーは表記しているが、実際に使用した感覚では、パワーモードで5〜6時間使い続けると光量が落ちたように感じだす。しかし、それとてほかの大光量ヘッドランプと比べればランニングタイムが長い。これは18650形リチウムイオン充電池を使っているおかげだろう。

専用充電池にはマイクロUSBケーブルから充電可能。ただし、充電時間はかなりかかる。
純正の換えバッテリーと充電器も販売されているが、ちょっと高め。メーカー非推奨だが、純正より安いKEEPPOWERの18650でも点灯が可能だ。合わせてUSB充電器も購入しておくとバッテリーのローテーションがしやすい。同じ18650でも、メーカーによっては端子の形状等で使用できないことがあるので、互換性については要注意。 

 一般的な登山に持ち出すにはちょっと重たく、明るさが過剰だけれど、生物の観察や採集に使うならこの明るさは重量を補って余りある。バッテリー2本体制を敷けば、ランニングコストや照射時間に対して不自由さは感じない。

 光量では明るいものがいくらでもあるが、H8Rはほどほどにランニングタイムが長く、市場での価格が7,000円代であり、きちんとした保証もある(購入後、5年の保証)。全体のバランスを考え合わせれば、生き物観察用ヘッドランプとしてはかなりよくできたモデルだと思う。

LEDLENSER
H8R

¥12,000
本体重量(電池込み)約158g
LED パワーチップ型LED×1
光束 パワー:600 lm/ ミドル:250 lm/ ロー:10lm
照射距離 パワー:150m/ ミドル:100m/ ロー:20m
点灯時間 パワー:10時間 / ミドル:15時間/ ロー:120時間
保護等級 IP54

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