- カルチャー
第2回じゃなくて、第0回なんです。「ご近所狩猟採集ライフ」更新!
2013.05.10 Fri
藤原祥弘 アウトドアライター、編集者
少し前に、近所のドブ川の支流でコイをすくいました。ひとしきり観察した後に5歳の息子としたのは、
父:「じゃ、逃がそっか」
子:「えっ! 食べないの!?」
父:「えっ!?」
子:「えっ!?」
というやりとり。
週に2、3回は私が獲ったものや、仲間が獲った野生の食材が並ぶ我が家。心底惜しそうに魚を放つ彼を見て、「獲物」=「食べもの」と彼が当たり前に考えたことを喜びました。
しかし、本来は食べられるはずのものが食べられないこと、獲ったものを食べられない環境で自分が暮らしていること、それほどまでに川とそこの生物を汚したひとりが自分であることについても、改めて考えさせられました。
それと同時に思い出したのは、川のほとりで育った友達の話。
田舎の川のほとりで育った彼女が島を離れて都会で暮らしてみたら、どうにも体の調子が悪い。あるとき体の不調を押して里帰りしてみたら、あっという間に治ってしまった。そこではたと気づいたそうです。水が合わなかったのだと。
「当たり前よね。だって私の体のなかには、この川と同じ水が流れているのだから」
本来、川と人の関係はそういうものだったはずです。飲み水を通じて、あるいは食物を通じて同じ水を共有する。自分の体になるものだから汚さない。下流に住む人のものでもあるから汚さない。
地域の自然を自分の体に取り込むことで、地域の自然に対して責任をもつ。持てないまでも、その必要性を肌身で感じる。そんな身近な狩猟採集からはじめる世界の変え方について考えました。
「ご近所狩猟採集ライフ」2回目の更新は、vol.1から遡ってvol.0。テーマは「獲って食べて交わる」です。
(文=藤原祥弘)