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アメリカ大統領選に垣間見えた
アウトドアブランドの立ち位置

2013.01.09 Wed

 昨年は日本の衆議院選をはじめ、韓国の大統領選、アメリカの大統領選と選挙に湧いた1年でもあった。なかでも、アメリカの大統領選は、世界の経済、外交など、国際社会の趨勢を左右する選挙とあって、全世界注目の一戦であった。民主党のオバマが勝つのか、それとも共和党のロムニーが勝つのか、各地での遊説やテレビ討論など下馬評では、互いに譲らず接戦となることが予想され、選挙当日はもとより、開票するまではわからないという状況であった。

選挙の大まかなポイントとしては、経済・景気対策である。前回の選挙戦でマイノリティや低所得者から絶大なる支持を受けたオバマは、任期中に期待に応えることができず、今回の選挙戦では苦戦が予想された。それに対し実業家出身のロムニーは、前回オバマを支持した層をどこまで獲得できるかがポイントでもあったのだ。

 そんななか、あるとき、予備選のロムニーのニュース映像を見ていると、ロムニーは、実業家というセレブな側面を大衆に感じさせないような配慮なのか、とてもカジュアルなアウトドアジャケットを着て登壇、しかも、そのジャケットの胸には、アメリカのアウトドアブランドの最大手、THE NORTH FACEのブランドロゴがはっきりと見てとれた。その後、いくつかのニュースサイトの画像を拾ってみると、何種類かのノース・フェースのジャケットを着ている画像を発見。どうやらロムニー氏は、ノースがお気に入りなわけではなく、何らかの企業的な支援関係があることを思わせた。たしかに、ノース・フェースは、アメリカのアパレル大手企業VFコーポレーションの傘下のブランドである。VFコーポレーションは、アメリカの大衆ファッションの象徴とも言えるジーンズのブランドWranglerやLeeの親会社でもあり、今回の激戦区でもあり、共和党に地盤でもあるノースカロライナ州に本社がある。企業的なスケールから言ってもVFが共和党支持であることは間違いない。ところが、今回よく話題にされたファーストレディ候補でもあるロムニー氏の奥さんであるが、なんとpatagoniaのジャケットを着ているではないか。ゴシップ紙などでよくファッションが話題となるのは、旦那よりもが奥さんの方が多い。そんな奥さんがパタゴニアを着ているというのは、センスの問題ではなく、この裏には思惑と巧妙な戦略が隠されているのだった。パタゴニアはいうまでもなくアメリカのなかでも革新的企業であり、反保守でもある。本社は民主党の固い地盤であるカリフォルニアにある。ロムニー陣営は、奥さんにパタゴニアを着させることによって、民主党支持層へのアピールと取り込みを狙っていたとはとれないだろうか。

 旦那がしっかりとノース・フェースを着て、保守派へのアピールをするとともに、妻にパタゴニアを着させて、革新派の取り込みを狙うという、アウトドアブランドをも使った高等な選挙戦術であったといえる……深読みすぎるか……。

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