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【ROTH BART BARONインタビュー】苗場という場所でファンとバンドが生み出す音空間

2023.07.07 Fri

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

ファンとしても、リスナーとしても、フジロックに何度も参加し、フジロックでしか味わえない特別な時間を共有してきたという三船雅也。場所もひとつの楽器だと語るROTH BART BARONが響かせる苗場の音とは。

ー 出演者としてだけではなく、ファンとしても何度もフジロックに参加していると聞きました。

 最初に行ったのは18歳か19歳のときです。大学の友人がすごくフェスティバル好きで「今年、一緒に行こうよ」って誘ってくれたんですね。青春18きっぷでの「鈍行列車の旅」。新宿駅から乗ったんですけど、それっぽい人たちも多くて。70年代のヒッピーたちのワーゲンバスのように、みんなで同じ乗り物に相乗りしていく仲間のような感覚で、そこからすでにフジロックがはじまっているように感じていました。

ー フジロックではいろんなアーティストのライブを見たのですね?

 前夜祭から参加して、気になるアーティストはすべて見ようと。覚えているのは、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインとゴティエと……。ライブだけではなく、大人たちがハッチャけて楽しんでいる光景が、10代の僕にとってはカルチャーショックでした。「日本人もこんなに楽しめている場所がある」っていう気持ちになったんです。

ー 2016年にピラミッドガーデンで初めてフジロックのステージに立ち、今年2回目の出演になります。もっと出演していると思っていました。

 2016年も夢のなかにいるような気分でした。すごくうれしかったし、いい時間でした。フジロックのステージに立つことが、僕の夢のひとつでしたから。僕がお客さんとして行ったときは、いろんなミュージシャンが感動させてくれて、特別な時間を作ってくれた。「仲間」って言ってしまうとちょっと違うかもしれないんですけど、やっとフジロックの一員になれるんだって実感しています。

ーフェスでのセットリストは、どのように考えることが多いのですか。

 お客さんとしてROTH BART BARONという未見のバンドを見てみようかって思ったときに、何を聞きたいのかっていうことを考えますね。フラッと立ち寄ったお客さんの目線。どんなことをやってくれたら、一生忘れられないような時間になるんだろうとか。

ー 今年のフジロックはどんなステージにしたいですか。

 日本にも、こんなスケールの音を出せるバンドがいるんだってことをみんなが感じてくれたらいいなと思っています。コロナで3年間我慢してきて、ようやく自由に解き放たれていいフジロックになる。この3年間、みんなが見えない何かと戦ってきて、新しい時代の一歩が今年だと思っているんですね。

ー 戻るのではなく、ここから新たに広がっていく。

 世界がちょっとだけずれた。戻ったようには見えるけど、決して同じところには戻ってはいないんですよね。新しい時代のフジロックに出られるっていうことが僕はすごくうれしくて。新しい時代をみんなと共有して、その時間をアーティストとしてもリスナーとしても全身で楽しみたいっていうのが、今の正直な気持ちです。世界と日本を音楽でつないでくれるところって、そんなにあるわけじゃないですから。

シンガーソングライターの三船雅也を中心としたインディーロックバンド。結成は2008年。2014年にリリースされたファーストアルバム『ロットバルトバロンの氷河期』はフィラデルフィアで制作された。2016年の深夜のピラミッドガーデンがフジロック初ライブ。今年はそれ以来2回目の出演(最終日7月30日のフィールドオブヘブン)になる。7月16日(日)に今年を最後に改修される日比谷野音で、単独公演フェスティバル「BEAR NIGHT 4」が予定されている。
https://www.rothbartbaron.com/

Photo = Meg Suko



 

●『FESTIVAL ECHO』 配布場所
は岩盤、TOWER RECORDS、KEEN、CHUMS、LOGOS、OSHMAN’S、アルペンアウトドアーズ、WILD-1など販売店 ※一部店舗を除く/随時配布



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