line_box_head

登山にキャンプに防災に。軽くて美味くて日もちする「干し野菜」を干しなさい!

(2016.03.13)

ごはんのTOP

icon

 古くからある野菜の保存法のひとつが天日干し。腐敗のもととなる水分が抜けるだけで、野菜はぐんと長もちするようになります。

 また、天日干しには野菜の旨味を凝縮させ、野菜そのものの味わいをより強くするという効果も。これを期待して、数年前には旨味をアップするための保存目的ではない干し野菜ブームもありました。

 そして、アウトドアを楽しむ人にとって嬉しいもうひとつの効果が、大幅な軽量化です。野菜の重量の大部分を占めるのは水分。水分が抜ければ、より少ない労力で食料を運ぶことができます。

 軽量で日もちすることから、フリーズドライ食品は登山中の食事として一般的ですが、いささか高価なのが難点。その点、自分で作る干し野菜なら必要なのは野菜代だけ。市販のフリーズドライ食品に劣らないものを簡単かつ、自分の好みの野菜で作ることができます。それでは、実際に作ってみましょう。手順は以下の通りです。

(1) 空気が乾燥する季節のよく晴れた日に、野菜を薄く切って風にさらす。

 以上です。これだけです。非常に簡単です。これでは記事にならないので、順をおって、丁寧に解説していきます。

 まずは野菜を薄くスライス。干しあげるとそのあとカットするのは難しいので、食べるときの姿をイメージして、イチョウ切り、拍子木切りなどにしてください。ごくごく薄いほうが早く干しあがります。
寒風にさらされる野菜たち。半生で引き上げて料理に使っても、生のときとは違う食感、味わいになって楽しい。半生のナスの炒め物はおすすめ!

 登山など、出先でのガスの消費を抑えたいときには、あらかじめ軽く湯通ししておくのも手。ジャガイモなど、生のままで干すと黒く変色してしまう野菜では、一度火を通すことによって色止めの効果も得られます。

湯通しは軽く火が通る程度でOK。どういうわけか、軽く茹でたものを干すと2回目に火を入れるときにすぐに火が通る

 風がない日はそのまま外へ。大きなざるに広げて干す、干し網に入れて干すといった方法がありますが、野菜によってはカラスなどに荒らされるので、干し網のほうが安心です。

 風がある日は、表面が湿っているうちに表へ出すと砂埃を吸着してしまうので、室内で扇風機の風に当て、表面を軽く乾かしてから干すとホコリがつきにくくなります。寝る前に野菜をスライスして網に入れ、朝になってから表に干してもOK。

干しているうちに雨が降り出した、湿度が上がったという場合も室内で扇風機に当てるとよく乾く

 裏技としては車の運転席の前に広げるのも効果的。日が当たる車の中は温室効果で温度が上がるので、天日干しの終盤になって最後の水気が抜けづらいときに使うと、野菜をパリッと干しあげることができます。

干し上がった野菜たち。ミニトマト、玉ネギ、ニンジン、ダイコン、ゆでジャガイモ、エノキダケ、シメジ、エリンギ。右上は一緒に干したベーコン

干したあとは、乾燥剤を入れて冷暗所へ。水分量にもよるものの、数週間〜数か月は保存が可能

 どれくらい軽量化できるかは野菜の種類によって異なりますが、だいたい乾燥前の重量の5〜15%にまで減らすことができます。それでは、劇的なビフォア&アフターを見てみましょう!

瑞々しい野菜たち。このあとダイコンとニンジンはイチョウ切りにして軽く湯通しをして、エノキダケは数本ずつに分けて干し網へ

世間の冷たい風にさらされること2日。すっかり萎縮した野菜たちは元の重量の5〜15%程度に!

 一度乾燥しきった干し野菜は、お湯で戻しても元の体積にはならず、6〜8割程度の大きさに戻ります。また、あまりに小さくなっているので戻したときにどれくらいの量になるかをイメージするのはなかなか難しいもの。

 登山など、湯で戻ったときの量をはっきり知りたいときは、生の状態で計量しておき、それを使用する分量ごとに分けて干しておくと間違いがありません。

2食分のビーフシチュー。市販のルー、干し野菜、乾燥ベーコンをワンセットにしてこの重量!

お湯で戻る干し野菜のビフォア&アフター。左は水に入れてすぐ、右は火にかけて10分後。生から茹でたときよりも甘みが強くなる

そして、ルーを投入。知らずに食べたら、生から作ったのと区別がつかないできばえ!

 数週間から数か月もち、生の野菜より旨味も増す干し野菜。常備しておくと野菜がないときのバックアップになり、登山やキャンプでも大活躍。そしてなにより、自然災害への備えとしても活躍します。

 最近、防災のテクニックとして勧められているのが食料の「ローリングストック」法。一定量の食料を備蓄しておき、古くなったものから食べて新しく補充をするという備蓄方法です。義務だと思って取り組むと負担が大きいですが、干し野菜のように楽しみながら作れるものなら、きっと長続きするはず。野菜の特売に出会ったら、ぜひ挑戦してみてください!

 
 
ライター
藤原祥弘

野生食材の採集と活用、生活技術につながる野外活動などを中心に執筆とワークショップを展開。twitterアカウントは@_fomalhaut

line_box_foot