そんなに急いでどこに行く? 裏道+より道走りで、絶景・珍景発見の自転車旅

2022.11.30 Wed

大村嘉正 アウトドアライター、フォトグラファー

なぜ、その道をゆくのか?

 わたしの町(四国香川県)には、お遍路の札所(寺)やうどん屋を巡るサイクリストがよく来る。彼らが選ぶルートはたいてい主要な道路。やたらと車にかわされながらペダルを踏んでいる。

 それはスピーディーなルートではある。道案内の表示は多く、目的地まで最短。しかし、地元民から言わせてもらうと、見逃すには惜しい自然や町並みを彼らは置き去りにしているのだ。
より道をすればこんな景色も。



裏道+より道のすすめ

 たとえば、仁淀ブルーで人気の仁淀川(高知県)。たいていのサイクリストは本流に沿う国道などを走り、清らかな川面を目に焼き付ける。だが、その対岸にある裏道には、「仁淀川、きれいだった」以上のことが待っているのだ。
高知県日高村~越知町にかけての仁淀川南岸にのびる道。車を気にしなくていい。地底人の家? これ、かつては生姜(高知県の特産品)の貯蔵所だった(高知県日高村)。暴れる仁淀川の記憶を記す日吉神社(高知県日高村の長畑集落)。仁淀川本流の川面から少なくとも20m上にある。自然の荒ぶりに驚愕。江戸時代の宝永南海・東南海大地震(1707年)で、仁淀川のそばの山体が崩壊し川をせき止めた結果、巨大な湖ができて農地や集落が水没した。これはそれを伝える石碑とお堂(高知県越知町柴尾)。
 土地勘がないから道案内の多い国道などを選ぶのだろうが、いまやスマホがあればルート選びは自在。裏道をのんびり行こうぜ! そして、旅のクオリティーを上げようではないか。
どの道を選ぶかでサイクリングのクオリティーが決まる。



裏道ルートの見つけ方、走り方

●旧街道は有望
 幅が広く交通量の多い道路の近くには、置き去りになった旧街道があるものだ。路地や信号が多いのでスムーズに走れないが、伝統的町並みや史跡などを通り抜けていたりする。
主要道(県道と国道)に挟まれて、こんな町並みの道が(徳島県美馬市脇町)。

●川沿いは、メイン道の対岸をチェック
 川沿いの道が立派であるほど、その対岸の道はさびれてサイクリング天国。ただ、路面が荒れていたり、災害復旧工事による時間通行止めもあるので注意。
財田川南岸の道路(香川県観音寺市)。車は対岸の広い道を利用する。

●山肌の道もおすすめ
 日本の中山間地域では、急傾斜の山肌に集落を目にすることがある。谷底近くの主要道路から標高差100m以上に位置することも珍しくない。いまでは僻地だが、長い時代、そんな天空の集落が地域の中心地だった。人々は尾根伝いに入植し、暮らしを築いてきたのだ。集落を結ぶ古くからの道を行けば、下界の一般道ではお目にかかれない絶景が広がっている。
高知県大豊町にある天空の集落。



そして、走りにも裏道らしさを

 裏道サイクリングを計画するなら、気分は「そんなに急いでどこに行く」で。町並みや路地ではスピードを出せないので、無理のないスケジュールでいこう。ときには自転車を押す心づもりもあれば、思わぬ景色にたどり着けるはずだ。

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