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この春、桜をめでに奈良吉野へ。花あり、食あり、オススメのお花見ハイキングルート

2016.03.25 Fri

 毎年多くの人々がおとずれる吉野山。”桜が見たくば吉野へござれ…”そんなことわざがあるように、吉野山はむかしから桜の本場、名所といわれている。吉野の桜は、ソメイヨシノとはまた違った優美な美しさがある。

ソメイヨシノを見慣れていると葉が出ている様は終わりかけのような印象を持ってしまうが、花がほころび葉も開くこの姿がまさに花盛りなのだ。ⒸHiroko Shimizu

 吉野山は下千本、中千本、上千本、奥千本と麓から山の斜面をゆっくりと塗り上げるように、徐々に花を咲かせていく。ふもとの下千本が満開のころ、上千本や奥千本はまだまだつぼみがかたい。それだけ長い期間楽しめるところでもある。

吉野に咲く桜の多くは古来より伝わる品種のヤマザクラで開花と同時に赤茶色の葉も出るのが特徴。ⒸHiroko Shimizu

 たいていは、近鉄吉野駅からケーブルカーに乗ったり、登っていったりするが、シーズンともなればそれなりに混み合う。そこで、脚に覚えがあるAkimama読者にオススメしたいのは、ゴールを近鉄吉野駅にするハイキングコース。吉野山の東側からとりつき、青根ヶ峰(858メートル)へ登り、奥千本から上千本、中千本と下りながら桜をめでる。約4時間30分の歩きがいがある道だ。登り始めから蜻蛉の滝に出迎えられ、みずみずしさを感じられるだろう。

高さ約50メートルの蜻蛉の滝。美しいだけでなく、黒い岩肌に水しぶきが飛び、とても迫力がある。Ⓒ川上村役場

 この蜻蛉の滝方面から吉野山をめざすルートがよい理由はもうひとつある。上千本あたりが満開の時期に行くならば、午後のほうが光を受けてより色濃く鮮やかに感じられるからだ。朝から登りはじめれば、光の具合がちょうどいい頃合いになっている。

これぞ一目千本。吉水神社から臨む絶景だ。午前ももちろん、清涼感ある眺めで素晴らしいが、太陽が西に傾きはじめたころも、またよい。実際には3万本ほど植えられていて、種類は200を数えるという。ⒸHiroko Shimizu

 ところで、そもそもなぜ吉野は桜の名所といわれるようになったのか…。そこには金峯山寺と役小角(役行者)と大峰山、山岳宗教が深く関わっている。話しは1300年ほど遡る。自然界は八百万の神が宿る神域と考えられ、修験道の開祖である役小角(役行者)は吉野山から連なる大峰山脈で修業を重ねていた。そして苦行の末に金峯山寺の本尊である蔵王大権現を感得、怒髪天を衝く恐ろしい顔つきが大衆を救うのだと、その姿を桜の木に彫り祀ったという。

役小角(えんのおずの、えんのおずぬ)、役行者(えんのぎょうじゃ)などと呼ばれている。600年代半ばから700年代初頭に活躍した。実在の人物だが、逸話などは後世に創作されたものも多いという。

 そして、本尊を刻んだ桜こそいかにも御神木にふさわしいと崇め、参詣の際に人々が桜の木を納めるようになったことが吉野の桜のはじまりだという。日本全国にも桜の名所は数多くあるが、そのほとんどは桜の花を楽しむ花見のために植えられ管理されてきたそうだから、吉野の桜は深い信仰心のたまものといえよう。

儚げで刹那な美がある吉野の桜は信仰心から生まれたもの。とてもありがたいものに思えてくる。ⒸHiroko Shimizu

 上千本を過ぎて中千本あたりまでくると、お店が軒を連ね、賑やかになってくる。花より団子?吉野山での腹ごしらえは、吉野にちなんだものをいただこう。柿の葉ずしは、バラ売りしているので、気軽に手に取りやすい。柿の葉ずしは、かつて近海で獲れた鯖を腐らないように塩でしめて殺菌作用のある柿の葉でつつみ、吉野山まで運んでいたという。祭や特別な日に食べるご馳走だったのだとか。先人の知恵が詰まっている伝統食だ。

柿の葉ずし。こちらは鮭のバージョン。ルーツは鯖だという。鯛など、趣向を凝らしたものを置いているお店もある。

葛うどん。葛が練り込まれたうどんは、喉ごしがよい。吉野はきれいな水があったことから、むかしから良質の葛粉がつくられていた。お菓子やうどん、さまざまな形になっている。

 豊臣秀吉も吉野山で盛大な花見を催し、眺めに感嘆の声を上げたという。標高1,000メートルほどの山にびっしりと競うように咲く桜、一度は見てみたい。そして、役小角(役行者)が感得したと伝わる蔵王大権現は、金峯山寺のご本尊。秘仏として普段は扉に閉ざされているが、桜の時期だけお目見えする。桜とともに、怒髪天を突くそのお顔に向き合ってみるのはいかがだろう。

金峯山寺 平成28年 秘仏本尊 特別ご開帳
期間:2016年4月1日(金)〜5月8日(日)
時間:8時30分〜16時30分(受付16時まで)
特別拝観料:おとな1,000円、中高生800円、小学生600円

吉野桜の開花はこちらでチェック!

こんな景色を眺めながら、柿の葉ずしを頬ばりたい…。ⒸHiroko Shimizu

アクセスとヒント
 起点は近鉄吉野駅から二つ手前の大和上市駅。奈良交通のバス停「上市」から乗車し、「西河」で下車。バスはとても本数が少ないので、必ず調べておこう。桜の開花情報はインターネットでチェック!
蜻蛉の滝から吉野駅へ向かうコース:約4時間30分(休憩含まず) 
西河バス停=(約20分)=蜻蛉の滝=(約1時間10分)=音無川の清流=(約1時間20分)=青根ヶ峰=(約10分)=女人結界跡=(約10分)=金峯神社=(約50分)=吉水神社=(約5分)=金峯山寺=(約30分)=近鉄吉野駅

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