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「山を愛するみなさまへ」 ── 山岳四団体が自粛要請解除後の「登山・スポーツクライミング活動ガイドライン」を発表

2020.05.27 Wed

 新型コロナウイルス感染症対策のための新たな生活様式が求められるいま、日本山岳ガイド協会(JMGA/公益社団法人。職業登山ガイド、山岳ガイドの団体として2,000名の会員が加盟する日本最大の自然系職業団体)は、一般登山者向けに、ガイド業界再開の道のりについてのメッセージを発信し続けている。

 5月18日に発表された「日本山岳ガイド協会より段階的ガイド業務再開のスタンスについてのお知らせ」と題する文書では、「山を愛するみなさまへ」との呼びかけではじまり、現状況下でのガイド業務の全面再開は困難であるとの認識のもと、「専門家による医学的な知識に基づき、移動、人数制限、健康管理、行動範囲等の検討とリスクマネジメントを徹底することによって限定されたガイド業務が行えると判断し、ガイドラインを策定したうえで段階的にガイド業務を再開」するとしている。以下に示したのは、その後に整えられた5月23日付の業界関係者向けのロードマップである。一般登山者にも有用な情報も含まれているので、ぜひ共有しておきたい。

■緊急事態宣言解除後の段階的ガイド業務再開のロードマップガイド協会がガイド業務者向けに検討し、作成したもの。日本山岳ガイド協会特別委員会コロナ対策プロジェクトチーム/2020.5.23 ver.01 *クリックのうえ、拡大してご覧ください。

 ロードマップを読み込んでみると、5月27日現在ではまだSTEP2の枠に入ったところと言えようか。県境を越えての移動は自粛要請が解除されたわけではなく、2次3次の感染の波が来ないとは限らない。まだまだ気の抜ける状況ではないものの、とはいえ、一歩ずつ前に進んでいることはまちがいない。

 また、25日には政府による緊急事態宣言の解除に合わせ、日本山岳ガイド協会も含めた山岳四団体(日本山岳・スポーツクライミング協会、日本勤労者山岳連盟、日本山岳会、日本山岳ガイド協会)が共同で以下のガイドラインを発表している。

「自粛」要請解除後の登山・スポーツクライミング活動ガイドライン

1. 近距離(100km圏内程度)でできるだけ都道府県を跨がない日帰り登山から始めましょう。
2. 体調不良(平熱を超える発熱、悪寒、倦怠感、息苦しさ、咳等)での登山は止めましょう。入山後にコロナ感染発症すると命に関わり、救助隊、収容先地元医療機関に多大の迷惑を及ぼします。
3. 登山は、少人数で行ないましょう。(パーティーは、当面5名以内で。)
4. 自粛期間中、季節や地震による山容の変化、登山道の荒廃など思わぬ危険が潜んでいます。十分な登山ルートの下調べと地図、コンパスの持参、登山届けは必ず提出し、家族にも残しましょう。
5. 登山中でもマスクを着用しましょう。マスク着用時は、熱中症及び脱水には十分留意し、こまめに水分摂取を心がけましょう。
6. 登山、クライミングジムでのソーシャルディスタンスを守りましょう。一般的には2メートル前後ですが、登山中の場合は、さらに距離が必要と言われています。また、クライミングジムでは建屋構造、利用人数等で制限がありますので、ジムの指針に従って行動してください。咥えロープ、滑り止めなどもジムの方針に従ってください。
7. 登山山域内での買い物や、下山後の呑み会等も地元住民への感染防止の観点から控えてください。食材、飲料、緊急食などは出発前に揃えておきましょう。
8. 自粛中に衰えた筋力、体幹を鍛えましょう

 今後、どのようにして山登りを始めるか始められるかについては、われわれ「山を愛する」人たちにとっても、大きな関心ごとのひとつである。日本を代表する山岳四団体が具体的な指針を示してくれたことは非常に意義高い。誰しもが気兼ねなく山に登れるようになるその日に向けて、一般登山者の側も日々変わってゆく状況の理解と、心の準備をしっかりと整えておく必要がある。

 そんななか、山岳ドクターによる日本唯一の山の医療と医療救助の情報発信サイト「山岳医療救助機構」から登山再開に向けた、基本知識「計画と準備編」と「登山実践編」が公開されています。

 行動中だけでなく、テント泊や山小屋泊での注意点など、登山の実態に即したエビデンスに基づいた正しいガイドラインです。ぜひ、ご一読ください。

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